令和時代の新常識 7
音階練習の仕方
最初は出来るだけ少ない音で
前回は曲の中での音階は i,m の交互弾弦だけでなく、様々な弾き方がある話をしました。今回は実際に私の教室ではどのように音階練習をしているかについて話ししましょう。
もちろん入学した当初は楽器の持ち方とか、右手での弾弦の仕方、基本的な楽譜の読み方などから始まるのですが、それはちょっと置いておいて、最初に行う音階練習としては、このようなものです。

最小限の力でゆっくり押さえ、離す場合は力を抜くだけ
1弦と2弦だけの5つの音からなります。当然のことながら、最初は出来るだけシンプルなものがよいと思います。1弦だけの3つの音でもいいでしょう。左手の件については以前にも書きましたが、繰り返しますと、各指は指先の中心部分で弦を捉え、ゆっくり、静かに、最小限度の力で押さえます。
この時左指を叩きつけるように押さえたり、強く押さえ過ぎないと言ったことも書きました。正しい位置を最小限度の力で、ゆっくり押さえることはたいへん重要で、それが出来るかどうかで、ギターが上達するかどうかが決まってしまいます。
また押さえた指を弦から離す動作もゆっくり、正確に言えば筋力で指を上に持ち上げるのではなく、押さえた指の力を抜くだけで指を弦から離します。押さえている力を抜きさえすれば、当然指は弦から離れるはずです。 少ない音である程度基本動作が出来たら、以下のように少しずつ音を増やしてゆきます。

一応アポヤンド奏法から練習を始める
右手については、まだ記事を書いていませんが、まずはやはりアポヤンド奏法で練習します。理由は前に説明した通りで、確かにアルアイレ奏法のほうが重要ですが、アルアイレ奏法のほうが難しく、その練習はアポヤンド奏法に馴染んでから行っています。
音階練習よりメロディの練習のほうが良いのでは?
ところで、なぜ音階練習をしなければならないかという基本的な疑問についてですが、単音の練習ということであれば、いろいろな曲のメロディを弾いた方が良いのではないかとも考えられます。
確かにその通りで、ともすれば無機的なトレーニングに終始してしまいがちな音階練習よりは、譜面の読み方、歌わせ方、など総合的に練習でき、また何といっても情感を込める練習にもなるので、単純な音階より、様々なメロディを弾いた方が効果的とも言えます。
いくつかのことを同時に練習するのは難しい
もちろん私の教室でもそのようなメロディの練習は重点的に行っていますが、”弦を押さえて弾く” といった基本動作だけに絞った練習は、初期の段階では絶対に必要となります。
特に習い始めの段階ではいくつかの項目を同時に練習して、なおかつ身に付けるということはたいへん難しいことです。当然のことながら、その都度ポイントを一つ一つの項目ごとに絞って練習しなければなりません。
ポジション移動は別物
ある程度音階練習が進んだら、下のようにポジション移動を含む音階練習となります。ポジション移動は動作的にも押弦などとは別で、はっきり意識しないと上手く出来ません。親指の移動など、意外と難しいので、私の教室ではこのポジション移動の練習には比較的時間を割きます。


同じ内容の練習は2~3週間くらいまで
前にも言いました通り、あまり同じ練習をたくさん、長期にわたって行うと、”指が覚えてしまう” といったようなことになり、自分の頭で考えない習慣が付きがちになります。いわゆる、”頭が固く” なってしまう訳ですね。
そうしたことを避けるために、私の方では同じ音階練習はあまり長くやらずに、内容を変えながら練習して行きます。個人差はかなりありますが、平均的にいえば、一つの練習は2~3週間程度です。
仮にどうしてもその練習を長くやらなければならない場合でも、ある程度やったら上手く出来なくても、一旦中断し、しばらくインターバルを置いてから、また行うようにしています。こうすることにより、新たに考えることが出来、また場合によってはその人の力が付き、前に出来なかったことが出来るようになっていることもあります。
相手の音を聞き取る練習
私の教室では以下のような二重奏の練習もよく行います。曲はバッハの鍵盤曲で、それをギターの二重奏曲のアレンジしています。
バッハの場合、このように音階で出来ている曲は多いですね、これも音階練習と言えば、音階練習でしょうか。
こうした二重奏曲では、自分が正確に弾けるかどうかということよりも、相手のパートの音が聴きとれるかどうかが重要となるでしょう。 自分で弾くのが精いっぱいで、相手の人がどこを弾いているか、さらには合っているのか、合っていないのか分からないようでは二重奏は成立しませんね。でも実際にレッスンしてみると、そう言った人は決して少なくありません。

イギリス組曲第1番の第Ⅱブレー(J.S.バッハ)のギター二重奏版
上級者では総合的な練習のほうが重要
次はカルカッシの25の練習曲第18番ですが、これも音階と言えば、音階ですね。ちょっと断片的で、低音も付いていたり、また一見似ているようで音階ではなく、アルペジオになってるものもあります。実際の曲はだいたいこんな感じでになっていますね。

カルカッシ25の練習曲第18番
独奏曲では単音の音階というより、このように低音や和音が入る場合の方が多いです。ちょっと低音が入るだけで単音の音階とはだいぶ違ってしまいますね。またアルペジオは、弾き方上は音階とほぼ同じとしても、アルペジオとして聴こえるように弾かなければなりません。
通常、音階練習というと基本的に単旋律で行います、阿部先生が言っている音階練習もおそらくそう言った練習でしょう(アポヤンド奏法と言っているところからしても)。しかし実際の独奏曲の中では単旋律の音階というのはそれほど多くはありません。また、この曲(カルカッシの練習曲第18番)にはありませんが、スラー奏法を伴う音階もたくさんあります。
したがって、基礎的な事が習得出来て、よりレヴェルの高い練習ということであれば、単純なアポヤンド奏法による音階練習よりもいろいろなパターンに対応できるような総合的な練習のほうがより必要性があるでしょう。
音階練習の仕方
最初は出来るだけ少ない音で
前回は曲の中での音階は i,m の交互弾弦だけでなく、様々な弾き方がある話をしました。今回は実際に私の教室ではどのように音階練習をしているかについて話ししましょう。
もちろん入学した当初は楽器の持ち方とか、右手での弾弦の仕方、基本的な楽譜の読み方などから始まるのですが、それはちょっと置いておいて、最初に行う音階練習としては、このようなものです。

最小限の力でゆっくり押さえ、離す場合は力を抜くだけ
1弦と2弦だけの5つの音からなります。当然のことながら、最初は出来るだけシンプルなものがよいと思います。1弦だけの3つの音でもいいでしょう。左手の件については以前にも書きましたが、繰り返しますと、各指は指先の中心部分で弦を捉え、ゆっくり、静かに、最小限度の力で押さえます。
この時左指を叩きつけるように押さえたり、強く押さえ過ぎないと言ったことも書きました。正しい位置を最小限度の力で、ゆっくり押さえることはたいへん重要で、それが出来るかどうかで、ギターが上達するかどうかが決まってしまいます。
また押さえた指を弦から離す動作もゆっくり、正確に言えば筋力で指を上に持ち上げるのではなく、押さえた指の力を抜くだけで指を弦から離します。押さえている力を抜きさえすれば、当然指は弦から離れるはずです。 少ない音である程度基本動作が出来たら、以下のように少しずつ音を増やしてゆきます。

一応アポヤンド奏法から練習を始める
右手については、まだ記事を書いていませんが、まずはやはりアポヤンド奏法で練習します。理由は前に説明した通りで、確かにアルアイレ奏法のほうが重要ですが、アルアイレ奏法のほうが難しく、その練習はアポヤンド奏法に馴染んでから行っています。
音階練習よりメロディの練習のほうが良いのでは?
ところで、なぜ音階練習をしなければならないかという基本的な疑問についてですが、単音の練習ということであれば、いろいろな曲のメロディを弾いた方が良いのではないかとも考えられます。
確かにその通りで、ともすれば無機的なトレーニングに終始してしまいがちな音階練習よりは、譜面の読み方、歌わせ方、など総合的に練習でき、また何といっても情感を込める練習にもなるので、単純な音階より、様々なメロディを弾いた方が効果的とも言えます。
いくつかのことを同時に練習するのは難しい
もちろん私の教室でもそのようなメロディの練習は重点的に行っていますが、”弦を押さえて弾く” といった基本動作だけに絞った練習は、初期の段階では絶対に必要となります。
特に習い始めの段階ではいくつかの項目を同時に練習して、なおかつ身に付けるということはたいへん難しいことです。当然のことながら、その都度ポイントを一つ一つの項目ごとに絞って練習しなければなりません。
ポジション移動は別物
ある程度音階練習が進んだら、下のようにポジション移動を含む音階練習となります。ポジション移動は動作的にも押弦などとは別で、はっきり意識しないと上手く出来ません。親指の移動など、意外と難しいので、私の教室ではこのポジション移動の練習には比較的時間を割きます。


同じ内容の練習は2~3週間くらいまで
前にも言いました通り、あまり同じ練習をたくさん、長期にわたって行うと、”指が覚えてしまう” といったようなことになり、自分の頭で考えない習慣が付きがちになります。いわゆる、”頭が固く” なってしまう訳ですね。
そうしたことを避けるために、私の方では同じ音階練習はあまり長くやらずに、内容を変えながら練習して行きます。個人差はかなりありますが、平均的にいえば、一つの練習は2~3週間程度です。
仮にどうしてもその練習を長くやらなければならない場合でも、ある程度やったら上手く出来なくても、一旦中断し、しばらくインターバルを置いてから、また行うようにしています。こうすることにより、新たに考えることが出来、また場合によってはその人の力が付き、前に出来なかったことが出来るようになっていることもあります。
相手の音を聞き取る練習
私の教室では以下のような二重奏の練習もよく行います。曲はバッハの鍵盤曲で、それをギターの二重奏曲のアレンジしています。
バッハの場合、このように音階で出来ている曲は多いですね、これも音階練習と言えば、音階練習でしょうか。
こうした二重奏曲では、自分が正確に弾けるかどうかということよりも、相手のパートの音が聴きとれるかどうかが重要となるでしょう。 自分で弾くのが精いっぱいで、相手の人がどこを弾いているか、さらには合っているのか、合っていないのか分からないようでは二重奏は成立しませんね。でも実際にレッスンしてみると、そう言った人は決して少なくありません。

イギリス組曲第1番の第Ⅱブレー(J.S.バッハ)のギター二重奏版
上級者では総合的な練習のほうが重要
次はカルカッシの25の練習曲第18番ですが、これも音階と言えば、音階ですね。ちょっと断片的で、低音も付いていたり、また一見似ているようで音階ではなく、アルペジオになってるものもあります。実際の曲はだいたいこんな感じでになっていますね。

カルカッシ25の練習曲第18番
独奏曲では単音の音階というより、このように低音や和音が入る場合の方が多いです。ちょっと低音が入るだけで単音の音階とはだいぶ違ってしまいますね。またアルペジオは、弾き方上は音階とほぼ同じとしても、アルペジオとして聴こえるように弾かなければなりません。
通常、音階練習というと基本的に単旋律で行います、阿部先生が言っている音階練習もおそらくそう言った練習でしょう(アポヤンド奏法と言っているところからしても)。しかし実際の独奏曲の中では単旋律の音階というのはそれほど多くはありません。また、この曲(カルカッシの練習曲第18番)にはありませんが、スラー奏法を伴う音階もたくさんあります。
したがって、基礎的な事が習得出来て、よりレヴェルの高い練習ということであれば、単純なアポヤンド奏法による音階練習よりもいろいろなパターンに対応できるような総合的な練習のほうがより必要性があるでしょう。
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