中村俊三 ブログ

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      本 007


クェサーの謎~宇宙でもっともミステリアスな天体

          谷口義明著  BLUE BACKS  講談社



懲りたはずだが

 私の場合、大学時代の苦い思い出から物理学などという文字は見るのも、聴くのも嫌いになったかといえば、意外とそうでもなく、時々このような本を読んだりしています。もっともこの本など物理学、あるいは天文学の本というより、物理学に「多少関係のある本」といったほうがよいかも知れません。数式などを見ると頭が痛くなるのは昔とあまり変わっていなくて、そういったものが出てくるとなるべく見ないようにしています。


 といったことで今回は本当に音楽にもギターにも関係ない本になってしまいましたが、ちょっと一息つきたい時、遠い遠い、本当に遠い宇宙の果てに想いを馳せるのも一つかなと思います。クェサーという言葉がどれくらい認知度があるのかわかりませんが、ブラック・ホールとかビック・バンなどよりは低いのではないかと思いますので、一応説明しますが、何ぶんド素人の説明なので、興味のある方は当書、または検索などで確かめて下さい。


星みたいなもの?

 クェサーは言葉の意味からすると「恒星状の電波源」といったような意味ですが、実態としては「非常に遠方(10億光年~128億光年)にある、異常に活動的で明るく輝く銀河の中心核」ということになるでしょうか。もともとは名前のとおり電波源として発見されましたが(1963年)、電波源といった意味合いは二次的な問題のようです。「恒星状」とはその光源が極めて小さく、光学望遠鏡では私たちの銀河(天の川銀河)内の恒星のように見えるからだそうです。実際は前述のとおり銀河系外のはるかに遠いところから極めて強い光を放つ天体ということになります。


巨大ブラック・ホールが鎮座

 この極めて強い光源は、明るい星などがたくさん集ったくらいででは実現できる強度ではなく、巨大なブラック・ホール(太陽の100万倍~10億倍の質量)が関係している以外には考えられないようです。もっともブラック・ホールは文字通り「真っ黒で見えない」天体ですからブラック・ホール自体は輝いたりはせず、実際に輝くのはブラック・ホールの周囲を高速、高密度で回転するガスということになります。まとめると、クェサーとは中心核に巨大なブラック・ホールを持ち、そこに円盤状にガスが高速、高密度で回転して(最後にはブラック・ホールに落ち込む)、その際極めて強い電磁波を出している銀河、またはその銀河の中心核ということになります。


銀河の衝突

 このような巨大なブラック・ホールが出来た理由として銀河の衝突があるようです。衝突といっても銀河の星どうしが直接衝突するわけではなく(いろいろな条件から考えて直接ぶつかるのは極めて難しい)、二つ、あるいは複数の銀河が一つになると考えたほうがよいかも知れません。ただしブラック・ホールだけはその引力の強さから二つ、あるいは複数のブラック・ホールが一つになる確率が高いのだそうです。その様に衝突を繰り返して巨大なブラック・ホールが出来るようです。


身を潜めて

 このクェサーはビッグ・バンから10億年後くらいから現れ、現在から10億年くらい前、つまり私たちの銀河から10億光年以内では発見されていません。セイファート銀河というそれほど強い光は放ってはいないが、クェサーと似た性質をもつ銀河はあるのですが、クェサーそのものは現在では見あたらないようです。クェサー、すなわち巨大ブラック・ホールが消えてしまうことはありえなく、存在するが、ただかつてのように光らないだけのようで、おそらくガスなどの少ない楕円銀河になってしまっているのではないかということのようです。


ホワイト・ホール?

 私がこのクェサーのことを本で最初に読んだのは確か1970年代の終わり頃だったのではないかと思います。その頃はまだブラック・ホールなどでさえ一般にはまだあまり知られてなく、このクェサーなど本当に宇宙の果ての未知なる天体として書かれていました。確かに「その中心には巨大なブラック・ホールが潜んでいるのかも知れない」とも書いてあったと思いますが、断定的ではなく、「それはもしかしたらホワイト・ホールで、さかんにこの宇宙にエネルギーと物質を供給しているのかも知れない」、あるいは「もしかしたらこれは宇宙にあいた窓で、クェサーはこの宇宙外から来る光かも知れない」とも書いてあったような気がします。

 「ホワイト・ホール」というのはブラック・ホールの反対でブラック・ホールは光や星やガスなどすべてのものを飲み込んでしまうわけですが、ホワイト・ホールのほうは逆にそういったものを「吐き出す」天体というわけで、「ブラック」があるなら「ホワイト」があってもいいんじゃないかということのようです。最近ではこの言葉は全く聴かなくなりました。妄想の域を出ないのではないかと思いますが、しかし何があってもおかしくない物理学の世界ですから断定は出来ないかも知れません。いずれにしても30年くらい前にその本を読んだ時、私自身とても衝撃と興奮を感じたのを覚えています。


この宇宙は何次元?

 今回挙げた本は2004年の出版ですから、その後の研究や観測によりクェサーに関しては、前述のとおりかなり詳しくわかってきたようで、前に読んだ時疑問だった点などについてはっきりとした解答が出された感じで、確かにすっきりとはした感じです。しかし逆にいえばあまり「ミステリアス」ではなく、あって当然なものといった感じで、興奮度は「ホワイト・ホールか!、はたまた別の宇宙への小窓か!!」のほうがあったっかも知れません。

 宇宙などというのは多少わからないところがあるほうがロマンが掻き立てられるのかも知れません。でもいくら研究が進んだとしても未知なる部分に事欠くことはないでしょう、何かがわかれば次にまた疑問が生じるでしょういから。最近の宇宙物理で「未知」といえば差し当たり「ダーク・マター」というやつかも知れませんね、これがなければ私たちの銀河は形成されず、また美しい渦巻き形も維持出来ないのだそうですが、まだその正体は掴めていません。異次元からの重力効果という話もありますが・・・・・
 

 
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