中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

クラシカル・ギター・コレクション、あと10枚なので、一応全部紹介してしまいましょう。



  CD12、13  ソル、コスト : 二重奏曲集  ~ラコートを使用してのオリジナル版

 ジュリアーニの二重奏曲集と同じく、クラウディオ・マッカーリとパオロ・プリエーゼの演奏ですが、使用楽器は作曲者に合わせて当時のフランスの製作家、ルネ・ラコートの3本の楽器が中心となっています。「慰めOp.34」は普通「アンクラージュマン」と呼ばれていて、ウィリアムスのCDの時にも触れた曲です。主旋律が第1ギターのみになっているオリジナルの譜面を使用していると思われますが、聴いた感じではそれほど違いはありません。主旋律以外の音などを抑え気味に弾いているところはジュリアーニの場合と同じです。

 アンクラージュマンの他、「ロシアの思い出」、「二人の友」、「幻想曲」他、教育的な作品も含めて現存するソルの二重奏曲がすべて収録されています。かつて山下和仁、尚子兄妹も全曲録音していました。

 コストの二重奏曲はなななか珍しいもので、今まであまり録音されなかったものだと思います。「グラン・デュオ」はなかかの力作です。なお最初に記載した曲目リスト(HMVのもの)では「コステ」となっていますが、一般には「コスト」とカタカナ表記されます。
 
 
 
  CD14 ポンセ、カルリ、ヴィヴァルディ : ギター協奏曲   ~アルフォンソ・モレーノ、 ヨゼフ・サプカ

 アルフォンソ・モレーノとヨゼフ・サプカという二人のギタリストによる4曲の協奏曲の入ったCDですが、おそらく本来は別の音源だったのでしょう。アルフォンソ・モレーノといえば、1970年代の後半に水戸でリサイタルを聴いた記憶があります。確かパリ国際ギター・コンクールを優勝してすぐの頃だったと思います。メキシコ出身のギタリストで、とてもパワフルな演奏だったのを覚えています。このCDを聴いてもそのパワフルさは健在なようです。ポンセの「南の協奏曲」は、セゴヴィアのために作曲され、セゴヴィアの録音も残されている曲で、ギター協奏曲としては名曲に数えられると思います。録音データなどは記されてなく、多分1980年代の前半くらいのものだろうと思いますが、音質とオーケストラの力量は今一つの感があります。

 カルリの協奏曲はジュリアーニの協奏曲第1番と同じ時期に作曲された曲で、ジュリアーニの曲同様、初版では管楽器も加わった「フル・オーケストラ」版でしたが、後に弦楽合奏に縮小した譜面が出されたようです。このCDでもその弦楽合奏版になっています。曲の方はとても親しみやすい感じで、カルリの曲としては独奏曲より楽しめるのではと思います。またここには収録されていませんが、カルリのもう一曲の協奏曲「協奏曲ホ短調」も魅力的な曲です。

 ヴィヴァルディの「協奏曲ハ長調」は原曲はマンドリンのための協奏曲で、かつて映画「クレーマー・クレーマー」に使われた曲。「二長調」の方はリュートのための協奏曲で、ギターでは大変よく演奏される曲です。
 
 

  CD15 カルッリ : ギターとピアノ・フォルテのための二重奏曲集   ~19世紀の楽器による二重奏

 曲目リストにはギタリストが「アルフォンソ・モレーノ」となっていますが、これは Leopoldo Sarasino の間違いです。蛇足かも知れませんが、楽器の「ピアノ」の正式名称は「ピアノ・フォルテ」と言い、これは弱音も強音も出せるということで、そう名づけられたのだと思います。もちろん今では面倒なので「ピアノ」と言うようになっています。これはおそらく世界中どこでも同じなのだろうと思います。しかし19世紀初頭くらいまではフルネームで呼んでいたと思われ、現在の習慣として、19世紀初頭くらいまでのピアノは「ピアノ・フォルテ」と呼び、19世紀後半くらいのものからは「ピアノ」と呼んでいます。したがってここで書かれている「ピアノ・フォルテ」は19世紀初頭の楽器で、Felix Gross と言う人の作だと記されています。

 ギターの方もオリジナル楽器で前述のマッカリなどと同じくガダニーニを用いています。曲のほうはさすがカルリらしく、どこかで聴いたことの(弾いたことのある)メロディやパッセージが次々と出てきます。現代のグランド・ピアノよりはこのピアノ・フォルテのほうがギターには相性がよいとは思いますが、基本的にはそれぞれ似た音質で、なおかつ音量が全然違うので、やはり難しい点もあるでしょう。



  CD18 ロマンティック・ギターⅠ   ~ダニエル・ベンケー  一人二重奏によるクラシック名曲

 ダニエル・ベンケーというギタリストは1970年代くらいに名前だけは聴いたことがあります(覚えやすい名前のせいか)。中身の方はシューベルトの「セレナード」やリストの「愛の夢」などクラシック名曲の二重奏と、RocamoraやRohなど、初めて名前を聴く作曲家の曲、およびタレガのアラビア風奇想曲などの独奏曲となっています。ギタリストの名前は一人しか書いてないので二重奏の方はオーヴァー・ダビング(一人二重奏)なのでしょう。このCDの前半と後半が全く違う傾向の曲なので、2種類以上の音源を1枚のCDにまとめたものかも知れません。

 前半の二重奏では、馴染みのあるメロディを美しく聴かせ、また初めて聴く作曲家の曲は、曲も演奏もなかなか興味深いものです。ただ1枚のCDとして聴くとやはりまとまりを欠くように思います。またジュリアーニやピッチニーニなどの曲を聴いた後では違和感も感じます。出来れば別なコレクションに入れてもよかったのでは・・・・・というのは余計なお世話かな。


 
  CD19 ロマンティック・ギターⅡ   ~セゴビアの高弟、アリリオ・ディアス

 アリリオ・ディアスは1923年にベネズェラに生まれたギタリストで、レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサとセゴヴィアに師事し、セゴヴィアのシエナでのマスタークラスでは助教もした人です。録音データ等はありませんが、おそらく1960年代の録音で、楽器もラミレスⅢではないかと思います。ディアスの演奏は、セゴヴィアを彷彿させる演奏で、20世紀を代表するギタリストの一人だと思います。「ロマンティック・ギター」とタイトルされていますが、実質的にはスペイン・ギター曲集です(ヴィラ・ロボスの曲も入っていますが)。

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