中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

     福田 002

 この「タレガ作品集Ⅱ」は、基本的には前回の「オダリスク」同様に前半がオリジナル作品、後半が編曲作品となっていて、編曲作品では今までほとんど演奏されることのなかった曲が収録されています。またタイトルの関係で編曲による練習曲がいくつか入っているのが特徴と言えます。
  


シュトラウスのワルツのように

 前半のオリジナル作品の演奏で感じたことと言えば、「舞曲が舞曲に聴こえる」と言うのは「オダリスク」の時と同様ですが、特に3曲のワルツ=「グラン・ワルツ」、「ワルツ二長調」、「イサベル」はシュトラウスのワルツを聴いているようです。もっとも「イサベル」は本当にシュトラウスのワルツで、「グラン・ワルツ」も「南国のバラ」を思わせるところも出てきます。「ワルツ二長調」ではダ・カーポはせずにト長調の部分で終わっています。



ピチカート奏法?

 セゴビアもよく演奏した「メヌエット」は、いきなりピチカート奏法で始まり、「あれ」と思ったのですが、あらためて譜面を見てみると、楽譜の下のほうにしっかりと 「Ejecutese toda obra en pizzicato」 と書いてあるではありませんか(正確にはわかりませんが「ピッチカート奏法で弾け」ということでしょう)。自分自身ではこの曲をちゃんと弾いたことがなかったので、また今までピチカート奏法で演奏したものを聴いたことがなかったので、恥ずかしながら気が付きませんでした。不勉強を反省しなければなりません。

 確かにこのような演奏を今まで聴いたことがなかったので、とても新鮮に聴こえ、あらためてなかなかよい曲だなと思いました。また、確かに譜面の下に上記のような書き込みがあるのですが、具体的にどこがピチカート奏法で、どこが通常の奏法なのかは書いてありません。書き込みだけを考慮するなら曲全部がピチカート奏法ということになりますが、それではかなり窮屈な演奏になってしまいますので、常識的に考えれば特定の部分だけがピチカート奏法と考えられます。このCDではそうしたピチカート奏法と通常の奏法との使い分けをたいへん巧みに行っています。



エンデチャ-オレムス-エンデチャ

 「エンデチャとオレムス」はそれぞれ短い曲で、これを2つの曲として扱うギタリストもいますが、福田先生はこれを一つの曲として扱い、「エンデチャ-オレムス-エンデチャ」 と言ったようにダ・カーポした形で演奏しています。楽譜にはそういった指示はありませんが、十分に考えられる方法でしょう。

 

リズムが心地よく

「ムーア風舞曲」はタレガ自身でも評価の高い作品だそうで、あまり長い曲ではありませんが、易しい曲でもありません。この演奏はとても気持ちのよく聴こえますが、舞曲としてのリズムに十分配慮がいっているからなのでしょう。



かなりの難曲ですが 

 タイトルの「エチュード・ブリランテ」をはじめ、「ヴュータンによる演奏会用練習曲」、「ゴルチャックによるグラン・トレモロ」、「プリュダンによるエチュド」の4曲の編曲による練習曲はいずれも技術的に難しい曲ですが、4曲とも圧倒的なテクニックとスピードで弾いています。

 「グラン・トレモロ」の楽譜は現代ギター社から出されていますが、譜面を見ただけで恐ろしくて弾く気になれません。実際に聴いてみるとメロディックな曲で(トレモロの曲だから当たり前ですが)、けっして「厳つい」曲ではありません。しかしトレモロ奏法で一音ずつ動くあたりはやはり難しそうです。譜面ではかなり長い曲ですが(10ページ)、このCDでは4分余りで弾いています。

 「プリュダンによるエチュード」は3音からなる和音の曲ですが、これも驚異的なスピードで弾いています。ほとんど超絶技巧の世界です。



初録音?

 後半の編曲作品のほうでは「ボルゾーニのメヌエット」、「チャビのムーア風セレナード」、「マスカーニのシチリアーナ」、「バッハ~グノーのアベ・マリア」などの初めて聴く曲(おそらく初録音)があります。「シューマンのロマンス」も楽譜はよく見かけますが、録音はあまりないのではないかと思います。
 
 「ボルゾーニのメヌエット」、「チャビのムーア風セレナード」などの原曲についてはよくわかりませんが、なかなか聴き映えのする曲で、コンサートのプログラムに取り入れても面白いのではないかと思わせる曲、「マスカーニのシシリアーナ」は「真珠とり」に似た感じのメロディの美しい曲。「アベ・マリア」は楽譜が現代ギター誌に掲載されたこともあり、今後よく弾かれるようになるのではと思います。



「タレガ編曲」を「タレガの作品」として演奏

 「メンデルスゾーンのカンツォネッタ」はよく演奏されている曲ですが、その場合でもセゴビアのように若干変更したり、また実質上はタレガ編を使用しながらも編曲者を明記しなかったり、または演奏者自身の編曲とされたりして、はっきりと「タレガ編曲」として演奏されることは少なかったように思います。もちろんこのCDではあくまで「タレガの作品」としてタレガの譜面に忠実に演奏しています(反復記号の省略は補っています)。同様に「マラッツのセレナード」も、恣意的に変更することなしに、タレガの意図を忠実に再現しています。



 
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