中村俊三 ブログ

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バッハ : シャコンヌ ~無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より


 昨日はギター文化館でミニ・コンサートを行いました。とはいっても内容は11月のリサイタルと同じプログラムで、リサイタルの前哨戦といったところです。そこそこ弾けた曲やイマイチの曲などいろいろですが、シャコンヌでは若干ショートカットをしてしまい、ちょっと短いシャコンヌになってしまいました。修正出来なくもなかったのですが、流れををこわしてしまうかなとか、時間も押していたので、そのまま弾いてしまいました。もちろん大いに反省です、一瞬記憶がぼやけたのでしょう。



 さて今日はそのシャコンヌですが、この曲については以前に詳しく書きましたが、今回も若干付け加えておきましょう。この曲はバッハ無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番に属する曲で、256小節の長大な変奏曲です。ヴァイオリンは基本的に旋律楽器ですから、演奏する場合は必ずといってよいほど伴奏が付くか、あるいは他の楽器などとのアンサンブルとなります。ですからあえて「無伴奏」とし、ヴァイオリン単独で演奏するのは極めて異例なものと言えます。特にバッハ生存したバロック時代は「通奏低音」といって音楽には低音が絶対に必要とされていたわけですから、「伴奏なし」などということはとんでもないことだったと思います。



当時でも普通じゃない音楽

 もちろんバッハはその常識を十分に踏まえた上でこれらの曲を作曲したわけですが、とは言ってもバッハは単旋律の音楽を書いたわけではありません。ヴァイオリンにも和音や低音を演奏することを要求し、また少ない音でもちゃんと複旋律になるように作曲してあります。つまりたいへん高度な作曲技法と演奏技術の上にこれらの音楽はバロック音楽として成り立っているわけです。このシャコンヌは数あるバッハの名曲の中でも名曲とされ、ギターで演奏されるバッハの曲の中でもたいへん人気のある曲ですが、同時にその「特殊性」も理解しておいたほうが良いでしょう。


各変奏で音楽を構成=ドラマテック

 このシャコンヌがどのような変奏曲なのかは以前に話したとおりですが、若干付け加えれば、この曲は決してたくさんの変奏の羅列で出来ているわけではないということだと思います。変奏曲には違いがないのですが、その「変奏」で音楽を「構成」しています。決して延々とバッハの作曲技法を聴かされるわけではなく、この曲を聴いている人は、時には厳粛な気持ちになり、また興奮したり、気持ちが穏やかになったり、悲しくなったりなど、この曲の中で一つのドラマを感じるのではないでしょうか。そういった点が多少難解な音楽であるにもかかわらず、この曲が人気の高い曲となっている理由なのではないかと思います。



ピアニストはなぜ自分で?

 さて、それだけ人気の高い曲だけあってオリジナルのヴァイオリンだけでなく、他のいろいろな楽器にも編曲され、演奏されています。もちろんギターもその一つで、演奏される頻度からすればヴァイオリンに引けをとらないかも知れません。

 次にはピアノですが、ピアノで演奏される時にはほとんどの場合、19世紀末から20世紀にかけての作曲家であるブゾーニの編曲で演奏されます。私がシャコンヌを初めて聴いたのも実はこの「ブゾーニ」編でした。この編曲はロマン派的な作曲技法で編曲されたもので、シャコンヌの編曲としては個性的なアレンジだと思うのですが、なぜほとんどのピアニストたちはこの編曲を使用し、またなぜピアニストたちは自分で編曲しないのかはちょっと疑問です。



バッハがチェンバロで弾いたら

 他にはバッハの演奏では評価の高いグスタフ・レオンハルトがチェンバロで弾いています。こちらは「バッハの流儀に従って」編曲されたもので、バッハがシャコンヌをチェンバロに編曲し、演奏したらこんな感じになるんじゃないかなと思わせる編曲と演奏です。組曲全体をイ短調に移調していますが、バッハが他の楽器に編曲する場合はたいてい移調するので、それも「バッハ的」です。声部をかなり付け加えていますが、とても自然=バッハ的に自然です。



ハープもある

 ハープで演奏したのシャコンヌというのもあります(アンドルー・ローレンス=キング)。17分ほど時間をかけてゆったりと演奏していて、とても和む演奏です。



編曲しないのも編曲?

 この曲をギターで演奏する場合はピアノの場合とは逆にたいていの場合、演奏者が自分で編曲しています。もっとも以前は多くのギタリストはセゴビアの編曲か、それに多少手を加えて演奏していましたが、最近では最初から自分の編曲で弾いている人が多くなりました。その中にはヴァイオリンの譜面を全く変更しないでそのまま演奏する人も少なくありません。「編曲しない」のも一つの方法かも知れませんが、バッハが他の楽器のために曲を移し変える時には、必ずその楽器にあった譜面に書き直しますから、全く変更しないというのは、むしろバッハの流儀には副わないことかも知れません。バッハの音楽、あるいはバッハの時代の音楽に精通していて、勇気もあるなら大胆に声部を付け加えるのも一つではないかと思います。



もしバッハがギターに編曲したら・・・・・

 今回演奏する私の編曲ですが、「バッハの音楽、あるいはバッハの時代の音楽に精通」 も勇気もないので、新に声部を追加ともゆかないのですが、前後関係から当然あってもおかしくない程度に低音などを追加しています。それが私の能力からして出来る最大限のところだと思います。聴いた感じからすれば原曲のヴァイオリンの演奏に近いものだと思いますが、ギター的な響きも出せればと思います。もしバッハがギターに編曲したらこんな感じ・・・・・・とは残念ながらゆきませんが。

 
 
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