中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 震災からそろそろ1ヶ月になろうかというところですが、今だ、原発事故は危機的状態から脱することができず、また津波による犠牲者も2万人をはるかに越えるとのこと。また長きにわったて通常の生活が送れなくなってしまった人は数知れません。

 テレビなどによれば、そうした犠牲者の中には、体の不自由な年老いた母親と共に避難しために逃げ遅れた人・・・・ 津波が迫る中、子供たちを迎えに行ったために津波に飲み込まれてしまった母親・・・・ 住民の避難誘導のために最後まで持ち場を離れなかった自治体職員、遺体の手には拡声器が握られたままだったそうです・・・・

 もしこのような人達が、自らの命だけを守ろうとしたら、この犠牲者の数はもう少し小さくなっていたのかも知れません。こうした行動は、もちろん熟慮して行なった訳ではなく、危機迫る中でのとっさの判断だったのでしょう。そうした極限状態だったからこそ人間本来の行動がなされたのかも知れません。

 こうした人たちは決して自らの生命を軽んじたわけではなく、自分の家族や、周囲の人たちと共に生きてこそ、自らが生きることになると判断したのでしょう。自分だけ生きても、それは生きることにならないと・・・・

 人の命というものは、それぞれ別個に存在するように見えるが、それらは点のようなものではなく、ある一定の拡がりをもって存在し、そしてそれらは重なり合い、共有しあっている。 ・・・・・・そんなことを感じました。 





 10日のミニ・コンサートで私が演奏する曲目の紹介をしておきましょう。普通なら当日演奏しながらお話するところですが、どうも話が上手くないので、当日の話は最小限度にして、紹介はこのブログで行いたいと思います。



フランツ・ウィルヘルム・アプト~メルツ編 : 燕が家に翔る時

 この曲は当時(1850年頃)人気のあったアプトの歌曲をヨハン・カスパル・メルツがギターに編曲したものです。原曲を聴いたことはないのですが、メルツのアレンジはたいへん自然で、ギターのオリジナル曲のような感じがします。またメロディがたいへん歌わせやすくなっています。



ヨハン・カスパル・メルツ : 吟遊詩人の調べ作品13より

 この「吟遊詩人の調べ」は30曲からなる曲集で、それぞれロマンティックでメルツらしい作品です。メルツの作品の中ではよく演奏される曲です。

 1曲目の「ロマンス」は「マエストーソ」と「アダージョ」の二つの部分からなりますが、初級などの教材に用いられる「ロマンス」と似ていて、関連性があるのでしょう。

 2曲目の「不安」はイ短調で、速めのテンポの曲です。「不安」というより、激しい感情といった方がよいかも知れません。

 3曲目は「フィンガルの洞窟」ですが、「フィンガルの洞窟」と言えばメンデルスゾーンの序曲が有名です。この洞窟はスコットランドのヘブリディーズ諸島の無人島にあるもので、柱状節理の発達した幻想的な洞窟だそうです。波の浸食を受けて出来たこの洞窟は、その柱状節理に反射し、波の音がとても幻想的に、また不気味に響くのだそうです。おそらくこのメルツの曲も、その洞窟の幻想的で不気味な響き表現したものなのでしょう。

 4曲目の「愛の歌」はハ長調、アダージョで優しく語り掛けるような曲になっています。この曲集の中では最も演奏されることの多い曲です。



ハインリッヒ・アルベルト : ソナタ第1番ホ短調 

 ハインリッヒ・アルベルトはおそらく20世紀前半頃のドイツのギタリストと思われますが、詳細はわかりません。この「ソナタ第1番」は比較的短い3つの楽章からなりますが、古典的な形で作曲されていて、どちらかと言えば演奏会用の作品というより、教育的な作品と考えられます。


 確かに高度な技術を要する曲ではありませんが、この曲を内容あるものとして表現するには、相応の技術と経験と努力が必要でしょう。教育的作品としてはなかなか優れた曲だと思いますので、一般愛好家などにもっと演奏されてもよい曲ではないでしょうか。1970年代に荘村清志さんが録音していました。


新進演奏家 013


第1楽章 Energich bewegt(力強く、活発に) ホ短調

第2楽章 Langsam und mit viel Warme(ゆっくりと、温かさをもって) ト長調

第3楽章 Schnell(速く) ホ短調




フェルナンド・ソル : モーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲作品9

 19世紀初頭に活躍した、スペインのギタリスト、フェルナンド・ソルについては説明は不要と思いますが、この「モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲 作品9」はアマチュアからプロのギタリストに至るまで多くの人に愛され、演奏されている曲で、クラシック・ギターの代名詞的な曲です。

 ソルが用いたテーマはモノスタトスたちが歌う「何とすばらしい鐘の音」という短い歌で、特に有名な曲ではありませんが、ソルはこの曲を好んだようで、他にもこのテーマを用いた作品を書いています。この変奏曲ではテーマをオリジナルより若干変更し、特に付点音符を用いることにより、モーツァルト風というより、ソル風のメロディになっています。

 曲は、ホ短調の序奏、ホ長調のテーマと5つの変奏、コーダから出来ています。かつては序奏を省いて演奏されることが多かったのですが(セゴビア、イエペスなど)、現在ではそうしたことは少なくなりました。5つの変奏とも比較的シンプルな形で、そういった点も人気の一つの要因だと思いますが、技術的にも音楽的にも、きっちりと弾くのはそれほど簡単ではありません。ギター・ファンなら誰でも知っている曲である分、自然とハードルは上がってしまいます。



アンドリュー・ヨーク : サンバースト

 アンドリュー・ヨークはアメリカのギタリスト兼作曲家で、この「サンバースト」をはじめ、人気曲を多数作曲しています。またロサンゼルス・ギター・カルテットの一員としても知られています。この曲は1弦と6弦を通常「ミ」のところを「レ」にするという特殊調弦を用いていて、独特の響きを持った曲です。リズムは最近のポピュラー音楽的で、シンコペーションを多用しています。また中間部は急速なスラー奏法を用いたテクニカルなものになっています。因みに「サンバースト」とは雲間から急に射し込む太陽の光、もしくは太陽のデザインを意味するようです。



日本古謡~横尾幸弘編 : さくら変奏曲

 これまでサッカーの試合の時以外はあまり日本と言う国を強く意識することはなかったのですが、このようのな出来事が起きると、私たちが生きてゆくこととに、日本という国が密接に係わり合いを持っていることが強く実感させられます。もっとも私たちにはそうしたことをあまりにも強く意識しすぎたために、極めて悲劇的な結末を迎えた歴史があります。そうしたことも踏まえつつ、あらためて個人と組織の関係を考え直す時期なのかも知れません。

 今日は4月5日ということで、いつもの年なら桜前線がどこまで来たなど、桜の話でもちきりになるところですが、さすがに今年はあまり聞かれません。相変わらずあまり出歩かないのでよくわかりませんが、水戸市内ではもう咲き出したのでしょうか? 地震のせいではないでしょうが今年はちょっと遅そうですね。やはり今回のコンサートの最後の曲は、この曲にしましょう。
スポンサーサイト
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する