中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 前回の話では、暗譜に関するトラブルを防ぐには、まず第一にその曲、その音楽を正しく理解するのが重要ということを言いました。これはいわば「正論」で誰しも異論のないことかも知れませんが、しかし同時にそれはなかなか難しいこと。それが簡単に出来るなら、こんな記事全く不要なわけですから、もう少し現実的な方法について書きます。



”そろばん”なしで”そろばん”やるより

 暗譜を完全にするためには、「その曲を5線紙に書いて覚える」、「ギターを持たずに頭の中だけで弾いてみる」といった方法がよいことはこれまでも何度か話してきました。しかし“そろばん”の場合でも「“そろばん”なしで“そろばん”をやる」より「“そろばん”で“そろばん”をやる」ほうがずっと易しい。



頭の中に”そろばん”が入らなかった

 私も小学6年生の時そろばん塾に通いましたが、そろばんを頭の中で弾く「暗算」が苦手でした。そろばんが実際にあればそこそこ出来るのですが、暗算になると3ケタ以上は出来なかったと思います。隣の女の子たちが3ケタ、4ケタの暗算を苦もなくやっているのが不思議でした。といったわけで、ここでは実際にギターを使った方法について話をしましょう。



区切る”のはトラブル対処だけではない

 また「月光」を例にとりますが、この曲は8小節の部分(大楽節)、6つからなりますが、その6つの部分のどこからでも始められるように練習するといったことは前にも書きました。その時には「もし記憶にトラブルなどが生じたら、次の8小節から始める」といったことで、トラブルが生じた場合の対策としてお話ししたのですが、この「区切って覚える」ということは記憶を整理する意味でも、また記憶が混乱しないためにも重要です。


全部まとめてぶち込んでしまっては

 電話番号などの10桁以上の数字を覚えるには4つくらいずつ区切って覚えた方が記憶しやすいことと同じです。また衣類などを収納する時も、押入れのようなところに、シャツや靴下、ジーンズなど何でもかまわず放り込んでしまったら、当然取り出すときにたいへんになってしまいます。靴下だけを取り出したいのに押入れの中身を全部取り出さなくてはならなくなります。



”覚える”ことと”思い出す”ことは別

 もちろん皆さんはそんなことはしていませんね、衣類の種類どころか、その用途や色、お気に入りの度合いなど細かく整理している人もいるのではないかと思います。そうでないと収納(記憶)しておく意味がないでしょう。記憶すること(収納する)と思い出す(取り出す)こととは別のことで、記憶する以上は、必要な時にすぐに思い出せないといけません。記憶(収納)する時にしっかりと整理するのがとても重要ですが、それと区切りとは密接な関係があります。



別人のように・・・・

 よくレッスンの時に、全体的にはうまく弾けているのだけれど、ある部分が気になるので、「ここから弾いてみて下さい」と曲の途中を指差すと、さっきは何の問題もなく上手に弾けていたのに、その場所から弾こうとすると妙に考え込んでなかなか始まらない、左手は全然違うところをさまよい出したり、さっきとはまるで別人になってしまったりする。結局、「あのう、曲の最初から弾いてもいいですか」・・・・ なんてことになってしまう。


決してそんなことしていないと思いますが

 そうした人は私のところで長く習っている人の場合は比較的少ないのですが、独学などで長くやっていた人、また家でよく練習してくる熱心な人、ギターを弾くのがとても好きな人などによく見かけます。もちろんこれは前の収納の例えでいえば、整理をしないですべてのものを押入れに「放り込んでしまう」タイプといえます。


途中から弾けない人はトラブルを起こしやすい

 こうした人の場合は普段リラックスした状態ではスラスラと弾けていても、ステージなどの緊張した場面ではやはり記憶上のトラブルはとても発生しやすいと考えられます。また記憶に不安があれば暗譜ではなく、譜面を見て弾けばよいわけですが、このようなタイプの人はそのほうが、つまり譜面を見ながら弾くほうがずっと難しいことと言えるでしょう。ということは、こうした人はどういう形でもステージなどで演奏する場合はトラブルを起こす可能性が高い人といえるでしょう。


同じような練習を繰り返さない 

 といったわけで、譜面を見る、見ないにかかわらず、曲の途中から弾くということは重要なことで、これは日常的に行なうとよいと思います。常に「最初から最後まで」弾くような練習方は薦められません。練習というのは弾く場所を変えたり、テンポを変えたり、曲想や考え方を変えるなど、いろいろ変化を付けて行なうとよいでしょう。 ・・・・・「移調して練習する」などという人もいますが、これは相当能力が高くないと無理! 残念ながら私には出来ません。


2,3小節先を思い出す

 次にはかなり「普通」の方法なのですが、練習をする場合、常に2~3小節先を考えて練習します。ただそれだけなのですが、意外と簡単ではありません。練習中だとついつい集中が切れて頭が休んでしまいます。本番中だと逆に心配になるので「次なんだっけ」と考えたりして、普段考えないのに、急に考え出すからかえってわからなくなります。

 そういったことを普段からやっておけばよいわけですが、これには結構ガンバリが必要です。しかしちゃんと出来れば効果は高いもので、譜忘れだけでなく、左指のトラブルを防ぐことにも繋がると思います。



逆弾き法 

 もう一つの方法として、曲の「最後の小節から」弾いてみるといったものがあります。この方法は現実的で、その効果も高いと思います。また「月光」例にとると、まず最後の小節(48)弾いてみます。こ小節は「シ」、「レ」、「シ」の和音1個で、このようなもの忘れるはずはないかも知れませんが、この曲を支配する大事な和音なので、一応弾いてみてください。またこれがわからなくなったり、曖昧になることだってないとは言えません。暗譜で弾く予定なら譜面を見ないで弾きます。


練習しやすく、効果も高い

 次にその前の小節から47-48小節と弾いてみます。それが出来たら46-47-48と続けて弾いてみます。この辺なると迷う人も少なくないでしょう。このようにして譜面を見ずに最初の小節まで行き着ければ、どんなに緊張しても譜面が飛ぶ可能性はかなり少さくなるでしょう。これを曲全部ではなく、8小節ごとにやってもよいと思います。

 この「逆弾き」はいろいろな方法の中では実行しやすく、効果も高いので、近々発表会などで暗譜で弾く予定の人は是非試して見てください。
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