中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 水戸ギター・アンサンブル演奏会も、もうすぐとなりました。今週の土曜日(13日)が本番とあって、今日は9:00から16:00過ぎくらいまで、ずっと練習を行いました。貴重な休日がまる1日ギター合奏の練習となってしまうメンバーも、本当にたいへんだと思いますが、皆こころよく付き合ってくれました。今回は結構難しい曲もあって本番が大丈夫かなという曲もありましたが、今日の練習でなんとか演奏会を迎えられるような気になれました。

 それでは今回の演奏会の曲目などについて詳しく書いてゆきたいと思います。



グリーン・スリーブス(作者不詳~中村俊三編曲)

 グリーン・スリーブスはよくご存知の曲と思います。普通この曲は「イギリス民謡」ということになっていますが、古くは低音だけが決まっていて、それに演奏者が自由に上声部を加えて演奏する曲だったという話もあります。現在知られているメロディはその中の一つだったのかも知れません。「民謡」というからには歌詞があるはずですが、そちらのほうはよくわかりません。


 今回演奏するグリーン・スリーブスはおそらく17世紀の始め頃のものと思いますが、リコーダーなどの旋律楽器と「グランド・バス」によるもので、作者はわかりません。「グランド・バス」というのは正確にはわかりませんが、譜面上では単旋律で書かれ、おそらく通奏低音と同じものではないかと思います。番号の付かない通奏低音といったところでしょうか。前述のようにこの低音の上に単音のメロディが付け加えられ、8小節のテーマと14の変奏の形になっています。最初のテーマは最後にまた演奏されるので、結果的には8×16小節になっています。バロック時代などの曲はこうした「割りのよい」小節数になっていることがよくあります。


 そのテーマは普通よく聴いているグリーン・スリーブスと少し違いますが、似た感じではあります。このグリーン・スリーブスはある程度有名なものらしく、フルートとハープで演奏されたCDもあります(クリスチャン・ラルデ&マリー・クレール・ジャメ)。また「カール・シャイト編」で山下和仁、尚子さんがギター二重奏でかつて録音していました。聞き覚えのある人もいるかも知れません。


 今回演奏する私のギター合奏へのアレンジでは、もともとが単旋律だったので、それにいろいろ音を加えているのですが、単にハーモニーを加えただけのものから、ポリフォニー的な声部を付け加えたり、リズムを変化させたりなどもしています。若干時代不詳的になってしまった感もありますが、ギター合奏ぽくはなっているかなと思います。私の場合「編曲」といってもほとんどの場合、楽器の移し変え、つまり「トランスクリプション」なのですが、この曲に関しては「アレンジ」といえるかも知れません。




アレグレット・グラチオーソ(交響曲第8番ト長調第3楽章~アントン・ドボルザーク)

 今回チェコ出身の大作曲家アントン・ドボルザークの曲を演奏するわけですが、実はこれまで私自身はあまりドボルザークの曲をあまりたくさん聴いてはきませんでした。ドボルザークの曲は比較的親しみやすいはずなのですが、その理由は自分でもよくわかりません。比較的よく聴く曲としてはチェロ協奏曲くらいでしょうか。「新世界」は子供の頃好きだったのですが、大人になってからは聴く機会は少なくなりました。この「交響曲第8番」も曲全体としてはそれほど聴く曲ではなかったのですが(最近では結構聴きます)、この第3楽章の「アレグレット・グラチオーソ」だけはとても親しみを感じていました。


 3年くらい前だったかこの曲のCDを聴いている時、ふと「あれ?もしかしたらこれギター合奏でいけるんじゃない」ということが頭をよぎり、早速スコアを買ってアレンジを始めてみました(前述の話からすると、正確にはトランスクリプション)。多少親しみやすい曲とはいえ、なんといっても交響曲の一つの楽章ですから、難しいところもあるとは思いましたが2007年から練習に入り、その年の水戸市民音楽会で演奏してみました。その時にはまだまだ不十分な点も多かったのですが、少なくともギター合奏にはよく「はまる」曲だとは感じました。


 なんといってもこの曲は冒頭のト短調のメロディが印象的で、悲しくもあり、また弾んだところもあるという、言ってみれば「悲しき舞曲」といった感じです。たぶんこのメロディは一度聴いたらたいていの人は記憶に残ってしまうメロディではないかと思います。また初めて聴いた人でもなんとなくどこかで聴いたことのあるメロディと感じるのではないかと思います。また中間部のト長調のメロディもとても気持ちの和むもので、エンデングのおしゃれです。


 比較的原曲と近い音域でアレンジしているので(原調のト短調)で、冒頭のメロディはアルト・ギターのハイポジションで演奏しています。このポジションではアルト・ギターの音はほとんど伸びないので、人差し指の爪の裏表によるトレモロ奏法を使うしかありません。ギター合奏には欠かせない奏法ですが、実はこれがなかなか難しい、下手をすれば雑音だらけになってしまいます。またこの奏法は長い音は弾きやすいのですが、短い音符、特に弦が変わる場合が難しくなります。


 このトレモロは私一人で弾いているのですが、それだけだと音の変わり目や短い音符が不明瞭になってしまいます。それを補うためにもう1本のアルト・ギターを通常の弾き方でかぶせています。上手くゆけば弦楽器のような感じがでるのではと思います。トレモロに限らず、アルト・ギターで美しい音、特に歌うような柔らかい音を出すのは難しく、普通のギターならある程度よい音を出せる人でもアルト・ギターになると硬めでノイズっぽい音になってしまいます。音色を考えるとアルト・ギターは使いたくないのですが、通常のギターだけでアンサンブルを行うと、特にこのようなオーケストラ作品などでは中音域に音が集まり、とてもごちゃごちゃした感じになってしまい、やはりアルト・ギターを使わざるを得ません。

 最後には「ボヤキ」になってしまいましたが、グリーン・スリーブスとアレグレット・グラチオーソの2曲のパート編成は以下のとおりです。


アルト・ギター      中村俊三   石川惠子

プライム・ギター 1   丹 朋子   中川真理子

プライム・ギター 2   中居直也   萩野谷稔

プライム・ギター 3   佐藤智美   後関信一

プライム・ギター 4   石川博久   市毛和夫

コントラ・バス・ギター  佐藤眞美



*アルト・ギターは通常のギターよりも5度(7フレット)高い

*プライム・ギターは通常のギター

*コントラ・バス・ギターは通常のギターよりも1オクターブ低い



 
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