中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

新進演奏家 005


フェルナンド・ソル : 第5幻想曲 Op.16
ジャック・イベール : アリエッタ、フランセーズ
フランシス・プーランク : サラバンド
モーリス・オアナ : ティエント
ラウタヴァーラ : パルティータ
ヴィラ・ロボス : 練習曲第7番、第12番
フランスイスコ・タレガ : ベニスの謝肉祭


 Rafael Aguirre Minarro 2007年タレガ国際ギター・コンクール(ベニシカム)優勝

 今回の紹介は2008年4月に録音された、スペインのギタリスト、ラファエル・アギーレ・ミニャーロのCDです。ミニャーロは1984年、マラガの生まれという、生粋のスペイン人のようです。2007年にタレガ国際ギター・コンクール優勝ということですが、この「タレガ国際ギター・コンクール」というのは複数あるようで、この新進演奏家シリーズでは、スペインのバレンシア地方のベニシカムという都市で行われる同コンクールの優勝者の演奏を録音しています。


世界の3大コンクール?

 このシリーズではイタリアで行われる ミハエル・ピッタルーガ国際ギター・コンクール、アメリカで行われる GHAギター・コンクール、そしてこのスペインのベニシカムで行われる タレガ国際ギター・コンクール の3つのコンクールでの優勝者が演奏者として採用されています。この3つのコンクールが現在の世界での3大コンクールなのでしょうか、すくなくともナクソスではそう考えているようです。とすれば最近これらのコンクールで日本人、あるいは日本でギターを勉強したギタリストが優勝していないのは若干残念なことかも。



スペインの香り漂う美しい音

 このCDはスペインのギタリストらしく、あるいはタレガ国際ギター・コンクールの優勝者にふさわしく、最初と最後にスペインが生んだの二人の偉大なギタリスト、フェルナンド・ソルとフランシスコ・タレガの作品を据えています。このギタリストの音質は明るく、美しいもので、確かにスペインな香りがします。

 最初のソルの作品では和音の変化に反応して、音色も変化させています。また決して濃厚にではありませが、メロディはよく歌わせ、繊細で、レヴェルの高いフレージングと言えます。難度の高い部分でも音色やバランスなどを失うことなく、美しく演奏しています。



イベール、プーランク、オアナ

 ジャック・イベールはフランスの作曲家で、ギター関係では「フルートとギターのための間奏曲」が知られています。他にあまり知られてはいませんが、上記のギター・ソロのための「アリエッタ」と「フランセーズ」があるとのことです。「アリエッタ」は曲名どおり、静かな歌ですが、「フランセーズ」のほうはどちらかと言えばスペイン的な感じがします。

 プーランクもフランスの作曲家で、この「サラバンド」は比較的よく知られ、短い曲ですがしっとりとした美しい曲です。ギターの6本の開放弦の音からインスピレーションを得た曲のようで、時折その開放弦の音が現れます。

 モーリス・オアナはスペインの作曲家で、「スペインのファオリア」を題材にした曲ですが、鋭い不協和音の目立つ曲です。この曲も現代的なギター曲としては比較的知られています。



フィンランドの作曲家、ラウタヴァーラ

 E.Rautavaaraは1928年生まれのフィンランドの作曲家で、この「パルテータ」は3つの短い曲からなり、合わせても3分余りの曲です。1曲目はアルペジオの曲、2曲目は歌、3曲目は変拍子による舞曲になっています。



ヴィラロボスの練習曲第7、12番

 ヴィラ・ロボスの「12の練習曲集」から特に華やかな「第7番」と「第12番」を弾いています。「第7番」はスケールを前述のように明るく、クリヤーな音で弾いており、中間部のアルペジオの部分では旋律をよく歌わせています。「第12番」はかなり速めのテンポで弾いていますが、「anime」の指示からすれば適切なテンポともいえるでしょう。速めのテンポで弾いていても、よくあるような響きの混濁などはなく、すっきりとした演奏になっています。



ホアキン・クレルチの作品

 ホアキン・クレルチはキューバ出身のギタリストで、80年代にパリ国際ギター・コンクールで優勝し、その時の録音をFM放送で聴いたことがあります。デ・ラ・マーサの「ギター賛歌」、自編のドビュッシーの「アラベスク」などを聴いた記憶があります。現在では演奏の他、作曲家としても知られているようで、ミニャーロの師でもあるようです。

 「Sentimiento」は曲名どおり静かな曲ですが、「ソ-ラ-レ♭-ド、 ソ-ラ-レ♭-シ♭」の音列をもとに曲が出来ています。「Yemaya」はヨルバ族の神ということですが、ヨルバ族はナイジェリアなどに多い民族で、キューバにはこのヨルバ族を先祖に持つ人が多いそうです。曲は弦を擦る音やフレットのないところを押さえて弾く奏法などが用いられています。「Estudio escalas」はスケールの練習曲ですが、ヴィラ・ロボスの練習曲第7番を基にしています。もちろん前のヴィラ・ロボスのオリジナルとの一連の流れになっているのでしょう。



”しめ” はタレガのベニスの謝肉祭

 最後にタレガの「ベニスの謝肉祭」が演奏されています。テンポはやや速めで、イントロなどはルバートを積極的に行い、ソルの作品との違いを際立たせています。ヴィルトーゾ的な演奏と言えますが、乱暴な感じはなく、すっきりとまとまっています。
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