中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

譜忘れ対策


夢でよかった

 ステージで演奏している時、一番困るのは、なんと言っても緊張のあまり、記憶が完全に飛んでしまい、次どう弾いていいかどころか、今自分がどこを弾いているかさえもわからなくなってしまい、「ここはどこ? 私は誰?」といった状況になってしまうことです。

 私もステージでの演奏中、どう弾いていいか全くわからなくなり(時には何の曲を弾いているのかもわからなくなってしまう・・・・・)、苦しんでいる夢をよく見ます。そんな時目が覚めて、本当に夢でよかったなと胸をなどおろします。


誰にでもある

 今回の話は極端にアガった場合、よく起きてしまう「譜忘れ」の話です。私のようなギタリストならともかく、優れた一流のプロ・ギタリストだったら、ステージ上で譜忘れして曲のあちこちを右往左往・・・・ などということは考えられないかも知れませんが、時には著名なギタリストであってもそうした場面に出くわすこともあります。

 そうした一流のギタリストの場合は、難しい曲を演奏している時よりも、どちらかと言えば比較的易しく、また頻繁に演奏している曲の場合に起こるようです。そうした曲の場合、多少の気の緩み、特に準備の段階での気の緩みがあるのかも知れません。またアンコール曲などに発生しやすいのも、同じ理由なのでしょう。

 超一流のギタリスト(ピアニスト)でも譜忘れを起こすわけですから、一般の愛好家がステージで暗譜で演奏するとなると、譜忘れとは常に隣り合わせということになるでしょう。「アガる」、「アガらない」にかかわらず、ステージで暗譜で演奏する場合はやはり十分な対策が必要でしょう。


譜忘れすることを前提に練習する

 もちろん記憶を完全にするということが最も重要ですが、しかしどんなに記憶が完全であっても譜忘れが完全になくなるわけではありません。そうしたわけで、まず「譜忘れしてしまった」時の対策から話を始めます。何事も“備えあれば”というわけで、備えの重要さは私も皆さんも痛感したばかりですね。


またまた「月光」ですが

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 例として再度ソルの「月光」の譜面をのせました。この曲は以前にも取り上げましたが、この曲など練習で出来上がっていれば、ステージに出てから急に指が動かなくなって弾けなくなる、という可能性は低いでしょう。何かトラブルがあるとすれば記憶に関する問題だけだと思いますので、例としては適していると思います。

 あえて申し上げるまでもないと思いますが、この曲は48小節からなり、その48小節は8×6小節からなります。つまり8小節の“まとまり”が6つあるということになります。この8小節の“ひとまとまり”は「大楽節」と呼び、音楽としての最小限のまとまりと言えます。

 その8小節の大楽節を順にA、B、C・・・・Fとしました。またこの曲ではあまりはっきりとしませんが、4小節単位でも小さな切れ目がありその箇所をa、b、c、・・・・fとしました。



こんな内容だったかな

 A,B,Eはほぼ同じものですが、Cもほぼ同じ素材で出来ています。これらのA、B、C、Eはほとんど2種類の和音で出来ており(Bには多少違う和音も使われていますが)、また低音が省略されているもの特徴的です。

 Dではいろいろな和音が使われており、若干転調もしていて、和声的に単調なA,B,C、Eと対象的になっています。また低音も各小節ごとにしっかりと入っていて、響きも重厚になっています。

 Fはメロディが1弦の7フレットの「シ」まで上がっていて、最後の盛り上げを作っています。

 練習の際にも、なんとなく最初から終わりまで弾くのではなく、こうした曲の構成を常に意識して弾いてみるとよいと思います。

 意味のよくわからないものというのは、やはり記憶しにくいですし、混乱も起こしやすいものです。このように曲の構成などを把握しておくと記憶の混乱も防ぎやすいと思います。仮に部分的に記憶が曖昧になったとしても、大筋では混乱することがなくなると思います。



自分なりのストーリーなど作ってみる

 また、そうした音楽上の構成だけでなく、この曲の構成にあわせて、自分なりにストーリー的なものをかぶせてみるのも一つかも知れません。この「月光」という曲名は作曲者が付けたものではありませんが、その「月の光」に関係のある話でもよいかも知れません。

 子供の頃満月の下で遊んだ記憶でもよいでしょうし、かつて月明かりの中で好きな人と歩いた散歩道でもよいでしょう。

 淡い月の光でも目が慣れてくると結構明るく見える。「D」の部分などそういった部分でしょうか。最後は、高まる気持ちも、ついに淡い月の光の中に消え去ってしまう・・・・ こうしたイメージを持つことで、演奏中に完全に記憶が混乱してしまうのを避けられるのではと思います。



どこからでも始められるようにしておく

 頭の中でそうした曲の構成、あるいは区切りをしっかりと把握しておく以外に、練習の際には、このA,B,C・・・・のどこからでも始められるようにしておきます。そしてもし本番で記憶のトラブルが発生した時には、多少とばしてでもこのA,B,Cのそれぞれの最初の部分から弾くようにします。

 譜忘れするということはもちろん、今弾いた音の次の音がわからなくなるわけですから、必死になって次の音を思い出そうと思っても、もちろん出て来なくなるわけです。必死に考えても時間だけが経つだけですし、あれや、これや手当たり次第に弾いても余計にわからなくなります。


速く頭を切り替える

 そんな時には早い段階で頭を切り替えて最も近いと思われるA,B,Cの最初のところから弾き始めるようにします。その際には、すみやかに、テンポやリズムを崩さず行なうのがベストです。音がわからなくなったら、あれこれ考えてからとばしたりするより、早い段階であきらめて次の部分に進んだ方が演奏のダメージも小さくなります。



戻るより先に進む

 またその場合戻ってしまうより、とばして先に進んだほうがベターです。例えば「D」の部分の中央付近で譜忘れした場合は、「D」の最初に戻るのではなく、「E」に進んでしまうわけです。同じ部分を2回弾くとそれだけダメージも大きくなると考えてください。これは譜忘れではなく、指の関係のミスの場合も同様で、何かあっても必ず先に進むようにしてください。

また8小節区切りでなく、4小節区切り、つまりa、b、cなどのところからも始めることができれば、それだけ抜かしてしまう小節も少なくなるのでさらによいでしょう。



練習中の譜忘れやミスは幸運!

 もちろんこうしたことは急にはなかなか出来ませんから、練習の際にやっておくわけです、練習の時に譜忘れにしろ、ミス・タッチにしろ、何らかのトラブルなどが発生するということはたいへんラッキーなことですから、特にそうした時にこうしたことを実行してみて下さい。

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