中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

アルベニス : カディス


カディス湾に面した港町

アルベニスの3曲目は「スペイン組曲作品47」の第4曲目の「カディス」です。カディスもスペインの地名で、ジブラルタルから北西に約100キロほどで、カディス湾に面した港町です。曲の内容ととこの街との関係はよくわかりませんが、多分あまり関係ないのではないかと思います。


ボレロ風のリズムとメロディ

 三部形式で書かれているこの曲の主部では、ボレロ風のリズムに乗せて明るく、穏やかなメロディが歌われます。ギターでこのリズムの軽快さを出しながら、なおかつメロディを歌わせるのはなかなか難しいものがあります。ちょっと聴くと「何気ない」感じなのですが、相当演奏能力が高くないとその「何気なさ」は出ません。美しいメロディの楽しい感じの曲に聴こえてくればよいのですが(中間部では多少勢い込む部分もあります)。


タルレガ編 → バルエコ編

 ギターへの編曲は、古くはタルレガ、比較的最近ではバルエコなどのものがあります。原曲は変ニ長調ですが、タルレガ編は1音高めてニ長調、バルエコ編はそれより5度低くイ長調となっています。
私が1985年のリサイタル(第4回目)で弾いた時にはタルレガ編を使用しましたが、技術的には難しく、次の1989年のリサイタル(第5回目)ではバルエコ編に変えました。こちらのほうが多少弾きやすく、また原曲に近い感じになっています。もっとも部分的にはさらに私の指に合うように、多少弾きやすく直して弾いています。


シャープ脱落

 確かにこのバルエコ編は弾きやすく、原曲にも近い感じなのですが、ただ1ヶ所、16小節目の2拍目ウラの「ラ」にシャープが脱落しています。楽譜にシャープが脱落しているだけでなく、演奏(CD)のほうでもシャープが脱落しています(しかも2度とも!)。つまりバルエコは自分が書いた楽譜の通りに弾いているわけです。どう考えても(どう聴いても)ナチュラルはおかしいので、単純ミスと考えられます。


4小節まるごと

 間違いといえば同じ組曲の「カタルーニャ」では逆にナチュラルのところにシャープが付いてしまっていて、これもどう聴いても変だと思いますが、同じように楽譜も演奏も間違ったままにになっています(あえて変更したとはあまり考えにくいところです)。また同じ組曲の中の「キューバ」ではなんと4小節まるごと脱落してしまっています! これなど一度原曲の譜面を見直したり、あるいは原曲の演奏を聴いたりすればすぐに気が付くと思いますが、やはりこれも譜面と2度にわたる録音でも同じように脱落したままになっています。


結局はバルエコ編で

 確かにバルエコの編曲は弾きやすく、優れた編曲だとは思いますが、同時にいろいろ疑問な点もある編曲です。バルエコ編を使用する時には必ず原曲の譜面と照らし合わせて使用するべきかも知れません(他の編曲の場合でも同じ)。グラナダの場合はバルエコ編で長く弾いてきて、今回のリサイタルの直前に自分のアレンジに変更しました。でもカディスの場合はやはりバルエコ編が弾きやすく、上記の点以外には特に問題点もないので、今回も部分修正のみで、全体的にはバルエコ編で演奏します。
スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する