中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

同じものを3回買った

 アルゲリッチがDGに録音した2枚目のショパンアルバムは、「ピアノ・ソナタ第2番」、「アンダンテ・スピナートと華麗なるポロネーズ作品22」、「スケルツィオ第2番作品31」の3曲です。1974年の録音なのでもちろん初出はLPですが、このLPは私にしては珍しく発売とほぼ同時に購入しました。その後CDでも買い、最近このDGでのソロ全集の形でも買いましたから、同じ音源のものを計3回買ったことになります。


ブログ 017

ピアノ・ソナタ第2番、アンダンテ・スピナートと華麗なるポロネーズ作品22、スケルツィオ第2番作品31
1974年録音




A面、B面?

 といった訳でこのアルバムは、私としてはたいへんよく聴いたもので、この中では特に「アンダンテ・スピナートと華麗なるポロネーズ作品22」が気に入りました。序奏部にあたる「アンダンテ・スピナート」はたいへん美しく、アルゲリッチの演奏の中でも特に好きなものです。「ポロネーズ」のほうも前回の2曲のポロネーズよりずっとニュアンスに富んでいる感じがして、聴いていて楽しいものです。

 LPではこちらがB面ということになりますが、ソナタのあるA面よりこちらのB面の方がよく聴いたかも知れません。次の「スケルツィオ第2番変ロ短調」はショパンの中でも、あるいはアルゲリッチの演奏した曲の中でも人気曲と思いますが、前の曲である程度満足してしまうせいか、私にとってはちょっと印象が薄いのですが、やや力技的な部分もあるからかも知れません。

 しかし改めて聴きなおしてみると、決して力技的な演奏などというものではなく(力技もあるのは確かだが)、とてもセンシシブで、やはり名演であるのは間違いありません。



この演奏が普通になってしまうと

 順番が逆になってしまいましたが、「ソナタ第2番」のほうは、よく考えてみると他に何種類かCDは持っているのですが、圧倒的にこのアルゲリッチの演奏を聴くことの方が多く、私の中ではこのアルゲリッチの演奏が標準になってしまっています。

 改めて他のピアニストの演奏を聴いてみると、それぞれはやり物足りなさを感じてしまいます。表現の彫の深さにはかなり違いがあるようです。比較的近い演奏といえばエフゲニー・キーシンかな?

  




ブログ 018

24の前奏曲集作品28、前奏曲第25番、第26番
1975年録音



珍しく全曲演奏

 アルゲリッチの3枚目のショパン・アルバム、同時に最後のショパン・アルバムでもあるのですが、それは1975年に録音した「24の前奏曲集」ということになります。あまり全集ものは録音してこなかったアルゲリッチですが、この前奏曲集は全曲録音しています。やはりアルゲリッチもこの曲は24曲で一つの作品と考えているのでしょう。

 この曲はバッハの「平均律曲集」に習って、全24の長短調で曲を書いているわけですが、バッハの場合は半音階的に調並んでいるのですが、ショパンの場合は5度関係で調が並んでいます。


30秒余りの中に

 1曲目はバッハと同じくハ長調の曲ですが、30秒余りで終わってしまう短い曲です。アルゲリッチの演奏ではその短さの中にもちゃんと起承転結が付いています。もちろん曲がそうなっているのでしょうが、アルゲリッチの演奏ではそれがたいへんよく、また自然に感じ取れます。

 この曲集はゆっくり歌わせるタイプの曲と練習曲のような技術的な曲とが交互に並んでいる感じですが、それにしても「第8番」、「第16番」、あるいは最後のの「24番」とかは恐ろしく難しそうな曲ですね。全くピアノを弾いた事のない私にとってはそれがどの程度難しいのかはわかりませんが、他のピアニストの演奏を聴くと、その難しさがある程度分かる気がします。



奔放なのは私生活だけ?

 アルゲリッチの演奏は直感的だとか奔放とか言われることもありますが、こうして楽譜を見ながら聴いていると楽譜に書いてあること、あるいはそれを書いた人の意思をとても忠実に再現しているように聴こえます。決して自らの感性や考え方、あるいは技術などを全面に押し出しているような演奏ではないようで、まして”わがまま”な演奏とはいえないでしょう。

 もっとも”奔放”なのはあくまで私生活であって、作品や、それを書いた作曲家に対してはてとても謙虚なのかも知れませんね。また、どのように難しいパッセージでも必ず要求される音量、均一さ、レガートさなど、音楽的に要求されることを的確に音にしているように聴こえ、それを実行できる技術が備わっているということでしょう。 



もし練習曲集を録音していたら

 この前奏曲集の演奏を聴くとアルゲリッチがショパンの「練習曲集」を録音しなかったのが悔やまれる気がします。今現在ではこの練習曲集については、マウリツィオ・ポリーニの演奏が高く評価されています。ポリーニの演奏は確かに完璧な演奏と言えるのでしょうが、私自身ではこのCDを最後まで聴くのは若干忍耐が必要になります。

 もしアルゲリッチがこの練習曲集を録音していたら、この曲集の演奏の決定盤になっていただけでなく、この曲集がとても魅力的な曲になっていたでしょうね。



unbelievable!

 それにしても前奏曲集の最後の「24番」の急速な3度の半音階を、アルゲリッチはどうしてあのように弾けるのか?  ・・・・もちろん”ただ”弾けているというようなものではない、音楽的に要求されることをすべて満たしながら弾いている。
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