中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 先週はアンサンブルの演奏会などがあり、このテーマも書き始めからだいぶ日にちが経ってしまいました。もう「最近聴いたCD]という感じではなくなってしまったのですが、最後にハイドンとギターの関係についてちょっとお話したいと思います。

 
 「ハイドンとギターの関係」といっても実は直接的には全くといってよいほど関係はなかったようです。ギターという楽器の存在くらいは知っていたでしょうが、ギターに関係のある作品は1曲もないようです(私の知る限りでは)。因みにモーツアルトに関しては、オペラ「フィガロの結婚」の中でケルビーノがギターの伴奏でアリアを歌うというシーンがあり、確かに舞台にはギターが登場するのですが、実際の音はギターではなく弦楽器(ヴァイオリンやチェロなど)のピッチカート奏法によるものです。「ギターは小さなオーケストラ」と言ったと言われているベートーヴェンにはマンドリンのための小品はあるのですが、ギターの作品はありません。結局のところこの古典派の巨匠3人とギターとはあまり縁がなかったようです。


 バッハの場合はギターの作品はありませんが、リュートのための作品を残していることは皆さんもご存知と思います。バッハの遺品の中にはリュートもあり、多少は自分でも弾いた可能性もありますが、実際に作曲したのはリュートに似た音の出せるチェンバロのための作品だそうです。それらの作品としては編曲も含め4つの組曲他を残しています。バッハの「リュートのための作品」は、本当にリュートのための作品かどうか、若干微妙なところもありますが、しかしこのことは見方を変えれば、バッハがリュートという楽器、および音色に強いこだわりを持っていたことを証明するものとも言えると思います。


 何はともあれ、バッハがギターと親戚筋のリュートのための作品を残したということは、我々ギターをやるものにとってはたいへん大きいことで、我々としてはこのバッハのリュートのための作品を、ほぼオリジナルとして堂々と演奏しています(リュートではなくギターで演奏するとなると本当はかなり遠いのですが)。さらにバッハ自身がヴァイオリンやチェロの曲をリュートに編曲していることから、他のヴァイオリンやチェロ、特に6曲ずつの無伴奏曲などはギターで演奏してもよいのだと思うようになりました。つまりいろいろなバッハの作品をギターで演奏することについて、いわば免罪符を与えられたと考えるわけです(ちょっと都合のよい解釈かも知れませんが)。もっともそうしたことがなくてもギタリストはバッハの作品を演奏するでしょうが、少なくとも一種の「後ろめたさ」は感じずに済むでしょう。 


 話がそれてしまいましたが、ハイドンの話に戻りましょう。ご存知の方もいるかも知れませんが、ハイドンには「リュート四重奏ホ長調作品2-2」などリュートを含む室内楽が何曲か残されています。しかしこれらは同時代のリュート奏者がハイドンの初期の弦楽四重奏曲から編曲したものだそうです。以前この「リュート四重奏曲」をリューテストのミシャエル・シェーハー他が録音していて、そのLPを私も持っています。またギタリストのジョン・ウィリアムスもかつて「ギター四重奏曲」として録音していて、このLPもあります。これらの録音は現在CD化されているのでしょうか? またこれらの曲の新しい録音などはあるのでしょうか? なお原曲の弦楽四重奏曲のほうはハイドンの真作だということです(ハイドンの初期の室内楽には偽作が多い)。


 ハイドンの曲で最もギターで演奏される曲としては、フランシスコ・タレガが編曲したニ短調の「アンダンテ」でしょうか。タレガは他にもハイドンの作品を10曲前後編曲しています。この「アンダンテ」の原曲は「バリトン三重奏曲第87番イ短調」の第3楽章の「メヌエット」だそうです。「バリトン」とはビオラ・ダ・ガンバの一種で、ハイドンの雇い主であるエステルハージ侯が好んだことにより126曲のバリトン三重奏曲を作曲したそうです。今まではほとんど聴かれることのなかった作品ですが、最近ではそのバリトン三重奏曲全集のCDも発売されています。まだ持っていませんがいずれ取り寄せようと思っています。でも本当に「メヌエット」なら「アンダンテ」にはならないのでは・・・・・・・


 私自身ではかつてセゴビアのLPで弦楽四重奏曲Op.74-3からの「ラルゴ・アッサイ」~タレガ編、同76-1の「メヌエット」~セゴビア編、交響曲第96番「奇跡」からの「メヌエット」~セゴビア編などをよく聴いていました。特に「奇跡」のメヌエットはセゴビアが演奏したいろいろな曲の中でたいへん好きな曲の一つで、この曲が最もセゴビアの魅力を出しているように思います。またハイドンとセゴビアはなんとなく相性がよいようにも思います。原曲の交響曲を知る前にこのセゴビアの演奏を何度も聴いていたので、私にはギターの方がまるでオリジナルのような感じがしています。最近では自分でも弾いていますが、ちょっとセゴビアぽいかも知れません(ちょっとどころではない?)。
  
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