中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。


うっかりと忘れて・・・・

 当記事は8月23日に書いたものなのですが、うっかりと下書きのまま、公開するのを忘れてしまいました。「アガらない薬」のシメに当たるものなのですが、1ヶ月遅れとなってしまい、つじつまもわかりにくくなってしまったでしょう。今頃になって何ですが、せっかく書いたものなので一応公開しました、申し訳ありません。 




今月号(=9月号、1ヶ月遅れ!)の記事 ~暗譜について

 本題に入る前に、9月号の現代ギター誌に「プロ・ギタリストの練習法」と記事がありました。福田進一、村治佳織、デビット・ラッセルなど9人のギタリストが練習法などについて語っているのですが、その中で暗譜の仕方について「細かく区切って覚える~セルシェル」、「最後の小節から覚える~福田、ラッセル」、「視覚的に覚える~ヴィドヴィッチ」など、当記事でも書いたようなことが書かれています。

 セルシェルの「細かく区切る」ということは「ド忘れした時のため」と、私の話と近いニュアンスで言っています。福田、ラッセルの「最後の小節から覚える」は私の話とは若干意味合いが違いますが、これは音楽がどう出来ているかということを理解することに深い関係がありそうです。確かに一つの方法なのでしょう、和音の進行などは逆算的にできていますから。

 「視覚的に」と言う意味はその曲を指の動きだけでで覚えるのではなく(それはそれで覚えなければいけませんが)、純粋に音で覚えると言った意味だと思いますが、いずれにしてもその音楽を理解することと、記憶するということには深い繋がりがあります(その話も「東京ドームで音階を弾く」という例えで話をしました)。

 「紙に書く」と言うことを言ったのはスコット・テナントだけでしたが、確かにこのようなギタリストたちは紙に書くことをすべて頭の中だけでできるのでしょう。しかし一般の愛好者には「書く」のは有効な方法だと思います(頭の中だけで行うのはかえって難しい!)。

 また村治さんは暗譜に関して「苦労したことがないので、特にコツがない」と言っています。確かにそのとおりなのでしょう。でも私たちは村治佳織ではないので、いろいろな工夫や努力は必要でしょう。


 パヴェル・シュタイドルは練習は以下の4つの方法があるとしています。

1.ギターと楽譜で
2.ギターなしで楽譜だけ
3.楽譜なしでギターだけ
4.ギターも楽譜もなしで


 なるほどだと思いますが、「4」の「何もなしで」練習が出来るようになれば「一人前」かも知れません。タンゴの巨匠アストル・ピアソラもコンサート前のリハーサルは頭の中だけで行なうのだそうです(前に話したかな?)。


 練習時間の話もしていますが、だいたいまとめるとほとんどのギタリストは、今現在3~6時間といったところのようです。コンクールなどを目指していた頃はさらに多かったと言っています。また練習は常にギターを持って行なうわけではないということも、どのギタリストも言っています。また基礎トレーニングの話もありますが、いずれ当「上達法」でも取り上げたいと思っています。




最終回 ~左手については

 「譜忘れ対策」、「右手の安定性」と話してきたので、次は左手ということになりますが。私の経験では左手については右手と違い、練習でちゃんと出来ていれば、本番でもだいたい弾けるものです。トラブルがあるとすれば譜忘れに関係することが多く、暗譜さえしっかり出来ていれば大丈夫ということではないかと思います。

 若干トラブルがあるとすれば、特に譜面を見ながら演奏する場合のポジション移動などでしょう。この話も「視奏」のところでお話しましたが、フレット(実際はポジション・マーク)を見るタイミングなどを普段の練習のときから決めておくべきでしょう。またギターを持つ角度などが普段とちがったりするとポジションを見間違えることもあります。

 スラー奏法なども本番で力むと出なくなったりしますので、練習の際に最小限度の力で行なうようにするとよいでしょう。セーハの場合は逆に本番では無意識に力が入るので、本番のほうがかえってよく出ます(力を入れすぎないように注意)。



確かに困った存在だが

 以上で「アガリ対策」の話は終わりなのですが、最初にも言いましたとおり、普段何気なく出来ているものがいざ本番となると全然出来なくなってしまうというこの「アガリ」というのは、私たちギターを弾くものにとっては(プ、アマ、初心者、上級者を問わず)たいへん困った存在です。



でもやはり存在理由はある

 しかしこれも前にお話した「ミス」と同じくそれなりの存在理由、あるいは存在意義はあるはずです。「ステージでは上手く弾けないかもしれない」ということが私たちのいろいろな工夫や努力を引き出していると言った面もあるのも確かです。私たちが常にステージでも普段どおりに弾くことが約束されていたら、そうした努力や工夫は少ししか行なわれないでしょう。



シマウマがライオンに飛びかかる?

 重大な場面に遭遇した時、心拍数があがったり、発汗したりというのは人間だけでなく、動物すべてに備わった生理現象です。動物が危機的状況に置かれたとき、普段以上の特別な力を発揮するための現象なのでしょう。普段はおとなしい草食動物も、わが子を守るために果敢にライオンなどに立ち向かってゆく映像などを目にすることがあります。そういった状況では普段以上の力が出ると共に、恐怖心さえも克服できるのでしょう。



別に危機的状況ではないが

 ギターを弾くことはその「危機的状況」とは本来無縁なはずなのですが、人間の脳のどこかで交錯してしまうのかも知れません。頭の中では似たような状況が生まれてしまうのでしょう。本来は特別な力を出すための機構が、逆に普段どおりのことをすることを妨げてしまっているわけです。



マイナスをプラスに変えられる人だけが

 もちろんそのような理屈を述べたところでステージで上手く弾けるというわけでもありませんが、この「アガる」ということを、それが持つ本来の存在理由である「特別な力を出す」ことに繋げているギタリストのことを、私たちは“ヴィルトーゾ”と呼んでいるのでしょう。


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