中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 昨日(9月18日) ひたちなか市アコラで宮下祥子さんのリサイタルを聴きました。プログラムは以下のとおりです。



D.スカルラッティ : ソナタK146、 K380

F.ソル :グランド・ソナタ作品22

N.コスト : ポロネーズ第2番作品14

 
   ・・・・休  憩・・・・
 
L.ブローウェル : ソナタ

D.アグアード : エチュード24番

F.タレガ : 夢

I.アルベニス : アストゥリアス、 朱色の塔

        
  
 スカルラッティのソナタの「K146」はト長調でトリルで始まる曲、「K380」はホ長調で「行列」と呼ばれる曲で、どちらも秋らしく明るく爽やかな曲、および演奏です。もっとも今日も秋とは思えない暑い日でしたが。




 ソルの「ソナタ」は4楽章のかなり古典的、かつ大規模に作られた曲です。比較的初期の曲で、古典派のギターの巨匠と言われるソルも、こうした多楽章の本格的なソナタは意外と少なく、他に「作品25」があるのみです。

 楽譜などはよく見かける曲ですが、なにぶん大曲、難曲ですので演奏される機会は割りと少なく、特に生で聴く機会は少なく、今回は貴重な機会です。特に第1楽章は堂々として規模も大きいものですが、作曲法自体は比較的定型的なものとなっています。

 宮下さんの演奏では、第2楽章では予期したものと違う曲が聴こえてきました。どうやらハ短調のメヌエット(作品24-1)のようです。次に演奏されたのは第4楽章の「ロンド」でした。つまり、本来の第2楽章「Adagio」と第3楽章「Minuetto-Allegro」の代わりに「メヌエットハ短調作品24-1」を演奏し、

① ソナタ作品22 第1楽章「アレグロ」 
② メヌエットハ短調作品24-1
③ ソナタ作品22 第4楽章「ロンド-アレグレット」

といった形で演奏されました。本来の形で演奏すると聴く人の負担が大きいと考えたのかも知れません。




 コストの「ポロネーズ第2番」はパヴェル・シュタイドル(宮下さんの師と言ってよいのでしょうか?)のナクソスに録音している曲で、ホ短調のイントロダクションとホ長調のポロネーズから出来ています。なかなか充実した曲で、宮下さんの演奏は、この曲持ち味を十分に引き出した、たいへん優れた演奏でした。




 ブローウェルの「ソナタ」は2週間前の大萩君のリサイタルでも聴き、最近ではたいへんよく聴く曲となりました(ソルの「ソナタ」よりもずっと多い!)。大萩君の演奏はとても美しい(ブローウェルらしからぬ?)演奏でしたが、宮下さんの演奏では以前にも書いたとおり、作品の内容を正確に聴衆に伝えるといった演奏に感じました。

 確かに難しい(鑑賞するのが)曲ですが、第1楽章はスペインの舞曲が基になっていることがおぼろげながらにわかります。そこに装飾的なパッセージなどが挟まれるといった感じなのですが、聴いているだけではやはりベートーヴェンとどう関係があるのかはわかりません(もちろんなぜ「田園」かも)。

 第2楽章は「スクリャービン風」、第3楽章は「パスキーニ風」ということになっているのですが、漠然と聴いた感じでは、やはりブローウェル風。




 アグアードの「エチュード」はト長調で、アルペジオに乗せてメロディを歌わせるタイプの曲。アグアードのギター教本の第3部の「27のエチュード」の中の曲のようです。なかなか美しい曲です(もちろん演奏によりますが)。

 タレガの「夢」はトレモロによる曲で、おそらくタレガ自身もコンサートで演奏していた曲でしょう。宮下さんのトレモロはたいへん美しい、文字通り夢心地・・・・・・   おっといけない、本当に夢心地になってしまう!




 最後はアルベニスの2曲で、「アストゥリアス」の伴奏部の速い3連符はクリヤーで美しい。強弱関係などは原曲と若干変えているようです。アンコールはグラナドスの「スペイン舞曲第5番」が演奏されました。

 宮下さんについては、当ブログでも何度か登場しているので紹介等は省略しましたが、「現在の日本を代表する女性ギタリストの一人」ということだけでよろしいでしょう。今回も他県などから熱心なファンが聴きに来ていました。また今回の演奏曲の大半は宮下さん自身初めて弾く曲だということです。確かに今までとは一味違った感じのコンサートでした。




 ・・・・・・・・・・・・・・



 コンサート終了後、熊坂さんと鈴木幸男さんのレッスンがありました。熊坂さんのレッスンは「森に夢見る」で、先週の谷島さんのコンサートでも聴きましたが、かなりよくまとまっています。上声部、つまりトレモロの部分だけでなく低音部もよく歌っていて、高音部のトレモロと低音部の「二重唱」といった感じに聴こえてきます。宮下さんのレッスンではトレモロや和音の音色の整え方などが主でしたが、たいへん適切で、また効果の高いものだと思いました。


 鈴木さんはコストの「アンダン作品39」で、比較的珍しい曲です(10月1日の発表会でも弾きます)。宮下さんの演奏した作品14など、最近では今まであまり演奏されなかったコストの作品がいろいろ演奏されるようになりました。「鈴木さんによく合っている曲ですね」と宮下さんは言っていました。
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