中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

ブログ 011

ショパン:ピアノ協奏曲第1番
リスト:ピアノ協奏曲第1番

ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
ロンドン交響楽団  指揮:クライディオ・アバド
1968年録音  ドイツ・グラモフォン




 私がアルゲリッチの名前と演奏を初めて聴いたのは、このクライディオ・アバドと共演したショパンの「ピアノ協奏曲第1番」のLPです。このLPは1968年の録音で、ドイツ・グラモフォンとしては4枚目のLPだと思います。1965年にショパン・コンクールに優勝したアルゲリッチの人気や知名度が頂点に達した頃のもので、私だけでなく、このLPによってアルゲリッチを知った人も多かったのではないかと思います。今でも名盤に数えられています。


同じ下宿の後輩

 大学時代、同じ下宿(もう死語になっていると思いますが)の合唱団に入っている後輩から、「僕、再生装置持っていないので、中村さん、これ預かってください。自由に聴いてもらって構いません」と何枚かのLPを預かりました。その頃の私は、ようやくギター以外の一般のクラシック音楽に興味を持ち始めた頃です。

 興味を持ち始めたのはよいのですが、当時のLP(当時は単に「レコード」と呼んでいましたが)は現在のCDとほぼ同じ価格(2000円前後)で、物価は今の7~8分の1と言ったところです。現在の金銭感覚からすれば1枚1~2万円といった感じになるでしょう。

 生活が苦しくなるのを覚悟である程度LPを買ってはいたのですが、どうしてもギター関係のLPを買わなければならなかったので、一般のクラシックのLPはなかなか思うようには買うことができませんでした。もちろん当時はレンタルなどというものはありませんでしたし、カセット・テープなどというのも普及していませんでした。


いろいろ聴きたくてたまらなかった時代

 ともかく、当時はいろいろな曲が聴きたくてたまらなかった時期だったので、このことはとてもあり難かったです。後輩の言葉はとても喜びました。なお且つ、その後輩の持っていたLPは、今思えば名だたる名盤だったり、当時話題のLPといったものでした。  

 ・・・・・ブルーノ・ワルターの「大地の歌」、「ブラームス:交響曲第4番」。オイゲン・ヨッフムの「ブルックナー:交響曲第4番」。フランチェスカッティの「メンデルスゾーン、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲」。そしてこのアバドとアルゲリッチの「ショパン&リスト:ピアノ協奏曲第1番」などなど・・・・・  


よだれがしたたり落ちる

 当時自分で買っていたLPは廉価盤だったり、詳しく内容をわからず買ったようなものが多く、そう言った意味でも私にとっては、”のどから手が出る”というか、まさに”よだれがしったたり落ちる”ようなLPでした。結局のところ、その後輩が卒業するまで(私より早く卒業した)それらのLPをあずかって、まるで自分のLPように聴いていました。

 そう言えば、私の大学時代にはこのように後輩(大学に”6年”いたので先輩よりも後輩の方が多い)などからよくLPをあずかっていました。この合唱団の後輩のように「自分では聴けないから」という場合や、特に理由なく「中村さん、これ聴いてみて下さい。なかなかいいレコードですから。返すのはいつでもいいです」などと言って貸してくれる後輩もいました。当時私のレコード棚の4~5分の1くらいは誰かから預かっていたものだったかも知れません。


言い訳になるけど

 言い訳になりますが、私のほうから「貸して欲しい」と言ったことはあまりありません。1年生の時、友人から無理やり借りたLPにキズを付けてしまい、その時は新たに買って返しました(キズ付いたほうを自分で所有)。それ以来LPは人から借りないようにしていました。

 でもこれらのケースの場合、「借りる」のではなく、「保管してあげる」ということなので、断る理由がない、保管のついでに「ちょっと聴くだけ」・・・・  もちろんこれはその後輩たちの極めて暖かい心遣い以外の何もでもありません。

 ほとんどベニヤ板1枚で仕切られていたような下宿で、私がギターを弾くと、どの部屋にも筒抜けでした。かなりうるさかったとは思いますが、「よく聞こえるけど、クラシックだし、上手な演奏だからあまり気にならないよ」と、下宿人からも、大家さんからも苦情らしきものを言われたことはありませんでした。なおかつ毎回のように下宿人全員と大家さんで演奏会に来てくれて・・・・・ 話が長くなるのでやめましょう(すでに長くなっているが)。



話を戻そう!!

 話をアルゲリッチのLPに戻しましょう。ジャケットの写真からもわかるとおり、このLPは新進の美女ピアニストとイケメン(当時はこんな言葉はなかったが)指揮者の共演ということで、注目のLPだったわけですが、マルタ・アルゲリッチというピアニストが、単なる美女ピアニストでないことが、折々多くの音楽ファンの知るところとなります。

 アルゲリッチのこの「ショパン:協奏曲第1番」のCDは、ライブ録音を含めれば、現在10種類以上のものが市場に出されています。セッション録音だけに絞れば、この「アバド盤」の他、1998年のシャルル・デュトワ(5年間ほどアルゲリッチと結婚していた)と共演したものがあります。



熟成した味わいのシャルル・デュトワ(元夫)盤

ブログ 012

ショパン:ピアノ協奏曲第1番、第2番

ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
モントリオール交響楽団  指揮:シャルル・デュトワ
1998年 EMI


 デュトワ盤のオーケストラ部は、デュトワらしくオーケスラを完璧にコントロールし、きめ細かい表情付けを行なっています。アルゲリッチのピアノもそれに呼応するかのようにたいへん表情の変化に富む演奏となっています。当然ながら1968年の録音に比べると、明らかに成熟した演奏といえるでしょう。評論家や一般の評価もたいへん高い演奏と言えます。



ストレートな表現のアバド盤

 一方、クラウディオ・アバド盤では、アバドの棒はデュトワに比べるとストレートな表現といえるでしょう。音楽を気持ちよく前に進めてゆくといった感じの指揮です。アルゲリッチのピアノは叩きつけるように力強く登場しますが、第2主題などでは天性ともいえる”歌”を聴かせます。アバド指揮のロンドン響も、心なしか、そのアルゲリッチのピアノに焚きつけられたかのように、曲が進むごとに熱を帯びてきます。

 どちらかといえば、勢いで一気に弾き切ってしまったような演奏ですが、それだけにアルゲリッチの音楽が直接伝わってくるような感じがします。冷静とも言えるアバドの指揮は、個性的なアルゲリッチとは相性がよいのでしょう、この二人の共演で他にもたくさん名演があります。



青春の息吹

 この1968年盤は何といっても青春の息吹を感じます。アルゲリッチの若い頃の演奏ですから当然なのでしょうが、このショパンが20歳で書いた曲には、こうした演奏がよく似合う気がします。もっとも「青春の息吹」を感じるのは、私自身が青春時代にこの演奏に出会ったということも言えますが、そのことは多くのアルゲリッチ・ファンにも言えるかも知れません。
 
 若い人にも、昔若かった人にもぜひ聴いてほしい1枚です。
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