中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

今ごろ買っていたのでは・・・・・ 

 予定ではヴィラ・ロボスの交響曲や弦楽四重奏曲の紹介をする予定だったのですが、日にちもだいぶ経ってしまい、私の興味も他の方に移ってしまったので、そちらの方はまた別の機会にすることにします。CDはいつもネットで買っていることもあって、どうしても海外盤ばかりに目がいってしまいがちですが、今回は久々に国内盤の紹介です。

 と言っても、このCDは先月のギター文化館での福田進一ギター・リサイタルの折、会場で買ったもので、発売時に話題になったCDで、本来なら当然すでに購入しておくべきもの。今頃買っていたのではちょっと肩身が狭いかも・・・・・  この「オダリスクの踊り」の続編であるタレガ作品集Ⅱ「エチュード・ブリランテ」も同時に購入したので、そちらも次回紹介します。


      福田

      タレガ作品集「オダリスクの踊り」 
   タレガの没後100年に当たる昨年(2009年)の7月の発売

           収録曲  
オリジナル : ラグリマ、パヴァーナ、マリーア、ワルツハ長調、夢(トレモロ)、グラン・ホタ、ペピータ、朝の歌、オダリスクの踊り、ロシータ
 
編曲 : 演奏会用練習曲(タールベルク)、ねずみ(カジェーハ)、セギディージャス(チュエカ)、椿姫幻想曲(ヴェルディ)、日本のポルカ(バルベルデ)、相合い傘のマズルカ(チュエカ)、ワルツ(ベルリオーズ)、ラ・パロマ(イラディエール)
   


並のタレガ作品集ではない!

 このような話題盤は現代ギター誌をはじめ、いろいろなところで紹介されたり、その評が出ていますし、第一今頃コメントするのはあまりにも遅すぎますが、でも実際に聴いてみた結果、やはりたいへん注目すべきCDだと思いましたので、記事を書くことにしました。また購入をさぼっていたことも若干反省しています。

 タレガ作品集のCDはいろいろなギタリストが録音していて、たくさん市場に出回っていますが、この2枚とも他のギタリストのタレガ作品集とは際立った違いがあります。その曲目リストを見るだけでももそれが感じとれますが、実際に聴いてみるとそれがいっそう決定的なものと感じられます。ともかく「並の」タレガ作品集でないことはあらかじめ申し上げておきましょう。



タレガが実際にコンサートで演奏していた曲

 まず曲目に関しては、これまでのほとんどのタレガ作品集は、オリジナル作品のみになっていますが、この2枚のCD(タレガ作品集「オダリスクの踊り」、タレガ作品集Ⅱ「エチュード・ブリランテ」)ではそのオリジナル作品に加え、多数の編曲作品、しかもこれまであまり演奏されることも、録音されることもなかった作品が多数収録されています。

 タレガは自らのコンサートでは、他の作曲家の作品からの編曲物の比重が高かったことは以前にも書きました。タレガは自らを作曲家である前に、ギタリストであると考えていたのでしょう。またタレガのオリジナル作品のほとんどは演奏会用というより、生徒や一般愛好家のための教育的な作品が多く、タレガ自身ではコンサートなどでは「グラン・ホタ」や「パガニーニの主題による変奏曲」などの他は、あまり演奏しなかったようです。

 この2枚のCDでは、タレガ自身が実際にコンサートで演奏していた曲が中心に聴けるようになっていて、こうしたCDはこれまであまりなかったのではないかと思います。それぞれのCDは前半はタレガのオリジナル、後半は編曲物となっていますが、その中間にはまさに「中間的」な作品(タールベルクの「演奏会用練習曲」や、ゴッチャルクによる「グラントレモロ」など)が収められています。


当時の人気曲

 このCDでは、注目すべき編曲作品として、当時サルスエラの作曲家として有名だったチュエカの「セギディージャス」と「相合い傘」の2曲が録音されています。この2曲はタレガの伝記などでは、タレガ自身がよくプログラムにのせていた作品となっています。「相合い傘」の方は現代ギター社版の曲集に楽譜も載っていますが、聴くのは2曲とも今回初めてです。それぞれサルスエラの曲らしく、軽快で楽しい感じの曲ですが、当時の人気曲だったのでしょう。こうした曲でタレガが多くの聴衆を魅了していた様子が彷彿されます。

 このCDの「相合い傘」の演奏では、楽譜の印象よりはるかに豊かな表情、イメージなどが描かれています。福田先生はこの曲の原曲を知っているのでしょうか? それとも直感的にイメージを膨らませているのでしょうか? どちらにしてもすばらしい演奏です。


どんな曲かやっとわかった

 同じくサルスエラの作曲家のカジェーハの「ねずみ」はハバネラ風の曲で、短いがなかなか愛らしい曲。バルベルデの「日本のポルカ」はあまり日本には関係なくとのことですが、軽快なポルカです。タールベルクの「演奏会用練習曲」は、楽譜が比較的出回っているわりにはあまり演奏されない曲、CDもほとんどないような気がします。若干は弾いてみたことがあるのですが、結構難しくなかなかちゃんと弾けない曲です。このCDでやっとどんな曲なのかわかったような気がします。



ボネル版?

 「椿姫幻想曲」は編曲作品としては演奏される機会のたいへん多い曲ですが、曲そのものはご存知のとおりフリアン・アルカスの作品(若干タレガが手を加えている)。この演奏では冒頭の部分が現代ギター社版と若干異なりますが、カルロス・ボネル版を使用しているのでしょうか(現代ギター誌8月号に記事)。



愛好者のための編曲だが

 このCDの最後の「ラ・パロマ」はタレガの編曲としては比較的易しいもの。生徒や愛好者のためのものなのでしょう。このCDはハバネラのリズムをしっかりと刻みながらメロディをじっくりと歌わせています。当然のことのようでけっして簡単ではない、この前のコンサート(11月のアンサンブルのコンサート)で実感しました。



ラグリマ=接続句付き

このCD前半はオリジナル作品ですが、オリジナル作品の演奏でも「普通の」演奏でないところが随所に現れています。有名な「ラグリマ」は、後半から前半に戻るところに、短い接続句が挿入された版を使用しています。確かプジョールの版だったと思いますが、このCDをきっかけに今後この版を用いる人が増えるかも知れません。



舞曲としての性格

 「ロシ-タ」や「ペピータ」、「マリーア」など、タレガの多くの小品はは舞曲の形で書かれています。しかしこれまでタレガの小品の演奏というと、音色やギター的なニュアンス、あるいはメロディを歌わせることなどに主眼が置かれ、舞曲としての面はあまり重視したされなかったように思います。このCDではその舞曲としての性格をきちんと捉え、ワルツはワルツとして、ポルカはポルカとして演奏しているように思います。そうしたことにより演奏されることの多いこれらの作品も、たいへん新鮮な感じになっています。



表舞台に

 「オダリスクの踊り」はタレガのオリジナル作品の中ではこれまで演奏される機会の少なかった曲と言えます。タレガの小品の中では充実した曲で、曲名どおり魅力的な曲です。今回CDのタイトル曲となり、晴れて表舞台に登場です。

 

  

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