中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 前回の続きといった感じになりますが、サリエリのCDを聴きました。一つは「序曲集」でオペラの序曲を12曲集めたものと、もう一つはサリエリの代表作の一つと言われるオペラ「オルムスの王アクスール」全曲です。サリエリの曲は例の「アマデウス」でちょっと聴いたはずですが、もちろんほとんど覚えていません。確かその映画の中では凡作の象徴のような形で出てきたような気がします。


 と言うわけでサリエリの曲を聴くのは実質上初めてということになります。序曲集の方から聴いてみると、とても親しみやすい感じというか、それぞれどこかで聴いたことのあるような旋律が出てきます。かといってそれが何の曲だったかは思い出せません。本当は聴いたことがあるわけではなく、一度聴くと何となく耳について、聴いたことがあるような気がするだけなのかも知れません。ハイドンやモーツアルトの曲より覚えやすい感じがします。メロディの美しさ、劇的効果といったものは十分ある感じがしますが、構造的にはあまり複雑ではないようです。


 「オルムス王のアクスール」はダ・ポンテの台本による1787年頃の作品で、時期的には同じポンテの台本で書かれたモーツアルトの「フィガロの結婚(1885年)」、「ドン・ジョバンニ(1787年)」などとほぼ同じ時期に書かれています。もともとは「タラール」というフランス語のオペラ、つまりパリでの公演のために作曲されたオペラだったそうですが、パリで当たったために、オーストリア皇帝、ヨーゼフⅡ世の命でイタリア・オペラに書き直されたものだそうです。この序曲こそ本当にどこかで聴いたことがあるように思うのですが、思い出せません。もしかしたらギターに関係ある曲かも知れません。


 このCDはRene Clemencic指揮、Orchestra Firarmonica di Russe他の演奏ということで、その演奏者などについては全くわかりません。1980年代の録音ですが、ライブ録音らしくあまり音質はよくなく、特にオーケストラの音は何か遠くで鳴っているような感じです。サリエリの音楽としては声楽が入った方がより優れているのではないかと感じます。またマンドリン伴奏のアリアが出てきたり、テンパニーを効果的に用いたりとか楽しめる曲が結構あります。フィガロの結婚の有名なアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」を彷彿させる曲などもあります。


 19世紀中頃から20世紀後半くらいまで、おそらくほとんど演奏されなかったと思われるサリエリのオペラですが、最近では結構上演もされているそうで、またCDもたくさん出ています。もしかしたら映画「アマデウス」とサリエリの音楽の復活とは何らかの関係があるのかも知れません。だとすると、とんだ「ぬれぎぬ」だったこの映画もサリエリにとっては悪いことばかりではなかったかも知れません。


 話は変わりますが、先日、家で水戸ギター・アンサンブルの新年会をやった時、メンバーのSさんがモーツアルトのピアノ協奏曲第23番の第2楽章が好きだという話になり、CDをかけてみました。この曲はシチリアーナ風の嬰へ短調の憂いを帯びたとても美しい曲で、「アマデウス」でも確かタイトル・バックになっていたような気がします。モーツアルトが作品を残した様々なジャンルの中でもこの「ピアノ協奏曲」というのは格別な気がします。モーツアルトのピアノ協奏曲ではピアノ「だけ」が主役ではなく、他の楽器、特に管楽器にも大きな役割が与えられています。特に第2楽章ではそれぞれの楽器がまるで会話をするごとく美しい旋律を奏で合い、それにピアノが、そのパーティのホストのように会話にからんできます。もちろんそのピアノはモーツアルト自身が弾くためのものだったでしょう。

 「アントンのやつ今日ばかに調子いいな、この前、カミさん出て行ったなんていっていたけど、戻ってきたのかな・・・・ ハンスめ、なんだって一番いいところではずすんだ、そらそうだよな、昨晩あんなに飲んじゃ、だからここらでやめとけって言ったのに・・・・」なんてまわりに気を配りながら自らは楽譜には書いていないパッセージを・・・・・

そんなこと思っていたかどうかもちろんわかりませんが、少なくともモーツアルトは自分の音も他の人の音も同じように聴いていたのは確かでしょう。あらためてモーツアルトの音楽を聴いてみるとモーツアルトの音楽には美しいとか面白いとかを超えた何かがあるように思います。それを「生きることの実感」などと言ってしまうと言葉の一人歩きになってしまうでしょう。もちろんモーツアルトの曲すべてにあてはまるわけではありません。


 いつのまにか「宿敵」モーツアルトの話になってしまいました。サリエリ先生、ごめんなさい。
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