中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

カヴァティーナ(スタンリー・マイヤー) 

 最初の曲はギター・ファンなら、あるいはギターファン以外の人にもお馴染みの曲と言えますが、映画「ディア・ハンター」の主題曲の「カヴァティーナ」です。ギターで弾く映画主題曲と言えば、かつては「禁じられた遊び」、今はこの「カヴァティーナ」ということになるでしょう。

 この映画については、当ブログでも以前詳しく書きましたが、1978年のアメリカ映画で、ベトナム戦争末期(1960年代末)に、ペンシルバニアから戦地に赴いた3人の若者を描いたものです。川の流れの上に作られた仮設の捕虜収容所で、敵兵にロシアン・ルーレットを強要されるなど、戦争の過酷さがテーマになっています。


ディア・ハンター


原曲は”一人二重奏”

 映画の内容に反してこの曲はたいへん美しく、優しい曲ですが、故郷への想いや、人々の優しさを表しているのかも知れません。作曲はイギリスの作曲家スタンリー・マイヤーズ(1934~1993年)によるもので、著名なギタリスト、ジョン・ウィリアムスによって演奏されています。

 現在では、普通この曲はギター独奏で演奏されていますが、この映画の中ではウィリアムスによる”一人二重奏”に控えめなオーケスラが加わった形になっています。聴いた感じでは易しそうに聴こえますが、ギターを弾いている人にはわかるとおり、実際に弾いてみるとそれほど簡単な曲ではありません。特にこの曲を美しく、安らいだ感じを出すには、それ相応の技術が必要です。


和音が1小節ごとに変る

 というのも和音がほとんど1小節ごとに変わり、かなりの数の和音が使われています(簡単には数えられませんが)。その和音の交代を正確に行い、なお且つその際、メロディのほうに何らかの影響を与えてはいけません。時折出てくる16分音符も結構”曲者”です。同じ映画主題曲でも前半、後半それぞれ3つずつの和音で出来ていて(なお且つ開放弦が多い)、メロディは常に4分音符という「禁じられた遊び」とはそういった点でもかなり違います。



易しそうに弾かないと、優しそうに聴こえない!

 この曲を弾くときに最も大事なのは、”難しそうに”、あるいは”苦しそうに”弾いてはいけないということだと思います。聴いている人にとっては、この曲が何気ない、シンプルな曲に聴こえて来ないと、この曲の美しさや優しさは伝わらないでしょう。

 ともあれ、上品な美しさを湛えたこの曲はコンサートのトップ・バッターとしては最適だと思います。なお独奏への編曲はジョン・ウィリアムス自身によるものです。



ひまわり(マンシーニ)


戦争のもう一つの過酷さ

 こちらは1970年頃のイタリアの映画でソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが出演しています。第二次大戦末期、結婚してすぐに夫がロシア戦線に送られ、戦後お互いに愛する夫婦が、心ならずも別々の家庭を持つという内容の作品で、この映画もディア・ハンターとは別な意味での戦争の過酷さを描いた作品と言えます。


ひまわり


巨匠ヘンリー・マンシーニの作品

 この映画の中で時折、ひまわり畑とこのテーマ曲が流れてきますが、この曲は映画音楽の巨匠、ヘンリー・マンシーニによるものです。マンシーニの曲としては他にシャレード、ムーン・リバー、ピンク・パンサーのテーマなどがあります。

 この曲は愛し合う二人をイメージした”甘く、美しいメロディ”の曲と言え、ギター愛好者の間では江部賢一さんの名アレンジで親しまれています。福田進一氏もこの江部編でレコーディングしているのは皆さんもご存知かも知れません。



カヴァティーナよりも濃い目?

 今回の私の演奏も基本的には”江部編”なのですが、特に装飾的な部分では大幅に変更しています。ギターにはたいへんよく合う曲で、「カヴァティーナ」を引き継ぐ曲としては最適かなと思います(「カヴァティーナ」よりも味付けは若干濃い目になっています)。
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