中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

ミスっても

計4ヶ所間違えましたね

 一般にギター教室の先生などというのは、生徒さんのミスを指摘するのが仕事のように思われているかも知れません。一曲弾き終る度に、「ここと、ここと、それからここも間違えましたね、あとこっちと、計4ヶ所ですね」なんて・・・・・・
 もちろんそんなことはありえません。生徒さんが違うフレットを押さえてしまったり、違う弦を弾いたりしても、特にそのことを指摘することはありませんが、そうなってしまう原因とか、そうならないための対策などについて話すことはあります。また、ミスを気にしすぎる生徒さんは多いので、「特に重大なミスではありません、あまり気にしないで先を続けてください」などと言うことはよくあります。私のようにギターの教師などという仕事をしていると、ミスのない演奏を聴くことはかえって稀で、普通のギターの愛好家に比べるとミスには相当慣れているといってもよいでしょう。一般のギター愛好家の場合ですと、日常的には優れたギタリストのCDとかコンサートを聴く機会の方が多いでしょうから、むしろミスのある演奏にはあまり接しないのではないかと思います。


マイナスのアクション

 と言うように、普通ミスそのものについて「ここ間違えましたね」などと言うことはあまりないのですが、ただし、生徒さんがミスをした時、声を出したり、首をかしげたりなど何かのアクションをした場合は、やや強い口調でそうしたことはしないように言うことはあります。中には間違える度に「すみません」などと謝る人もいますが、このことについても絶対にしないように言います。確かにギタリストの中には演奏中にいろいろアクションを行ったり、うなり声を出したり、一緒に歌ったりする人がいます。聴いている方としては多少煩わしいと感じることもありますが、たいていの場合、そのギタリストが自分自身の集中力を高めたり、自らを鼓舞するために行っていることが多く、その演奏内容さえ良ければ、聴衆としてはやむを得ないことと、一般には受け入れられています。しかし間違えた時に首をひねったり、声を出したりなどのマイナスのアクションはやはり聴衆には受け入れられないことでしょう、仮にもプロのギタリストのコンサートではあり得ないことと思います。


誰にも迷惑かからない

 コンサートなどではなく、たとえレッスン中だとしても、こうしたことを無意識にやってしまうと、習慣化、つまりくせになってしまいます。「くせ」になると、所を選ばずそれをやってしまい、それを直すのが難しくもなります。そういう傾向のある人はなるべく早い段階で、出来れば初心者のうちに直しておきたいものです。またギターを弾き間違えたくらいでは、誰の迷惑になることでもないので、もちろん謝る必要など全くありません。確かに日常生活では、何か間違いをした時、例えば誰かの足を踏んでしまったら、まず「ごめんなさい」と謝るのがモラルということになるでしょうが、演奏の場合は何かのトラブルがあったとしても、まず演奏を先に進めるのが最も正しいことです。弾き間違えて「ごめんなさい」と言うことは、かえってモラルに反する行為ということになります。


やり直し=即失格

 次の問題として、声を出したりはしないものの、間違えるとそこで止まってしまったり、その音を何度か弾き直したりする人は非常に多く、大多数の生徒さんがそうしてしまいます。確かに間違えても止まらずに先に進むというのはたいへん難しく、初心者のみでなくキャリアの長い人でもそうした人はよく見かけます。しかしミスをゼロにすることが出来ないとすれば、間違えても先に進められるか、られないかという問題はたいへん大きなことといえます。ミスの度に止まったり、やり直しをしてしまったら、演奏にはなりません。私がレッスン中によく言うことですが、もし試験に例えたら、「一つの音を間違えてもせいぜい3点か5点のマイナス、そのことでタイミングなどが狂えば10点くらいのマイナス、演奏を完全に中断すれば50点のマイナス、最初からもう一度やり直せば0点」ということになるのではないかということです。本当に、あるギター・コンクールで最初からやり直した場合は、即失格などという規定があったと思います。


命をかけて・・・・・

 確かに演奏家というのは演奏を途中で中断するというこをたいへん嫌う人種です。昔読んだ本で、あるソプラノ歌手がオペラの舞台のバルコニーから誤って落ちそうになり、手すりにつかまり宙ぶらりんになりながら、そのアリアを最後まで歌ったといったことが書かれてありました。また直接聴いた話ではありませんが、木村大君がコサートの最中に停電で真っ暗になってしまったが、それでもその曲を最後まで演奏したという話を聴いたことがあります、十分にありうることだと思います。言ってみれば演奏家というのは演奏を中断しないことに命をかけたりする人達ということになります。もっとも本当に身の危険を感じたら中断するかも知れませんが、でもプロの演奏家の多くは、それくらいの気持ちで演奏に臨んでいるのではないかと思います。

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