中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 バリオスの作品のCDの紹介と言いつつ、前回はかつてのLPの話で終わってしまいましたが、今回は本当に"
CD"の話です。もちろんバリオスの作品を演奏したCDはたくさんありますが、私が持っている中で、バリオスの「作品集」としてのCD、つまりバリオスの作品だけを収めたCDについてだけ紹介します。


ジョン・ウィリアムスの2枚のCD


  1977年発売のLPのCD化 ~現在でも入手可能


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 このCDは前回紹介した1977年発売(録音年月は不明)のウィリアムスのLPをCD化したものです。このCD自体の発売も20年ほど前になってしまいますが、まだ”現役盤”のようです。このCDにはオマケとしてほぼ同じ時期に録音されたポンセの「スペインのフォリアによる変奏曲とフーガ」が入っていますが、LPには収録されていた「郷愁のショーロ」が抜けています。「スペインのフォリア」を入れるためにこの曲を外したのだと思いますが、まさに”本末転倒”といったところでしょうか。



  1994年 バリオス没後50年記念 デジタル録音

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 こちらは1994年に”バリオス没後50年記念”として録音されたものです。曲目のうち、半数以上は1977年のものと重複しています。この二つの録音は20年近くの隔たりがありますので、いろいろな点で違いはありますが、ただ、演奏の基本的なところはあまり違いがなさそうです。



ウィリアムスの録音の仕方は年代によってかなり違う

 大きく違うのはやはり録音技術ということになると思いますが、やはりデジタル録音となった1994年盤のほうは確かによい音質です。楽器は1977年盤がイグナシオ・フレタ、1994年盤がグレッグ・スモールマンだと思いますが、1994年盤のほうは全体に重厚な音で、高音もきれいに伸びています。


音もファッションも時代につれて?

 もっとも、ウィリアムスの録音に関してはその年代によってかなりコンセプトが違っているようです。1960年代の後半くらいまでのLPは、その端正な演奏スタイルや、ホテルマンのような横分けに黒のタキシード・スタイルが象徴するような、文字通りたいへん清楚な音質で録音されています。


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まるでホテルマンのような20代前半のウィリアムス


 しかし1960年代の末から1970年代の前半くらいにかけては、ギター愛好者の誰もが驚いた、そのサイケ調の派手なファッションと呼応するかのように、一転して残響を多めにつけたり、高音を伸ばすなど、かなり派手めな録音となってきます。


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いきなりサイケ調に変身してファンの度肝を抜いた(カラーでなくて残念)


リアルさの追求?

 そして1970年代後半になるとその反動か、あるいはまたリアルさの追求なのか、今度は残響のほとんどないデッドとも言える音質に変ってしまいます。特にポンセの「スペインのフォリア」などを録音したLPでは、それに加えて録音レヴェルもかなり低く押さえられ、当時私の持っていたプレーヤーでは針から出るノイズのほうが大きくなってしまいました。なかなかよい演奏で、曲目もよかったのですが、残念ながらとても聴きづらいLPでした。

 1977年のバリオスの録音をちょうどそうした時期にあたっていて、ポンセのLPほどではありませんが、残響の少ない録音となっていて、CDで聴いてもやや窮屈に聴こえます。しかしリアルと言えばリアルなのでしょう。その後のデジタル録音になってからはそうした極端なことは影をひそめたようです。



1994年盤の方が華麗

 演奏自体は、大きくは変っていませんが、全体に1994年盤のほうが若干ダイナミックで華やかに聴こえます。「大聖堂」を例に取れば、第1楽章は1994年盤のほうが高音のメロディが伸びがよく、自然に聴こえます。1977年盤のほうはギターらしい音とは言えますが、ややつまり気味に感じます。

 譜面的には全音のベニーテス版とは違う版を使用していると思いますが、1994年盤では第3楽章などさらに変更を加えていて、テンポも速く、いっそう華麗な第3楽章になっています。


1977年盤もやはり魅力的

 「ワルツ第3番」は譜面というよりも前述のバリオスの自演に添った演奏といえますが、やはりこの方が「カッコよく」最近の多くのギタリストがこれに近い形で演奏しています。この曲では1977年盤と1994年盤との、特に譜面上の違いはなく、演奏そのものは1994年盤の方が10秒ほど長い他はほとんど変わりなく、どちらも華麗な演奏です。

 違いははやり音質のほうですが、この曲に関しては1977年盤の方が聴きなれているせいか、私には自然に聞こえます。響きが少ない分だけ低音などはくっきりとしています。1994年盤では伴奏の刻みが気持ち大きいのもちょっと気になります、楽器の違いでしょうか。



持っているとは思いますが・・・・

 その他1曲1曲コメントしていると長くなりますが、あらためて聴いてみても、このウィリアムスの2枚の録音はバリオスの魅力を最大限引き出したものと言えるのは間違いありません。はやり今日のバリオス人気を牽引した録音であるのは間違いないでしょう。バリオス・ファン、およびギター愛好者でしたら当然すでに持っているCDだと思いますが、まだの方は是非購入してみて下さい。どちらも現在入手可能だとと思います。
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