中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

オリジナルどおりの曲目で

 ウィリアムスのような有名なギタリストとなれば、当然過去に録音したLPやCDなどが何度も再発売されるわけですが、その場合、曲目が入れ替えられたり、人気曲だけがピック・アップされたりなど、録音時期の異なるものなどが組み合わされたりすることがよくあります。この5枚組の特徴の一つは、それぞれがオリジナルのLPのジャケットを縮小した紙ケースに入っていることですが、それ以上に注目すべきは、それぞれがオリジナルの曲順になっていて、これはとても貴重です。ただし録音期日などが明記されていないのはちょっと不可解で、当ブログの中で書いている録音年などは私の記憶や推察、あるいはオリジナルのLPなどによっています。したがって若干異なる場合もあるかも知れません。



       CDウィリアムス 002

    JUN WILLIAMS ORIJINAL ALUBUM CLASSICS

アストゥリアス、タンゴ(アルベニス) カナリオス(サンス)  ファンダンゴ(ロドリーゴ)  ノクトゥルノ(トロバ)  詩的ワルツ集(グラナドス)  ソナタ(マティオ・アルベニス)  魔法の輪、市長のおどり、粉屋のおどり(ファリャ)  マドロニョス(トロバ)  クリスマスの夜、聖母の御子(カタルーニャ民謡)  ゴヤの美女(グラナドス)  コルドバ(アルベニス)



 さて2枚目のものは、「ジョン・ウィリアムス プレイズ スパニッシュ」と題されたもので、この5枚の中では唯一の独奏曲集です(他は協奏曲が2枚、ヴァイオリンとの二重奏、ブリームとのギター二重奏)。このLPは1969年頃の録音ですが、私個人的にはウィリアムスのLP,CDの中で、あるいは私が持っていた全ギターのLP,CDの中で最もよく聴いたものの一つです。私がオリジナルのLPを買ったのは1971年頃ですが、その年の秋に虎ノ門ホールでリサイタルも聴き、いろいろな意味で影響を受けました。



1971年 虎ノ門ホールでのリサイタル

 話が若干それますが、その1971年に聴いたリサイタルの話もしておきましょう。それまで写真で見るウィリアムスは黒縁メガネに横わけ、タキシードに蝶ネクタイといったスタイルで、よく言えば本当にプリンスらしい感じ、見ようによってはホテルマンか銀行員といったとても生真面目な印象でした。ところが当日は長髪で、サイケ調のシャツにブーツという、ほとんどロック・ミュージシャンのようないでたちでステージに現れました。自らの優等生キャラを脱ぎ捨てたということなのでしょうか、ともかく皆驚いたのは確かです。しかし実際に演奏されたギターの音は本当に美しいもので、同じ美しさでも気品のあるクリスタルな美しさでした。特に後半は友人に前の方の席をゆずってもらったのでウィリアムスの「生音」がよく聴けました。そこで聴いたトロバの「マドロニョス」は今でも鮮明な記憶があります。1990年代の末頃にもウィリアムスのリサイタルを聴きましたが、ご存知のとおりアンプを使用したもので、「CDと変わらない」といった印象以上のものは持てませんでした。ウィリアムスが変わってしまったのでしょうか、いや、私の方が変わってしまったのかも知れません、やはり時計は戻らないということでしょうか・・・・・・



華麗な音質で

 話を戻しますが、このLPは、それまでに録音されたウィリアムスのLPに比べ、いろいろな点で違いがあります。まずは録音の仕方が変わり、それまでの清楚な音から、とても華麗なものに変わっています。具体的に言えば高音部を伸ばし、さらに人口的と思える残響もかなり付いています。ウィリアムスのLPのこうした傾向はその後のLPにも若干続きますが、徐々にその派手さは影を潜め、その反動でしょうか、1970年代の後半になると逆にほとんどデッドとも言えるほど響きは抑えられ、また音量レヴェルもかなり低めに設定されるようになりました。ポンセの曲集のLPなどは最も典型的な例で、音量レヴェルがかなり低いために、私が持っていた当時のオーディオでは針のノイズばかりが目立ってしまいました。


トロバの2曲などが復活

 このLP(プレイズ・スパニッシュ)のアルベニスやグラナドスなどの主要な曲は、後に、それ以前に録音されていたアルハンブラの思い出などと共にCDとなり「スペイン名曲集」として発売されました。これは現在でも国内盤として出回っていますから、持っている人も多いかも知れません。しかしそのアルハンブラの想い出など人気曲と組み合わされたおかげで、オリジナルのLPの曲のうち、マドローニョス、ノクトゥルノ(トロバ)、カナリオス(サンス)の3曲が外されてしまいました。特に前述のトロバの曲が外されてしまったのがとても残念だったのですが、それがこのCDでは、もちろん1曲も欠くことなく再収録されています。またこのようにオリジナルの曲順で聴くと格別な感じがします。


勢い余って

 前述のとおり、アストゥリアスなどの主要な曲はその後ずっと「スペイン名曲集」として出回っているので、特にコメントはいらないかも知れませんが、音質などはこのCDの方が若干クリヤーになっている感じがします。アストゥリアスに関して言えば、後半の方でラスゲヤードの時、2度ほど指が弦にひっかかり、エコーのような音が出ています。このようなこと編集でどうにでもなることなのですが、おそらくこの方が面白いと考えあえて編集せずにおいたのでしょう、粋なことをしたものです。もちろん演奏はすばらしいもので、速い部分や難しい部分でもとてもクリヤーに、またクレシェンド、デクレシェンドもしっかりかかっています。確かに誰にでも出来ることではありません。


アルベニスが二人?

 次のアルベニスのタンゴも名演です。この曲の難しさは去年いやというほどわかりましたが、ウィリアムスはもちろんそのようなこと微塵も感じさせず、たいへん美しくメロディを歌わせています。次のカナリオスはバロック音楽らしからぬ華麗さと、ノリのよさです。次のファンダンゴも・・・・・  1曲1曲書いているときりがないのであとは実際に聴いていただくしかありませんが、名演ぞろいの中で、個人的にはやはり今までCDになっていなかったトロバの2曲は特別な感じがします。ちょっと前(多分1967年頃)に録音した「ラマンチャの歌」もよかったですが。因みにマティオ・アルベニスはイサーク・アルベニスとは全くの別人です。「マティオ」の方はバロック時代の人で、スカルラッティ風の鍵盤曲を書いていたようです。

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