中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 今回はプジョールの「タレガの生涯」やリウスの「フランシスコ・タレガ」に描かれているタレガの人物像を具体的に追ってみたいと思います。



中肉中背、長い髭
 
 タレガの体格は文章や集合写真によると、身長は高くもなく、低くもなく、痩せても、太ってもいない、いわゆる「中肉中背」といった感じです。タレガのトレード・マークともなっている長い髭は、少なくとも19歳では伸ばしていたようです。

 幼少時にベビー・シッターにより下水に投げ込まれてしまい、以来目に問題を生じ、常に失明の危機を感じていたようです。とくに「逆さまつげ」といって、まつげが眼球の方に向かって伸びてしまうために、常にまつげを抜かなければならず、まつげが目に刺さるとたいへんな痛みを感じたようです。

 しかし晩年に至るまで楽譜や手紙を読んだり、書いたりしていましたから、幸いにも失明したり、視力が極端に弱くなったりはしなかったようです。



        tarrega.jpg



ヘビー・スモーカー

 食生活については、特にグルメといった感じでもなく、またお酒に関する記述もあまりありません。しかしかなりのヘビー・スモーカーだったようで、練習中も写真のようにタバコを吸い、内輪のコンサートではタバコを吸いながら演奏ということもよくあったようです。

 タレガが使用していたトーレスにもタバコの灰で焦がした痕があるそうです。タバコの銘柄にもこだわっていたようで、タバコがタレガの唯一の贅沢だったのかも知れません。しかしそのタバコが、タレガの寿命を縮めることになった脳塞栓症に関係あった可能性もあります。



ちょっと弾きにくそうに見えるけど・・・・

 この写真を見るとネックがかなり下りめになっていて、右肩が上がり、体の中心線も左に傾いているように見えます。タレガのどの写真を見ても大体このようになっていますから、たまたまというわけではないようです。

 私たちの感覚ではこの姿勢で長い時間ギターを弾くと体が辛いのではと思いますが、長年こうした姿勢でギターを弾いているので、タレガにとってはこの姿勢が一番弾き易いのでしょう。左手がかなり低めになっているので、左手の疲労は少ないかも知れません。


アポヤンド奏法が主

 右手首は下方に若干曲げられ、親指以外の指が弦に対して直角に近くなっています。ご存知のとおり、最近ではこのフォームで弾くギタリストは少なくなりました。

 このフォームの利点としてはアポヤンド奏法の時、人差し指と中指の指先が揃い易いということがあります。現在の主流のように弦に対して斜めに、アポヤンド奏法で音階などを弾くとどうしても中指を曲げて指先を揃えなければなりません。

 現代ではアルアイレ奏法が主に用いられるので、この「斜め」のフォームが主流となったのでしょう。



金属的な音は徹底して嫌った

 普通の人がこのタレガのように指を弦に対して直角に弾くと、音が硬くなったり、ノイズが多くなったりしてしまいますが、もちろんタレガの場合はこのフォームから美しい音を出していたのでしょう。

 本の中でもタレガは金属的な音は徹底して嫌ったと書いてありますが、この写真を見ても右手はかなり左の方で、ほとんどフレットにかかっています。私たちはタレガの”生”の音を聴く事はできませんが、たいへん柔らかい音が中心だったのは確かでしょう。


基礎練習は欠かさない

 ギターの練習にはかなり時間をかけたようで、音階練習などの基礎的なトレーニングは晩年に至るまで欠かすことはなかったようです(ちょっと耳が痛い!)。教則本の出版も考えていたようですが、残念ながらタレガの死により未完となってしまいました。

 しかしその教則本に組み込まれ予定だった譜面などが若干残され、現代ギター社からも出版されており(タレガ練習曲集)、そのトレーニング法などを知ることが出来ます。



髭の間から顔を出すタバコ

 写真が不鮮明で恐縮ですが、くわえたタバコが長い髭の間から顔を覗かせています。今にもタバコの火が髭に燃え移りそうでちょっと怖い感じがしますが、おそらくいつもの風景なのでしょう。

 場所は自宅ではなく、背景からすると宮殿のようなところみたいで(写真に場所は記されていません)、コンサート、あるいはその前後かも知れません。

 写真などからすると、当時のスペイン人の成人男性はほとんど髭を生やしていたので、髭そのものは珍しくはなかったでしょうが、その長さは特徴的だったようです。
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