中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

20世紀の巨匠たち ~ギター史を創ったギタリスト



昨年は21世紀のギタリストを紹介

 昨年は、「21世紀のギタリストたち」ということでナクソスのローリエイト・シリーズをとおして若いギタリストたちを紹介しました。これによって、若干ではありますが、最近の若いギタリストたちの傾向とか、あるいはその根底にある、最近の世界のギターの教育事情などを垣間見た気がします。



作曲家の意図を最重要視。各時代の様式感も考慮

 そうした若いギタリストの音楽的、技術的レヴェルの高さについては重ねて言うまでもありませんが、最近のギタリストは自らの感性や個性などを全面に押し出す前に、その作品を考え、研究し、その作曲家の意図を音にすることを最も重要視しているようです。また各時代の様式感などにも十分配慮した演奏になっています。



美しい音と柔軟な感性

 また音色や響きの美しいギタリストも多いのにもある意味驚かされました。ちょっと聴いた感じでは一見同じように聴こえる演奏も、よく聴くとそれぞれのギタリストの感性の違いなどはやはりはっきりと聴き取れます。個性の違いといっても、最初から奇抜なスタイルで演奏するというのではなく、その音楽に真摯に向き合った結果、それぞれのギタリストの感性などの違いが染み出したといった感じかも知れません。



さらに新しいギタリストが出現

 「21世紀のギタリストたち」の記事を書いてからもうすでに半年以上経ちます。その後このナクソスのシリーズでも何枚か新しいギタリストのCDが発売されています。もちろん世界各地のコンクールなどから、あるいは音楽学校などから続々と若いギタリストが世に出ていることと思います。また何年かしたらこうしたギタリストの紹介を行いたいと思います。



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21世紀のギタリストを紹介したからには

 さて、「21世紀のギタリスト」について紹介したからには、やはり20世紀のギタリストについても紹介すべきでしょう、私の世代の愛好者にとっては、20世紀のギタリストはあまりにも身近過ぎて、特に紹介すべきことではないかも知れませんが、今やセゴヴィア、イエペスといってもあまりピンと来ない愛好者も多くなっているのではないかと思います。

 また20世紀も終わってから10年以上経つわけで、20世紀と言う時代も、そろそろ歴史になりつつあると思います。私などには20世紀のギター史を語ることは出来ませんが、私たちにはとても身近だった20世紀の大ギタリストたちについて、一通りおさらいしておいても良いかなと思います。

 と言ったように「20世紀の巨匠たち~ギター史を創ったギタリスト」というテーマで、20世紀に活躍した大ギタリストを、その残された録音により紹介してゆきたいと思います。ギタリストの紹介というより、CDの紹介として考えて下さい。



タレガの録音ってあるの?

 20世紀のギタリストといえば、20世紀に活動した年数は少なかったですが、その影響力の多さから言って、フライシスコ・タレガを挙げなければならないところです。タレガ自身については昨年紹介しましたが、その録音については、残念ながら今現在入手可能なものはありません。

 以前現代ギター誌に「タレガの録音が残されている」といった記事がありましたが、1909年没ということを考えてると、その信憑性には若干疑問符もつくのではないでしょうか。もちろん可能性がなくはないと思いますが、仮に存在したとしても、実際にタレガ自身が演奏したものかどうかということを判別するのは決して簡単なことではないでしょう。



アグスティン・バリオス

 といった訳で、私が知る限りでは、私たちが入手できる最も古い20世紀のギタリストの録音としては、アグスティン・バリオスということになるでしょう。CDブックレットのデータによれば、バリオスの最も早い録音は1910~1913年ということのようです。


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3枚組のCD。かつてはカセット・テープで出ていた

 上の写真はバリオス自身の演奏の3枚組みCDです。以前カセット・テープの形で発売されていたこのともありますが、音質には相当厳しいものがあります。当時何度か聴いたことはありますが、音質がひどいので買うのは躊躇していました。上のセットは数年くらい前に買ったものですが、CDになったからといってももちろん音質には変りありません。しかし何と言っても作曲家自身の演奏ということで、バリオスの曲を演奏する場合にはどうしても聴いておきたい録音と言えるでしょう。



若干忍耐が必要だけど

 作曲自身の演奏であると同時に、先ほど言いましたとおり、入手出来る範囲のものとしては最も古いギターの録音ということで歴史的な価値もあるでしょう。そう言ったわけで、若干忍耐力も必要ですが、がんばってこのCDを聴いてゆきましょう。

 この3枚組のアルバムにバリオス自身のオリジナル作品が37曲(重複が2曲)、編曲や他の作曲家の作品が17曲(重複が2曲)とバリオス自身の音声が収められています。最も古い録音は前述のとおり1910~1913年、最も新しい(?)もので1942年となっています。もちろんSP盤のCD化で、音質については、残念ながら私が知る限りで最も質の悪いものと言えます。



ノイズの彼方から聴こえてくるギターの音

 全体的に悪い中でも比較的”まし”なものもありますが、ギターの音よりもノイズのほうがずっと大きいものはごく当たり前で、盤が歪んでいるのでしょうか、音程まで揺れ動いてよくわからないものまであります。バリオスの音声ももごもごしていてよく聴き取れません(スペイン語だけれども)。おそらく残されたSP盤から復刻しているものと思いますが、録音状態だけでなく、その保存状態にも大きく影響されているのでしょう。


 ・・・・・続く
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