中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

     アルペジオとトレモロ奏法

 クラシック・ギターの曲で、「アルハンブラ宮殿の想い出」や、「森に夢見る」などトレモロ奏法を使った曲は根強い人気があります。こうした曲を弾きたいとか、トレモロ奏法が出来るようになりたいと思う人はたくさんいるのではないかと思います。トレモロ奏法は、pで低音を弾いた後、a、m、iの順で主に高音の同じ音を弾き、マンドリンのような効果を出す弾き方です。ゆっくり弾けば誰にでも出来るのですが、CDのような速さで弾ける人はそう多くはいないでしょう。仮に速く弾けたとしても、音が揃っていなかったり、かすれたような音になってしまったりで、美しく、はっきりした音で、しかも速く弾くのはたいへん難しい弾き方の一つです。

<アルペジオの練習から入る>
 トレモロ奏法は指の動きとしてはアルペジオと同じなので、アルペジオの練習から入るとよいでしょう。トレーニング曲としてはアグアードのホ短調のアルペジオ練習曲(アルペジオ練習曲としては有名なもの、私のテキストではレッスン6)などがよいと思います。右手はいろいろバリエーションがありますが、とりあえずpimaから始めます。ゆっくり弾く場合、親指はアポヤンド奏法で、他の指はアルアイレです。imaはしっかりと弦を掴まえてはっきり大きな音を出して下さい、スピードを上げる前に、しっかりとした音を出すのがたいへん重要です。ゆっくり弾けたら少しずつスピードを上げてゆきますが、pami、pimamiなどいろいろ右手の弾き方を変えて練習するとよいでしょう。速くする時には腕や肩、手首などの力を抜いて指先だけで弾くような感じでやってみて下さい、音量はある程度小さくなるのはやむを得ないでしょうが、かすれたようにはならないようにして下さい。速くなってもちゃんと指先で弦を捉えられれば、ある程度の音は出ると思います。また速くなった場合は親指もアルアイレ奏法でよいでしょう。

<ゆっくり確実に~力を抜いて速く> 
出来れば、メトロノームの数字で、4分音符=100を越えるようにしたいと思います。しかし先ほども言ったとおり、いくら速くても音がちゃんと出なくてはいけませんから、ゆっくり確実に弾く練習、と力を抜いて速く弾く練習と平行してやってみて下さい。
 アルペジオで100を超えればなんとかトレモロ奏法は出来ると思いますが、同一弦を弾く分だけ、トレモロの方がスピードは落ちると思います。トレモロの練習の場合もアルペジオの場合と同じく、ゆっくりと速くと両方で練習します。親指の方にも注意して下さい。よく音が出ていなかったり、弦を間違えたりしやすいと思います。

<1音1音聞き取る>
 トレモロを速く弾く場合、指の動きだけでなく、耳や指の感覚がスピードについてゆけるかどうかが問題になります。トレモロの音が揃わない人の場合、自分で弾いた音が聴き取れないということも多いようです。いくら速くなっても1音1音自分の耳でしっかりと聴き取って下さい。またいくら速くなってもそれぞれの指がしっかりと弦を捉えている感覚がないといけません。


    和 音

<開放弦の和音でわかる>
和音と言うと押さえ方の問題ではと思う人も多いと思いますが、右手の問題の方が大きいと思います。開放弦の和音(①②③⑥を同時に弾く場合など)を弾いているのを聴くと、だいたいその人のギターの実力などがわかるのではないかと思います。なんといっても音を聴き取る能力はよくわかります。もしきれいに揃って音が出ているとすればその人が4つの音をちゃんと聴きとっているということになります。音色もきれいに出ていれば音色感もすぐれていることになります。なおかつそれらを実現できる指の動きをしているということになります。そういう人だったら曲を弾いてもかなり上手に弾けるでしょう。

<それぞれの音を聴き取る> 
というわけで和音を上手く弾くのには、まずなんといってもそれぞれの音を聴き取ることです。なかなか聴き取れない場合はまず①弦だけ弾いてみて、次に4つの音を弾き、その和音の中で①弦の音が聴き取れるかどうかやってみます。①弦の場合はわりと聴き取りやすいと思います。同様に②弦、③弦、⑥弦とやってゆきます。②弦、③弦は聴き取りにくいかも知れませんが、その場合は逆にその音だけ除いて他の音を弾いてみるのも一つです。
 仮に音が聴きたれなかったとしても、大事なのは聴き取ろうとする意志です、その意志を持つことでだんだんには聴き取れるようになると思いますし、またそれぞれの音もはっきり出てくるようになってきて、結果的に和音のバランスが整うようになると思います。

<均等に弦に圧力を加える>
 和音を弾く場合に最も大切なのは前述のとおり「聴き取り」だと思いますが、指の話としては、まずimaは指先を密着させて揃えることが大事だと思います。指先が離れているとうまくバランスが取れません。次に弦を掴まえた時、均等に弦に圧力を加えます、この時指先の神経がとても大事な働きをします。最初はなかなかこの感覚がつかめないかも知れませんが指先に神経を集中するとだんだん指先が敏感になってくると思います。次に弦を弾く訳ですが、これは一気に瞬間的に弾きます。「握るように」というのは前に話したと思いますが、この時手首が動いたりしては絶対にいけません。親指がいっしょの場合、親指は必ず人差し指よりも左側になければなりません、親指も少し押すようにして弦に圧力を加えてから弾きます。最後に、自分で弾いた音をちゃんと聴かなければならないのは言うまでもありません。


     やはり耳が大事

 これまで左右の「指」や「手」の話をしてきました。ギターは指で押さえて、指で弾くのですから当然のことでしょうが、不思議なことに指のことばかり考える人はあまりギターが上手くなりません。指のことをいろいろ細かく話をした後で、こんなことを言うのも何ですが、いくら指がちゃんと動いても、自分で出した音が聴き取れていなかったら、音楽にはならないでしょう。人間はあまり指に集中すると耳の方に神経がいかなくなります。多少指が間違えたり、上手くゆかないことがあっても自分の音をしっかり聴いていれば、仮にすぐには出来なかったとしても、だんだんには上達してゆくでしょう。「ギター上達法」ということで何回か書いてきましたが、上達のための最大のポイントは「聴く」ことに尽きると思います。これは自分の音も、他の人の演奏も、CDも、コンサートも、上手な人の演奏も、そうでない人の演奏も、すべてを含んでということです。

 この「中村俊三のギター上達法」はまだまだ続きますが、とりあえず「しめ」の言葉が出たところで、ちょっと一休みしまして、次回からは少し違った内容で更新して行きます、読んでいただければと思います。


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