中村俊三 ブログ

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イサーク・アルベニス ピアノ協奏曲第1番(幻想的狂詩曲)作品78

  1887年初演 ~1967年オーケストラ譜発見


   pino : Felicja Blumental      conductor : Alberto Zedda      Torino Orchestra


 アルベニスの作品はほとんどピアノ独奏曲なのですが、オペラや協奏曲も作曲していることは以前にも書いたと思います。最近ではそれらの曲も録音されていて、CDなどで聴く事が出来ます。このアルベニスのピアノ協奏曲については、HMVのネット・ショッピングで2種類ほど入手可能で、今回のものはその一つです。


 このブログを読んでいる方のうち、どれくらいの人がこの曲を聴いたことがあるのかわかりませんが、かなり稀な曲であるのは確かでしょう。おそらく演奏されたり、録音されるようになったのも比較的最近のことと思います。上記のように一時オーケスラ譜が不明となり、1967年に再発見されたようですから、なおさらだと思います。因みにこのCDの録音は2002年となっています。


 この曲の第1楽章の冒頭は、ロマン派の協奏曲の典型的な感じです。一応譜面も載せておきましたが、私が採譜したもので、多少違っているとは思いますが、「だいたい」で見てください。


アルベニス協



 上の方はオーケストラで演奏される、第1主題と思われるものですが、情熱的な感じで、アルベニスというより、シューマンか、ブラームスのように聴こえます。少ししてピアノもオーケストラを伴いながらこのテーマを演奏し、しばらくはこのテーマを中心に曲が進んで行きます。下のほうは第2主題と思われるもので、ホ長調に変わり、テンポもゆっくりになります。こちらの方はスペイン的ではないとしても、アルベニス的というか、アルベニス好みのメロディといった感じで、スペイン組曲の「キューバ」などにちょっと似ています。


 第2楽章はゆっくり、静かな感じの「Reverie」と速い「Scherzo」の二つの部分からなり、後半のスケルツィオは第1楽章の第2主題を素材として用いています(嬰ヘ長調→ロ短調)。第3楽章(アレグロ)の方は第1楽章の第1主題を用いています(ロ短調→イ短調)。以上のようにこの協奏曲は3楽章の形になっていますが、3つの楽章は同じ素材からなり、これもロマン派の音楽の特徴を示しているといってもよいでしょう。


 ちょっと聴いた感じでは、確かにロマン派の典型的な協奏曲といった感じですが、最後まで聴くとシューマンやブラームスの音楽のように情熱的とか、緊張感のある音楽ではなく、もう少し穏やかというか、ドボルザークの音楽のように和む感じの音楽にも感じます。確かにメロディの美しさで聴く音楽かも知れません。このアルベニスのピアノ協奏曲は、ショパンやシューマン、ブラームス、チャイコフスキーといった大作曲家のピアノ協奏曲と同一のレヴェルで語ることは出来ないかも知れませんが、とても親しみやすい曲で、何回か聴いているうちに愛着も感じるようになりました。皆さんも出来れば自分の耳で確かめてください。


 なおこのCDには同じアルベニスの「スペイン狂詩曲」=(ピアノ&オーケストラによる) も入っていて、こちらはスペインの民謡を素材として用いているようで、協奏曲よりもスペイン的な感じがします。他にTavaresという作曲家の「ブラジリアン・フォームによる」協奏曲も収められています(実際はこちらのほうがメイン)。前述のとおり21世紀の録音ですが、残念ながら音質はイマイチです(もう1種類のCDほうが音質はようという話)。


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