中村俊三 ブログ

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アンドレス・セゴヴィア名演集 10枚組 1390円

CD-1 : J.S.バッハの作品 
CD-2 : ミラン、ヴィゼー、 ラモー、 サンスなどの作品 
CD-3 : タルレガ、グラナドス、アルベニスなどの作品
CD-4 : テデスコ:ギター協奏曲第1番ニ長調 他
CD-5 : ポンセ:組曲イ長調、ソナタ第3番ニ短調 他 以上1927年~1949年の録音
CD-6~8 : ルガーノ(1968年)、アスコーナ(1955年)、ボローニャ(1972年)のライブ録音
CD-9 : クラウス・フェルドマン&ライナー・フェルドマンのギター・デュオ(1993~2000年)
CD-10 : スパニッシュ・アート・ギター・カルテット (2001年)



   セゴヴィア



10枚 = 1390円 !!

 今回紹介するCDアルバムは、20世紀を代表する大ギタリスト、アンドレ・セゴヴィアのCDが、10枚で1390円という、まさに価格破壊的な値段のもの。Documentsというドイツのレーヴェルから出ているものですが、このレーヴェルからは他に「協奏曲集」やな「名指揮者集」、「大ピアニスト集」、など同様企画があり、内容はイタリアのルガーノなどのライヴ録音が中心となっています。

 このセゴヴィアのアルバムの内容は上記のとおりですが、まず1927年から1949年にかけてのいわゆる「SP録音」が5枚。アスコーナ、ルガーノ、ボローニャのイタリアで行われたリサイタルのライヴ録音が3枚。他に二重奏と四重奏のCDが各1枚となっています。この二、四重奏は名前などからすればドイツ人のようで、セゴヴィアとはあまり関係のないギタリストのように思います。おそらくこのアルバムを「10枚組」にするために組み入れられたのでしょう。そういえばセゴヴィアの演奏の方も1枚あたり40~50分とやや短く、最近の平均的な収録時間からすれば、8枚のところを6枚でも十分に収められる時間で、がんばれば5枚でも収まりそうです。無理やり”10枚組”にした感じは否めませんが、仮に「5枚組」だったとしても十分にお買い得品と言えるでしょう。



1927年~1949年のSP録音

 CD1~5の1927年~1949年のSP録音ですが、これらの音源はこれまでLPやCDとして何度も発売されてきたものなので、すでに持っている人も多いかも知れません。音質は元々がSP録音なので、相応の音ということになりますが、若干聴きにくいものから、SP録音にしてはかなりよいものまで様々です。特にノイズ・カットの仕方などが曲ごとに異なるようで、ノイズをカットするということはどうしても「本来の音」の一部もカットされてしまいます。したがってあまりノイズをカットしてしまうと音が詰まり気味になったり、貧弱になったりしてしまい、多少ノイズがあっても本体を削らない処理の仕方のほうがよい感じがします。SP盤独特の「サー」というノイズも慣れてしまえばそれほど気にならなくなるものです。



若い頃はテンポが速かった?

 演奏については、一般に出回っている1950年代以降のものと比べて、テンポが全体にやや速い傾向にあります。これはセゴヴィアの「若さ」によるものとも考えられますが、SPの収録時間を考慮したとも考えられます。ただ、ほとんどの曲は、回転数の関係などで音程が高くなっていて(曲によっては半音くらい高い)、実際はそれほど速くはなかったと考えられます。また当時の録音はいわゆる「一発録り」で、ライヴ的な感覚もあり、勢いとか緊迫感といったものは、後のLP録音よりあるのではないかと思います。一方音楽の構成や、全体像などを考えると、やはりLP録音のもののほうが上回っているように思います。また、同じ曲の「別テイク」、つまり違う時期に録音したものもかなり入っていて、ライヴ盤のほうも合わせるとアルベニスの「セヴィーリャ」や「朱色の塔」、トロバの「カスティーリャ組曲」など3種類も入っている曲もあります(「セヴィーリャ」は二重奏も含めれば4種)。


ライヴ録音

 次のCD6~8はイタリアの3つの都市におけるライヴ録音で、文字通り、セゴヴィアの”生”が聴けるということになります。録音時期も1950~1970年代のもので、上記のものより格段によくなっています。特に「アスコーナ」のライヴは、1955年と言う時期を考えても格段によい音質で、演奏もすばらしいものです。このアスコーナでのリサイタルからはヴィラ・ロボス、ポンセ、テデスコ、アルベニスなど7曲収められていますが、どの曲も演奏、録音とも秀逸。まさに若さと、成熟を両方とも兼ねた演奏といえるでしょう。セゴビアは1893年生まれで、この年には62歳になり、今の私よりも年長ということになりますが、演奏を聴いた感じでは壮年期真っ盛りといった感じです。



正真正銘のセゴヴィア・トーン

 セゴビアの演奏は、特にポンセの作品がよく似合うと思いますが、この演奏(ソナタ第3番のⅡ、Ⅲ楽章)を聴くと、多彩な音色を駆使して奥行きのある音楽を作っています。軽い音、重たい音、明るい音、暗い音、普通の音・・・・ でもやはり特徴的なのはメロディを甘く歌わせる音。かつて「こんな音、生のギターで出せるはずがない、これはレコードにする時、機械的に作っているんだ」などい言われていましたが、もちろん多くの聴衆の前でギター1本で出しているのは間違いありません。



絶好調!

 「セビーリャ」なども一般に出回っている、同時期(1952年=デッカ)にスタジオ録音されたものより演奏、録音とも優れている感じがします。 それにしてもライヴ録音のはずなのに、咳などの雑音などがほとんど聞こえてきません。聴衆も極めて集中して聴いているのでしょう。ただし拍手は爆発的なので、ボリュームの上げ過ぎには要注意。



オマケ

 CD9、10は前述のとおり”枚数合わせ”のために入れられたものと思われますが、クラウス・フェルドマン&ライナー・フェルドマンというギタリストの二重奏と、他に二人加えたスペイン・ギター・カルテットの演奏です。スペインの名が付けられていますが、名前などからすればすべてドイツ人のギタリストのようです。曲目はおそらくすべてスペインの作曲家によるもので、グラナドス、アルベニス、ロドリーゴなどの編曲作品が主ですが、 Emilio Serrano とか Ruperto Chapi など初耳の作曲家の曲もあります。面白いところでは、ロドリーゴの「ソナタ・ジョコーサ」を二重奏で演奏しています。カルテットで演奏している「アルハンブラの想い出」のアレンジもなかなか面白くなっています。



大人の事情?

 確かにこれはこれでなかなか楽しめる演奏なのですが、ただし8枚目までのセゴヴィアの演奏とはまるで違う傾向なので続けて聴くとちょと違和感があります。数合わせとしても、もう少し相性のよいものとか、関連性のあるものはなかったかなと思いますが、その辺は会社の事情というところでしょうか。

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