中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。


メロディがメロディらしく聴こえるためには

 前回の話で「メロディがメロディらしく聴こえる」ということについて若干補足します。まずは基本のことですが、音の長さを正確にとること。このことと「歌わせる」こととはあまり関係がなさそうに感じるかも知れませんが、たいへん重要なことです。次に音質や音の大きさをそろえること。メロディらしく聴こえるためにはまずメロディとしてふさわしい音、つまり豊かで美しい音でなければなりません。やせ細った貧弱な音や、雑音ぽい音や硬めの音ではダメでしょう。また音の大きさもそろえなければなりませんので、大きさのコントロールも必要です。

 
 さらに最も大事なこととしては、音の「余韻」を聴くこと。確かにギターの音は弾いた瞬間に大きな音がして、その後はだんだん小さくなってゆきます(音の減衰)。しかし小さくなるとはいってもこの余韻がギターにとってはとても大事なのです。「ギターは余韻の楽器である」などと誰かが言ったと思いますが武満徹の音楽を聴くとこのことがよくわかります。歌やヴァイオリンなどは次の音に移るまで同じ大きさですが、ギターなどの場合、音は一旦小さくなってから次ぎ音に移ります、例え小さくなったとしてもこの余韻を聴いていることはとても大事なことで、次の音に移るまで余韻が聴こえていなければなりません。その余韻が聴こえる人、あるいは聴こうとする人はギターが上手くなりますが、そうでない人は上手にはなりません。


たくさんのメロディを弾く

 私の教室では初めてギターを習う場合、単旋律の練習をたくさんやって貰う話をしました。今現在ではまるまる一冊のテキストが単音、および単旋律の練習となっています。最初の段階で音階練習などを中心にレッスンする先生もいると思いますが、私の場合、いろいろな曲のメロディをたくさん弾いてもらうことにしています。確かに指のトレーニングとしては音階練習のほうが効率的なのですが、それ以上にギターでメロディを弾く感覚はもっとも大事なので、そちらの方を重視しています。これには譜面の読み方とか、音の長さの取り方を練習する意味があることは前にもお話しました。もっともこれまでピアノなどをやっていてそうしたことに全く問題のない人もいますので、そうした人の場合は逆に音階練習を中心にレッスンを行います。


メロディに集中する

 一応単音のメロディが弾けるようになったら和音やアルペジオの練習となりますが、その時でも二重奏の形でメロディの練習も行います。低音や和音の付いたメロディ、つまり独奏曲の練習に入るには1~2年くらいしてからになりますが、そうした伴奏が付くと、どうしてもメロディがメロディらしく聴こえなくなってしまいます。その大きな理由としては当然のことながら左右の指ともそれだけ難しくなるので、なかなか思ったように指が動かないということですが、それ以上に大きな理由として、耳や神経がメロディに集中出来なくなるということがあります。

 独奏曲を弾くにはメロディと伴奏を同時に「弾く」だけでなく、同時に「聴かなければ」なりません。初心者の段階ではこれがなかなか難しいことです(もしかしたら中級者や、上級者でも)。そのような場合にはまずメロディだけを弾いて、そのイメージをしっかりとイン・プットします。そして伴奏を付けた場合でもそのメロディに意識を集中します。それらを交互にやってみると、伴奏が付いた場合でもだんだんメロディらしくなると思います。それが出来るようになったら、逆に伴奏の方に集中します。特に開放弦の低音は間違えやすいので要注意です(この話も前にしました)。


指が上手く動かなくても

 実際に低音や和音の付いたメロディを弾いた場合、なかなか単音で弾いたようにはならないのは決して初心者だけではなく、上級者にも言えることですが、そのためにも単音でメロディがきれいに弾けることが大事になるでしょう。仮に指の関係などでなかなか思うようにならない点があったとしても、単音でメロディがきれいに弾けていて、またそのイメージが自分の中にあれば、いずれはそのイメージに近づいてゆくのではないかと思います。さらに状況が許されれば、一方のパートがメロディのみ、もう一方のパートがアルペジオなどの伴奏といったシンプルな二重奏をやってみるのはとても良いことでしょう。
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