中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 CD22 マキシモ・ディエゴ・プホール:ギター二重奏曲全集   ~ピアソラ風のタンゴ二重奏曲

 マキシモ・ディエゴ・プホール(1957~)はタンゴの巨匠、アストル・ピアソラ風のギター曲を作曲している人です。確かに聴いた感じではピアソラの曲に似ていて、こCDの2曲目の「ミロンガ」などはほとんど「ブエノスアイレスの冬」に聴こえます。演奏者(ジョルジオ・ミルト、 ビクトル・ビジャダンゴス)については情報がありませんが、技量も高く、また音も美しく、この音楽を過不足なく表現しているように思います。ミルトの方は10弦ギター使用とのことです。これも聴いていてとてもくつろげる1枚です。


 
 CD23 カステルヌーヴォ=テデスコ:ギター協奏曲全集   ~テデスコの3曲の協奏曲

 ロレンツォ・ミケーリはイタリアのギタリストと思いますが、ナクソスの方でもタデスコのギター独奏曲集を出していて、テデスコのスペシャリストなのかも知れません。またナクソスとブリラントをまたいで録音しているギタリスト多いようですね、このようなこともこうしたレーヴェルの特徴なのかも知れません。「二つのギターのための」はマッシモ・フェリチとロレンツォ・ミケーリ、「第1番」はミケーリ、第2番はフェリチが演奏しています。曲目リストのほうに3つの協奏曲の他に「変奏曲によるサラバンド」というのがありますが、これは別個の曲ではなく「第2番」の第2楽章のことのようです(でもどうせ書くなら「サラバンドによる変奏曲」?)。

 「第1番」はセゴビア献呈された曲で、明るく、はつらつとしていてなかなか楽しめる曲です。この曲もアランフェス協奏曲に次ぐギター協奏曲の名曲でしょう。「第2番」は確かパークニングのために作曲された曲だったと思いますが、「二つのギターの・・・・」は誰だったかな・・・・。 オーケストラの技量はすごく高いとはいえないかも知れませんが、まず問題はないでしょう。


 
 CD24 ジラルディーノ:超絶技巧練習曲第1集    ~楽譜の校訂で有名なイタリアのギタリストの作品
 
 アンジェロ・ジラルディーノと言えば、楽譜の校訂者として知られていますが、作曲もしていたことはこのCDで初めて知りました。12曲の練習曲が収められていますが、作風としては前衛的(最近この言葉はあまり使われなくなってきたかな)で、無調的、あるいは12音技法的のようです。最近のギター曲に多くみられる、パーカッション的な特殊技法はあまり使われず、純粋な音程関係のみで作曲されています。またポピュラー音楽的な要素やリズムも使われてなく、いわば「正統的な」前衛音楽といったところでしょうか。12曲ともそれぞれ副題が添えられ、バルトーク、ベルク、プロコフィエフ、ヴィラ・ロボスなどの現代音楽の作曲家へのオマージュもあります。なお演奏しているギタリスト(クリスティアーノ・ポルケッド)については詳細はわかりません。



 CD25 ブローウェル:ギター独奏曲集

 いよいよ最後の25枚目は、キューバの作曲家、レオ・ブローウェルの「20のシンプルな練習曲」に、ブロウェルの作品としては人気の高い「黒いデカメロン」と「舞踏礼賛」が収められたCDです。ブローウェルもかつてはギター界における、前衛音楽の旗手などと言われましたが、こうして聴いてみると、すっかり耳に馴染んでいて、普通の(?)ギター曲という感じがします。

 同じ前衛音楽でもシェーベルクなどの無調、あるいは12音技法的ではなく、不規則なリズムに特徴があったり、民謡てきな旋律、あるいは旋律の断片を使っていたりで、強いて言うならストラビンスキーなどの路線に近いのかも知れません。 「黒いデカメロン」や「舞踏礼賛」は今や定番的なギターのレパートリーで、「シンプル・エチュード」は現代音楽への導入として、欠くことの出来ない教材です。ジョヴァンニ・カルーソの演奏は的確で、力強い演奏です。



 次回は「ギター上達法

 一応これで全部紹介し終わったことになりますが、このCDを購入した方も全部聴くのはなかなか大変だろうと思います。もちろん聴きたいCDだけ聴けばよいのだと思いますが、その際、この記事などを参考にしていただければ幸いです。この「格安CD紹介」はいずれまた再開したいと思いますが、とりあえずこの辺でシメておきましょう。次はまた「ギター上達法」を復活しようと思っていますが、じっくり考えないといけないところもあるので、このあとちょっと間があくとは思います。



 *限定15部

 今日、現代ギター社のOさんが私の家に来られ、いろいろな新刊書を紹介した後、「これは残りあと15部しかない貴重なものです、この際、先生1冊いかがですか」とバリオスの洋書を差し出しました。その本は英語とスペイン語で書かれたもので、後ろの方にはバリオスの自筆譜の写真がありました。価格を聞くと2~3万円すると言うので、「考えておきます」と返事をしてしまいました。

 その本を眺めているうちに、前回の「ワルツ第3番」ことを思い出して、その箇所を見てみたのですが(最初から32小節目の2拍目の「シ」~『B』の部分の5小節目)、確かにナチュラル記号は付いていないのですが、付けてある運指からすると、間違いなく「ナチュラル」と考えられます。どうやらこの「シ」の音はナチュラル記号の脱落と考えた方いいようです。ギタリストの作曲した曲は運指の方が信頼できるということもあります。これからこの曲を演奏する人はナチュラルになおしたほうがよいと思います。

 因みに記されている運指ではこの小節全体が「セーハ10」となっています。また冒頭の部分はバリオス自身、8分音符を詰め気味に弾いていて、ほとんど3連符のように弾いています。従って他のギタリストもほとんどの人が3連符で弾いていますが、譜面のほうにはしっかりと「普通の」8分音符で書かれています。つまり一般的な譜面どおりに8分音符で弾いても悪くはないということだと思います。もしかしたら自分以外の人はそう弾いた方がよいと思っていたのかも知れません。

 と言ったように、この本を買わずに立ち読みならぬ「座り読み」して、なお且つ当ブログの記事に活用してしまいました。Oさんごめんなさい。代わりにといっては何ですが、お金に余裕のある人と、バリオスに強く興味がある方はぜひこの本を買って下さい。早く決断しないとなくなってしまいますよ!
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