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中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

グレーな音符たちのその後 8



タレガの反復記号




ト長調? のマズルカ

 下はタレガのマズルカト長調で、これもなかなかいい曲ですね。しかし”ト長調”とはなっていますが、この曲の冒頭を聴いたり、弾いただけではト長調の曲だなんて、そんな感じ全然しませんね。だいたい、イ短調という感じですが、でもちゃんと主和音にはなっていませんね。

 2小節目は一応ト長調の主和音となるのですが、Am➡D7と、いわゆるトゥー・ファイブ(Ⅱ➡Ⅴ7)の和声進行で始めている訳です。結構凝った出だしですね。確か、ショパンにマズルカにも同じような曲があったように思います。

 今回の”グレー” はそれほど問題のあるものではないのですが、こうしたケースはよくあるので、取り上げてみました。ちょっと長いですが、全曲3ページ分載せておきます、出所はいつものアリエール社の初版です。



マズルカ1
タレガ作曲 マズルカト長調(計3ページ) アリエール社の初版  冒頭だけを見ると、ト長調の曲には、まず見えない



マズルカ2
2段目のところにリピート記号(前向き)があるが、





マズルカ3
最後にはリピート記号(後ろ向き)がない。




よくあることだが

 現在、この曲の国内版などは、ほぼこの譜面を基にしていますが、後半部には2ページ目のところにしかリピート記号(後ろ向きの)が付いていません。おそらく最後に付くべきリピート記号(前向きの)が脱落したものと思われますが、逆に2ページ目の2段目に不必要なリピート記号が付いてしまったとも考えられます。

 演奏上、それほど困る事ではないか知れませんが、実際の演奏で、後半部分をリピートすべきなのか、しない方がいいのか、ちょっと迷うところですね。前回にも書きました通り、タレガは繰返しなどは状況に応じて行っていて、あまりこだわらなかったので、こうしたことがよく起こるのだと思います。出版の際のミスかも知れませんが、タレガの残した譜面(タレガの死後の出版)自体がこのようになっていた可能性もあるでしょう。



4通り考えられる

 後半は繰り返しても、繰り返さなくてもよいと考えられますが(結局そうするしかないが)、前半部分の方も拡大して考えれば、繰返しの方法としては以下の4通りが考えられるでしょう。

①前半、後半とも繰り返しを行う
②前半繰返し、後半繰返しなし
③前、後半とも繰り返しなし
④前半繰返し梨、後半繰返し


 ①は前、後半共に繰返しということで、最もオーソドックスな方法ですね、時間的な制約がなければこれでよいと思います。時間が短い方が良いのであれば、②の前半のみ繰返しでもいいでしょう。

 さらにもっと身近方が良ければ、③のようにどちらも繰返しなしもあると思います。④は楽譜の指示からは若干遠くなりますが、魅力的な中間部が2回出てくることになるので、私個人的にはこの方法が最もよいと思っています。





ロシータ


 次はロシータ(ポルカ)のダ・カーポの件で、ちょっと問題になる箇所ですね。これも初版では下のようになっています。


ロシータ
ロシータ(ポルカ) アリエール社の初版  初版譜ではダ・カーポなので、最初のグリサンド付きの「ラ」に戻ることになる




余計な1拍が

 譜面の最後にD.C.が付いていますから、この譜面に忠実に演奏するなら、冒頭の不完全小節にある「ファ」からのグリッサンドの付いた「ラ」に戻ることになります。しかしそうすると2拍子の曲の中に余計な1拍が挿入されることになり、リズム的にはちょっと変な感じになってしまいます。

 そこで、D.C.記号はD.S.(ダル・セーニョ)記号の誤りと考え、さらに1小節目(不完全小節の後の)にセーニョ記号を付け加え、冒頭の不完全小節ではなく、1小節目に戻れば、すっきりと2拍子の曲となります。ポルカは基本的に軽快な2拍子の曲ですから、理にも適うわけですね。実際にそのように書き直している譜面もあります。

 



CCI_000355.jpg
ドレミ楽譜出版のギター名曲170選より。2拍子のリズムを守るため、ダ・カーポをダル・セーニョ記号に書き換えられるなどしている。




あえて余計な1拍を入れた?

 では、初版のダ・カーポ記号が誤りかというと、はっきりとそうも言えないところもあります。まず、この譜面は 「アラビア風奇想曲」 などと同じくタレガが生前したもので、しかもタレガが初めて公式に出版した譜面でもあります。そうしたことからして、おそらくタレガとしても丁寧に出版を行ったと思われるので、単純なミスとは言えないところもあるでしょう。

 つまりタレガが、意識的にダ・カーポにした、つまり冒頭に戻る時にも、あえて冒頭のグリッサンド付きの「ラ」を弾くようにしたとも、十分に考えられるわけです。

 そもそも、ポルカにはアウフタクト(冒頭の音)は不要で、1拍目から始めるほうが一般的です。そうしたことをわかった上で、タレガはあえて冒頭に1拍追加したわけですから、最初に戻る時も、やはりこの1拍は入れた方が良いと判断したとも考えられます。

 因みに、この冒頭の音(グリッサンド付きのラ)は”番外”的なものなので、この音のみテンポから外して長めに弾く方がいいように思います。




そんなこと、どっちでもいいから

 いずれにしても、真相はタレガに聴いてみるしかないのですが、私の予想では、きっとタレガは 「そんなこと、どっちでもいいよ。好きなように弾きなさい」 なんて言うのかなって思います。「そんなことよりもギターらしい音を出すこととか、聴く人に感銘を与えるように努力しなさい」 ・・・・なんて。

 そうはいっても、実際に演奏すr場合はどちらかにしなければなりませんが、私自身はかつてはダ・カーポの際は、この1拍を省略していましたが、最近はダ・カーポ時にも弾くようにしています。
 




中間部のリピートもありかな

 この曲の繰り返しで気になる事と言えば、この譜面通りだと、前半のニ長調の部分にはリピート記号がありますが、ト長調の中間部にはリピート記号がありません。つまりダ・カーポも含めれば前半部分は3回弾くのに、中間部は1回となりますね、やはりななkバランスが悪いような。中間部の方もリピートしていいんじゃないかと、私は思います。この曲はテンポも速く、あまり長い曲でもありませんし。 ・・・・・きっとこれも 「どっちでもいい」 と言われそうですね。
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