中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

「のだめ」のモデル?

 天才といえば、このショパンの「ピアノ協奏曲第1番」を得意なレパートリーにしていた、天才ピアニストのマルタ・アルゲリッチ、天才の称号の安売りになってしまうかも知れませんが、このアルゲリッチも天才の称号がぴったりのピアニストです。アルゲリッチの天才ぶりについてはいろいろと語られていて、コンクールの課題曲を一夜漬けで覚えたとか、となりの部屋の学生がプロコフィエフの「ピアノ協奏曲第3番」を練習しているのを、ベットで眠りながら聴いていて覚えてしまったとか、一度覚えた曲は絶対に忘れないとか。

 そう言えば昨年話題になった「のだめカンタービレ」の「のだめ」のモデルではないかという気もします。テレビ・ドラマとか、深夜のアニメ番組とかを見た人も多いと思いますが、「のだめ」もコンクール本選の曲を2次予選を通過してから練習を始めましたが、熱を出すなどしてストラビンスキーの「ペトルーシカからの3楽章」はとうとう間に合わず、会場に向かう途中で譜面を読みがら曲を覚えるというシーンがありました。でも途中で料理番組のテーマが聴こえ、それまで記憶してしまい、本番では混乱して、結局優勝はできませんでした。

 テレビを見た人もそんなのあくまでもマンガの世界と思ったでしょうが、アルゲリッチの場合、それに近いことがあり得なくもなかったようです。のだめは優勝出来ませんでしたが、アルゲリッチの場合はそれに近いやり方で、ブゾーニ、ジュネーヴといった国際的に有名なコンクールを2つも優勝してしまったわけですから、のだめのかなり上をいっていたようです。他にも幼少の頃の厳しいレッスンのトラウマとか、練習嫌いとか、気まぐれとか、破天荒の演奏とか、さらに気持ちの入った時は凄まじいとか、アルゲリッチとのだめとは共通した部分もかなりあるようです。



ソロが恐い

 アルゲリッチはその二つのコンクールに16才で優勝しましたが、その後しばらくは特に目立った活動もなく、一時期は全くピアノを弾かなくなり、結婚して出産もしたそうです。しばらくのブランクの後周囲の人たちの強いサポートにより、再び意欲を取り戻し、7年後の23才(1964年)の時にショパン・コンクールに出場し、優勝しています。この時は納得ゆくまでちゃんと練習したそうです。

 その後は話題の人気ピアニストとして華々しく演奏活動に入るわけですが、そうしてからもアルゲリッチのキャンセルぐせは有名で、大勢のファンをいつもはらはらさせていたようです。リハーサルの出来が良すぎて、本番ではそれ以上には弾けないと言い出し、楽屋から出てこなくなったりということもあったようです。

 1980代の半ばくらいからはソロのコンサートはやらなくなり、協奏曲や室内楽などの合わせ物だけになりました。ステージに誰か他の人がいると安心できるそうで、一人でステージに上がるのは恐いんだそうです。その演奏ぶりからは全く想像できませんが、ともかく天才という人種は普通の人にはなかなか理解出来ないところがあるのでしょう。



名盤

 このショパンの「ピアノ協奏曲第1番」は、クラシック音楽の名曲中の名曲だけにCDは数多く出ていますが、その中でもこのアルゲリッチのCDは人気も評価も高く、これまでパートナーを換え、何度となく録音していています。現在でも何種類か手に入ると思いますが、私はそのうち1966年のクラウデオ・アバドとのものと、1998年のシャルル・デュトワとのものを持っています。アバドとの録音はショパン・コンクールを優勝して、まさに売り出し中の美人天才ピアニストと、これまた売り出し中のイケメン・スター指揮者との共演ということで、たいへん話題になったもので、現在でも評価はたいへん高いものです。

 もう一つのものは一時期結婚していたこともある(アルゲリッチは3回結婚歴がある)デュトワとの共演で、録音の違いもあるかも知れませんが、私にはこちらのほうが印象が強く感じられます。ショパンのオーケストレーションにはやや物足りなさがあると言われていますが、デュトワの棒によりそのオーケストラの部分もくっきりと、かつ色彩的に描かれ、決して物足りなさは感じません。アルゲリッチのピアノも若い頃に比べいっそう表情が深くなり、恋する青年音楽家の情熱をしなやかに、また激しく表現しているように思います。

 私は持っていませんが前述のショパン・コンクールのライヴのCDもあり、これも人気が高いようです。協奏曲というのは独奏曲に比べ、なかなか個性や考え方などが出しにくいと思いますが、アルゲリッチの場合、協奏曲のほうが優れた演奏が多いようです、モーツアルトの第20番ニ短調とか、シューマンの協奏曲、ラヴェルの協奏曲など、たいへんインパクトの強いものだと思います。


 
 
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