中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

     新進演奏家 003


ポンセ : サナタ第3番
タンスマン : スクリャーヴィンの主題による変奏曲
ポンセ : 南のソナチネ
ブローウェル : ジャンゴ・ラインハルトの主題による変奏曲
ホセ : ソナタ



Irina Kulikova ~2008年ミハエル・ピッタルーガ・ギター・コンクール優勝

 新進演奏家シリーズの3回目は2009年の4月に録音された、イリーナ・クリコヴァのリサイタル盤です、イリーナ・クリコヴァは2008年、ミハエル・ピッタルーガ国際ギター・コンクール優勝しています。年齢や生まれた国などに関しては書かれていませんが、名前と、モスクワとザルツブルグで音楽を学んだということからすればロシア出身と思われます。また写真などからすれば、現在20代の女性でしょうか。

 セルジオ・アサドやデビット・ラッセル、マヌエル・バルエコなど名だたるギタリストに師事していますが、最初の音楽の手ほどきは、チェリストでもある母からとのことです。


ふくよかな音でよく歌う

 このCDの曲目は、上記のように3つのソナタと2つの変奏曲で、すべて20世紀の作品です。最初の「ソナタ第3番」を聴くと、とても”ふっくらとした”音。柔軟性のある、豊かで美しい音です。テンポは中庸でたいへんよく歌う感じです。漠然と聴くとイン・テンポのようですが、よく聴くとテンポや音量を微妙にコントロールして歌う感じをよく出しています。 

 また第3楽章の冒頭の付点音符も絶妙のタイミングで弾いていて、活き活きとしたリズムになっています。音色も多彩で、新進ギタリストというより、完成された”大人”の演奏といった感じがします。伝統的な音楽語法をしっかりと学び、身に付けたギタリストと言えるでしょう。


しみじみと耳を傾けられる

 「スクリャービンの主題による変奏曲」は神秘的な作品を書いたロシアの作曲家、スクリャービンのピアノのための前奏曲から主題をとったもので、1972年の作曲だそうですが、いわゆる現代音楽的ではなく、古典的、あるいはロマン派的な感じもあります。決して派手で目立つ感じの曲ではありませんが、クリコヴァは冒頭の単旋律なども美しく歌わせ、このギタリストにはよく合っている曲なのでしょう。しみじみと耳を傾けることの出きる曲でしょうか。


ホセのソナタもすばらしいが

 アントニオ・ホセのソナタも上述のとおり、巧みなテンポ・コントロールと、美しく多彩な音色で演奏していて、たいへんすばらしいものなのですが、前に聴いたラルースの演奏の印象が強烈だったので、若干損をしたかも。いずれにしもこのイリーナ・クリコヴァは第一線級のギタリストとして今後活躍してゆくことは間違いないでしょう。
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