中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

螂丈ク


 今日(9月6日)ギター文化館で村治奏一君のリサイタルを聴きました。7月の大萩君と続けてこのギター文化館で現在日本で最も注目されるギタリストの演奏を聴くことになります。奏一君の演奏は一昨年ギター文化館、昨年つくばノヴァ・ホール以来ということになります。今日のプログラムは以下のとおりです。


 第1部

ソル : 第7幻想曲作品30

バッハ : シャコンヌ



 第2部

アルベニス : セビーリャ

バリオス : ア・ミ・マドレ(我が母へ)

ストレイホーン~ディアンス編 : A列車で行こう

バリオス : 過ぎ去りしトレモロ

レゴンディ : ノクターン「夢」作品19

ディアンス : フォーコ(リブラ・ソナチネより)

タレガ : アルハンブラの思い出

マイヤーズ : カヴァティーナ

アレン~武満編 : オーヴァー・ザ・レインボー

ジョビン~ディアンス編 : フェリシターヂ


 *アンコール曲   ポンセ : エストレリータ     作者不詳 : 愛のロマンス


 冒頭で奏一君自身で言っているとおり、第1部と第2部とではだいぶ曲数が違います。演奏時間は曲数ほどではないですが、やはり第2部のほうが長いものでした。急遽館所蔵の楽器を用いての演奏となり、最初のソルの幻想曲はアントニオ・トーレスで演奏されました。奏一君のこの曲は以前にも聴いていて、大きくは以前の演奏とそれほど違いないのでしょうが、今日の演奏では音も、またその音楽もいっそうクリヤーな感じがしました。


 シャコンヌとセビーリャはマヌエル・ラミレスで演奏されました。奏一君の弾くシャコンヌは以前にも書いたとおり、ヴァイオリンの譜面をほとんどそのまま演奏していて (ごく僅か和音の配置を変更している程度)、低音などの追加は全くしていません。昨年ノヴァ・ホールで聴いた時とはちょっと違った印象だったのですが、後で奏一君に聴いたところ、特に変更はしていないとのこと。会場の違いが大きいのでしょうか、今日の方が自然に感じました。セビーリャは明るい音を多用していて、文字通り華麗な演奏です。アレンジも私などが弾いているものよりずっと難しいものになっていますが、もちろんそんなことは感じさせない演奏です。


 「ア・ミ・マドレ」から「フォーコ」までは奏一君所有の楽器である中野潤製作の楽器が使われましたが、前後に演奏された名器に比べても全く遜色なく、若さと華やかさを感じる楽器で、やはり演奏者には最も合っている楽器かなと思いました。とても美しく演奏された「ア・ミ・マドレ」もさることながら、次に演奏された「A列車でいこう」は、こんな演奏他の誰も出来ないといった感じで、ただ、ただ拍手するのみ!


 「過ぎ去りしトレモロ」、「夢」、「アルハンブラの思い出」とトレモロの曲が3曲演奏され、そのトレモロの美しさは今さら言うまでもないのですが、一音一音が美しいだけでなく、その一つ一つを完全にコントロールしていて微妙にそのスピードを変えながら歌わせています。またどんなに難しい個所でも左手と完全にシンクロしていて、美しいメロディ・ラインとなっています。


 ディアンスの「フォーコ」は普通の感覚で言えばかなりの難曲ですが(少なくとも私には弾けない)、もしかしたら奏一君にとっては今日のプログラムの中で最も気軽に弾ける曲だったかも知れません。相当なスピードで弾いているのですが、音が不明瞭になることもなく、またバランスや音量も損なうことなく会場内を興奮に包んでしまいます。


 「アルハンブラの思い出」から「フェリシダーヂ」まではドミンゴ・エステソを使用しましたが、この楽器は5月の当館のフェスティヴァルの時、私も弾かせていただいた楽器で、「華やかで、スペインの曲がよく似合う」と言った覚えがありますが、奏一君は「カヴァティーナ」や「オーヴァーザ・レインボー」などをしっとりと柔軟に、やさしく演奏していました。


 今回の演奏曲目はほとんど前回も聴いているのですが、それでもまたいろいろ驚かされたコンサートでした。
 
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