中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

ヘルマン・ハウザー Ⅲ (no.88 1983年)

いろいろ迷い10弦にも

 今回は今度のリサイタルで使用する楽器の話です。私は基本的にそれ程楽器にこだわるほうではありませんが、それでも一時期、1980年代では楽器で迷い、いろいろな楽器を変遷してきました。1973年から1981年まではホセ・ラミレスⅢを使っていました。ハカランダに杉の楽器ですがよく音の出る楽器で、それなりに満足していたのですが、1980年頃から私の興味が現代音楽やルネサンス音楽などに向くようになり、もっと引き締まった音の楽器が欲しいと思い、1981年にドイツの制作家のヘルムート・ブッフシュタイナーの楽器を買いました。ラミレスは弦長も長く弾きにくかったのもあります。ブッフシュタイナーは確かにルネサンス音楽やバッハには良かったのですが、スペインものでは音が今一つ前に出ず、やはり違う楽器にしたいと思うようになりました。その後は余韻の豊かさを求めて10弦ギターを使ったり(約3年間)、また6弦のラミレスに戻ったりといろいろ迷走しました。


ハウザーにしては音量がある?

 1988年にこのヘルマン・ハウザーⅢに行き着く訳ですが、最初にこの楽器を手にした時は特に気に入ったと言う訳ではなく、ハウザーにしては音量がある、特に高音がよく鳴るといった印象でした。それまで弾いた(ギター専門店などでちょっと触っただけですが)ハウザーは低音はよく響くが、高音の音量はそれ程ないといった印象でした。ただコンサート・ホールなどで他の人が弾いているのを聴くとハウザーの音は遠くでもよく聴こえ、いわゆる「遠達性がある」のは確かです。またハウザー独特の音色感というのもあり、ハウザーが好きな人にとってはそれがたまらないということですが、私自身は特にハウザーの音が好きという訳でもありませんでした。そのことは今もあまり変わっていないかも知れません。


とりあえず有名な楽器を

 結局その時この楽器を買うことにした最大の理由は、とりあえず有名な楽器を使ってみたいという単純な理由だったと思います。他の理由を強いて挙げれば、いろいろな意味でバランスが取れていたということでしょうか。ハウザーは一般に低音よりなのですが、このハウザーは前述のとおり高音も結構出て、音量のバランスは取れています。最も中音が最も出るということは後でわかります。音色はやや細め、ちょっと「きつめ」というか、上手く弾かないと汚く聴こえます。


細かく見るとちょっと違う

 もちろんハウザーといっても1本1本全部違うのでしょが、私のハウザーは他のものに比べていくつか違った点もあります。前述の音量がやや高音よりということや、音色は柔らかくなく、ちょっと硬めといった他に、ネックの形がちょっと違っているようです。このハウザーのネックは細めで丸みを帯びています。もしかしたら最初のオーナーが手を加えたのかも知れませんが、他のハウザーとは形状がやや異なりますが、その結果私にはずい分押さえやすく感じます。使用している材料については私にはドイツ松とローズ・ウッドということ以外よくわかりません。


もう20年になる

 今年でこの楽器が製作されてから25年、私が使い始めてから20年になります。よく考えれば私がこんなに長く使った楽器は他にありません。その後創のためにポール・フィッシャー、ジェイコブソン、ロマニロスなどを買い、時には創がハウザーを使い、私がそれらの楽器を使うこともありました。創と楽器を交換しようかと思うこともありましたが、結局はハウザーに戻りました。他の楽器を使うと最初のうちはよいが、だんだ自分のイメージと合わないところが出てきてしまいます。ハウザーを弾いていると、特によい楽器と思うわけではないのですが、演奏の方に集中で、楽器のことを忘れさせてくれます。


楽器のことを気にしないで済むのは名器の証拠?

 「楽器にはこだわらない」などと言いながら、いろいろ書いてしまいましたが、結論からすれば、この楽器は「楽器のことを気にしないで済む」楽器ということになるかも知れません。一応こちらの要求には応えてくれているということでしょうか。あるいは私の耳がこの楽器に馴染んでしまったのかも知れません。


まだまだ頑固だが

 最近では経年変化というか、買った当初に比べれば全体的によく鳴ってきたように感じます。この楽器の最大の長所は音がクリヤーというところだと思いますが、多少膨らみのある音も出てくるようになりました。まだまだ頑固なところはありますが、こちらががんばれば柔らかい音や、優しい音もなんとか出ます。

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