中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

前回に引き続き「左手」の話です。


 セーハ=音が出なくても形を崩さない

 セーハは人差し指を伸ばして、複数の弦を押さえることですが、ギターを始めたばかりの人には難しいことの一つで、ギターを始めてみたけどセーハが出来なくてギターをやめたなどと言う話も聞きます。しかしある程度ギターを続けて行けばたいてい出来るようになるので、最初はうまく音が出なくてもあまり心配する必要はないと思います。

 音が出ないとどうしても気になると思いますが、最初のうちは少し我慢してください。無理して音を出そうとするとフォームを崩してしまって、かえって良くなくなりますので、まず人差し指を真っ直ぐ伸ばすなど、フォームを整えることの方を優先してみて下さい。フォームさえ出来ていれば、音の方は自然に出るようになるでしょう。
 
 ある程度形が出来たら、人差し指全体に力を入れるのではなく、実際に弾く弦だけ、つまり必要なところだけに力を入れられるようになると良いでしょう。またセーハを使ったコードなどでは人差し指以外の指に力が入らないようするのも大事です。 またセーハの場合何弦まで押さえるかが問題になりますので、これも正確に出来るようにしましょう。

 普通の押さえ方から、セーハに移行する場合、左手はネックから少し離すようにします。親指も①弦側の方に移動しますが、これがなかなか難しいので意識して練習してみて下さい。なおセーハの場合は親指は人差し指の裏側にきます。


 ポジション移動=脱力して「ひじ」で行う

 ポジション移動は中、上級者でもなかなか難しい問題です。ポジション移動をした時、余計な力が入らなければよいと思いますが、これはポジション移動をした時、ギターのヘッドがあまり揺れていないかどうか見てみればよいと思います。かなり動いたりしていれば何か問題があります。

 ポジション移動する場合は、人差し指は弦に軽く触れた状態で移動し、親指は少しネックから離すようにします。移動中は左手の握力を抜き、親指の位置も含め、左手全体の形が変わらないようにするのも大事です。ポジション移動は指で行うのではなく、「ひじ」で行います。

 またあまり速い動作で移動するのも良くないでしょう、あまり速く移動し過ぎると滑らかさを失い、かえってレガートでなくなります。ポジション移動の際に音がつながるかどうかは、左右の手のタイミングの問題で、移動の速さではありません。ポジション移動の距離がある場合、左手全体が「ムチがしなる」ように、つまり手首より「ひじ」のほうが先に動くようにすると柔らかい移動が出来ます。

 難しい曲になれば当然ポジション移動が頻繁になりますから、難しい曲に挑みたい方はぜひとも正しいポジション移動を身に付けて下さい。


 スラー奏法=下行の場合は同時に二つの指を押さえる

 スラー奏法は左指だけで音を出す奏法ですが、ポピュラー系では上行の場合を「ハンマーリング」、下行の場合を「プリング」と言いますが、このほうが意味がわかりやすいかも知れません。

 上行の場合は文字通り「叩く」感じですが、各指の「正しい場所で」指盤の正しい位置を、速い、小さな動作で叩けば、そう強く叩かなくても音が出ると思います。下行の場合は左指で弦を弾く感じになりますが、こちらの方がやや難しいかも知れません。

 下行の場合は同時に二つの指を押さえるのが大事で、それが出来れば音がある程度出るでしょう。また指先の間接が動けばさらに良いと思います。

 スラー奏法が指示されている場合、後の音は小さくなることを前提としますので、それほど大きな音が出なくても構いません。あまり大きく出そうとすると左手全体に力が入り、必要な指が動かなくなり、結果的に音が出なくなります。スラーは軽く少しだけ出ればいいと思うと、かえって出たりします。

 またはっきりと音を出したければ、スラー奏法を使わず、通常の弾き方にすればよいと思います。指のトレーニング的な場合は別ですが、実際の曲の中では、楽譜にスラー奏法の指示があった場合でもどうしても出ない音や、左手に負担がかかり過ぎる場合はスラー奏法を使わないことも可能です。また右手が難しい場合はスラー奏法は有効で、特に指示されていなくてもスラー奏法を使うこともあります。スラー奏法の指示はある程度相対的なもので、演奏者によって多少変更することも出来ます。


 グリサンド=ニュアンス勝負

 ギターらしいニュアンスを出すのに、グリサンドはとても有効です。特にタルレガやリョベットの曲などの演奏には欠くことの出来ない奏法です。グリサンドは技術的には難しいものではなく、特にトレーニングのようなものは必要ありませんが、グリサンドするスピードとかタイミングで様々にニュアンスが変化します。グリサンドは技術的なものではなく、感性の問題ということになるでしょう。

 具体的には、グリサンド後の音を弾くもの、弾かないもの、前打音的なも、などの種類に分かれます(私の教材ではレッスン4に記してあります)。グリサンドを強調したい場合はゆっくり左手を動かすとよいでしょう。あまり目立たせたくない時には速めに移動します。またグリサンド音を全く出したくない場合は移動の際、力を抜きます(ポジション移動)。いずれにしても優れたギタリストたちの演奏を聴いて、グリサンドの様々なニュアンスを感じ取るのが最も大事なことでしょう。


 指を弦から離す=脱力によって

 押さえた指を弦から離す動作のことについては、これまであまり言われることはありませんでしたし、おそらく皆さんも意識したことはないと思いますが、これが意外と大事なことです。通常の弾き方の場合、スラー奏法の場合のように弦を叩きつけるように押さえたのでは滑らかな演奏にはならないことはおわかりと思いますが、押さえた指を弦から離す場合も勢いよく弦から離したのでは右手とのタイミングが狂ったり、次の動作に差し支えるなど、レガートな演奏は出来なくなります。

 弦から指を離す場合は筋力で行うのではなく、「押さえている力を抜く」ことで行います。特定の指の力をタイミングよく抜かなくてはなりませんから少し難しいことかも知れませんが、上達するためには必要なことです。

 練習としては、なるべくテンポも動作もゆっくりと音階練習をして、極力レガートに弾けるようにやってみればいいと思います。この練習はいろいろな人に勧められます、レガートな演奏はギターの演奏の基本で、レガートな演奏が出来ない場合には、マルカートやスタカートの演奏は出来ません。 


 左手のまとめ

 ちょっと長くなってしまいましたが、それでも詳しく書けなかったことや書き忘れていることもあると思います。それらについてはまた後日となりますが、ここまで読んでいただいた方にはお気づきのとおり、左手については「力を入れすぎない」という表現が何度も出てきて、これが最も重要なキーワードになっています。人間というのは意識的に力を入れることは出来るのですが、「意識的に力を抜く」のはなかなか難しいようです。もちろん個人差はありますが、気になる方はぜひ「意識的に力を抜く」ということを文字通り「意識」してみて下さい。

 次回は「ヴィヴラート」についてです。
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