4曲のカタルーニャ民謡
リョベットと言えば、なんと言ってもカタルーニャ民謡と言うことになると思います。リョベットのカタルーニャ民謡の編曲は13曲ほどですが、そのうち4曲を録音しています。私たちがこれらの曲を演奏する場合にはぜひとも参考にしなければならない録音だと思いますが、さらにはタレガの作品の演奏を演奏する場合のヒントにもなるのではないかと思います。
「アメリアの遺言」は「Andante espressivo」と指示がありますが、例のごとくかなり速めのテンポで演奏しています。リピートは2回でなく3回になっていますが、SP盤の録音時間の関係でしょうか。
今年のシニア・ギター・コンクールの課題曲になっていますが
この曲は今年のシニア・ギター・コンクールの課題曲にもなっていますが、この曲においては「グリサンド記号」の意味、またその弾き方などが気になるところです。楽譜のほうが若干不鮮明で申し訳ありませんが、皆さんの手持ちの譜面を見ながら読んでいただければと思います。
リョベットのグリサンド記号の表記と演奏法
第1小節目の最後の「レ」から2小節目の1拍目の「ファ」にグリサンド記号が付いています。そして「ファ」の音の前に小音符で同じ「ファ」の音が付いています。ここを見た目どおりに一旦グリサンドで小音符の「ファ」を出してから改めて主音符(大きい音符)の「ファ」を弾き、結果的に「レ-ファファ」というような感じ弾いている人もいますが、やはりリョベットの演奏を聴いた限りではそのようには弾いていません。
ダブっては聴こえない =後続の音を弾きなおす、といっただけの意味
リョベットの演奏ではこの小音符の「ファ」はほとんど聴こえないようになっていて、「レ-ファ」というように「ファ」はダブっては聴こえません。したがって、この小音符を付けた意味合いというのはグリサンドの後続の音、つまり「ファ」を”改めて弾く”といったものだと結論出来ます。この小音符を付けないと、「ファ」はグリサンドした音だけでよいのか、改めて右指で弾弦すべきなのかはっきりしなくなるので、付けてある音符と考えるべきなのでしょう。
もっともこの小音符がなかったとしても強拍の音をグリサンドの音だけで済ますというのはたいへん不安定ですから、仮にそのように表記されている場合でもここは改めて弾弦すべきところでしょう。
メロディを歌わせることがより重要
またこの録音ではグリサンドの表記はあっても、ほとんどグリサンド音が聞こえないところもあります。グリサンド表記が付いたところは、実際にグリサンド音が出るかどうかということよりも、メロディを歌わせるといった気持ちのほうが大事なのかも知れません。
この世への未練?
また”下り”のグリサンドの箇所には「dolce」や「poco rall.」などの指示があり、やはりこだわった箇所と言えます。リョベットはここを”糸を引くように”弾いています。メロディの最後の「ファ-レ」というところはこの世を去ってゆこうとするアメリア姫の”この世へのなごり”を表しているのでしょうか。
最後から2小節目のところにはフォルテ記号が付いていますが、リョベットはこの箇所を特に強く弾いているというより、最後の8小節、つまりメロディが低音弦になった部分全体を大きく弾いているようです。つまりメロディとなっている低音弦をしっかりと鳴らせと言った意味に考えたほうがよいようです。
タレガを継承したのではなく、その時代のスペインのギター奏法を継承した
この時代頃まで自然ハーモニックスの場合は、実際に出る音ではなく、開放弦で表記されています。リョベットの表記は、基本的に師のタレガと全く同じといってよく、そういった点でもタレガを継承しているといってもよいでしょう。
もっとも、こうした記譜法にしろ、演奏法そのものにしろ、正確には個人的にタレガのものを継承したというより、タレガに代表される19世紀末から20世紀初頭にかけてのスペインのギターの記譜法と奏法を継承したというべきかも知れません。ともあれ、タレガとリョベットの演奏法はかなり近いものだったことは確かで、再三になりますが、タレガの曲を演奏する場合、このリョベットの演奏を聴くことは不可欠でしょう。
「商人の娘」はかなり速い
オクターブ・ハーモニックスが多用される「商人に娘」は「Andante ma non toroppo」と指示されていますが、これもかなり速く、聴いた感じではアレグロかアレグレットくらいに聴こえます。演奏時間が2分ちょうどくらいになっているので、これも収録時間の関係かも知れません。
「哀歌」では音をダブらせるグリサンドも
「哀歌」は上記の2曲にくらべるとやや落ち着いたテンポで弾いています。8小節目には「シ-レレ」のようにグリサンドの後の音がダブって聴こえるグリサンドが出てきますが、譜面を見ればわかるとおり、この場合は前述のものとは別の表記をしています。
声部をまたぐグリサンドも
「先生 ~El Mestre」にもグリサンドが多用されていますが、この曲では主旋律だけでなく、内声部や低声部にも、ところによっては声部をまたいだグリサンド記号が付いています。「民謡」いうこともあるのでしょうが、タレガよりも多用している感じがします。
リョベットと言えば、なんと言ってもカタルーニャ民謡と言うことになると思います。リョベットのカタルーニャ民謡の編曲は13曲ほどですが、そのうち4曲を録音しています。私たちがこれらの曲を演奏する場合にはぜひとも参考にしなければならない録音だと思いますが、さらにはタレガの作品の演奏を演奏する場合のヒントにもなるのではないかと思います。
「アメリアの遺言」は「Andante espressivo」と指示がありますが、例のごとくかなり速めのテンポで演奏しています。リピートは2回でなく3回になっていますが、SP盤の録音時間の関係でしょうか。
今年のシニア・ギター・コンクールの課題曲になっていますが
この曲は今年のシニア・ギター・コンクールの課題曲にもなっていますが、この曲においては「グリサンド記号」の意味、またその弾き方などが気になるところです。楽譜のほうが若干不鮮明で申し訳ありませんが、皆さんの手持ちの譜面を見ながら読んでいただければと思います。
リョベットのグリサンド記号の表記と演奏法
第1小節目の最後の「レ」から2小節目の1拍目の「ファ」にグリサンド記号が付いています。そして「ファ」の音の前に小音符で同じ「ファ」の音が付いています。ここを見た目どおりに一旦グリサンドで小音符の「ファ」を出してから改めて主音符(大きい音符)の「ファ」を弾き、結果的に「レ-ファファ」というような感じ弾いている人もいますが、やはりリョベットの演奏を聴いた限りではそのようには弾いていません。
ダブっては聴こえない =後続の音を弾きなおす、といっただけの意味
リョベットの演奏ではこの小音符の「ファ」はほとんど聴こえないようになっていて、「レ-ファ」というように「ファ」はダブっては聴こえません。したがって、この小音符を付けた意味合いというのはグリサンドの後続の音、つまり「ファ」を”改めて弾く”といったものだと結論出来ます。この小音符を付けないと、「ファ」はグリサンドした音だけでよいのか、改めて右指で弾弦すべきなのかはっきりしなくなるので、付けてある音符と考えるべきなのでしょう。
もっともこの小音符がなかったとしても強拍の音をグリサンドの音だけで済ますというのはたいへん不安定ですから、仮にそのように表記されている場合でもここは改めて弾弦すべきところでしょう。
メロディを歌わせることがより重要
またこの録音ではグリサンドの表記はあっても、ほとんどグリサンド音が聞こえないところもあります。グリサンド表記が付いたところは、実際にグリサンド音が出るかどうかということよりも、メロディを歌わせるといった気持ちのほうが大事なのかも知れません。
この世への未練?
また”下り”のグリサンドの箇所には「dolce」や「poco rall.」などの指示があり、やはりこだわった箇所と言えます。リョベットはここを”糸を引くように”弾いています。メロディの最後の「ファ-レ」というところはこの世を去ってゆこうとするアメリア姫の”この世へのなごり”を表しているのでしょうか。
最後から2小節目のところにはフォルテ記号が付いていますが、リョベットはこの箇所を特に強く弾いているというより、最後の8小節、つまりメロディが低音弦になった部分全体を大きく弾いているようです。つまりメロディとなっている低音弦をしっかりと鳴らせと言った意味に考えたほうがよいようです。
タレガを継承したのではなく、その時代のスペインのギター奏法を継承した
この時代頃まで自然ハーモニックスの場合は、実際に出る音ではなく、開放弦で表記されています。リョベットの表記は、基本的に師のタレガと全く同じといってよく、そういった点でもタレガを継承しているといってもよいでしょう。
もっとも、こうした記譜法にしろ、演奏法そのものにしろ、正確には個人的にタレガのものを継承したというより、タレガに代表される19世紀末から20世紀初頭にかけてのスペインのギターの記譜法と奏法を継承したというべきかも知れません。ともあれ、タレガとリョベットの演奏法はかなり近いものだったことは確かで、再三になりますが、タレガの曲を演奏する場合、このリョベットの演奏を聴くことは不可欠でしょう。
「商人の娘」はかなり速い
オクターブ・ハーモニックスが多用される「商人に娘」は「Andante ma non toroppo」と指示されていますが、これもかなり速く、聴いた感じではアレグロかアレグレットくらいに聴こえます。演奏時間が2分ちょうどくらいになっているので、これも収録時間の関係かも知れません。
「哀歌」では音をダブらせるグリサンドも
「哀歌」は上記の2曲にくらべるとやや落ち着いたテンポで弾いています。8小節目には「シ-レレ」のようにグリサンドの後の音がダブって聴こえるグリサンドが出てきますが、譜面を見ればわかるとおり、この場合は前述のものとは別の表記をしています。
声部をまたぐグリサンドも
「先生 ~El Mestre」にもグリサンドが多用されていますが、この曲では主旋律だけでなく、内声部や低声部にも、ところによっては声部をまたいだグリサンド記号が付いています。「民謡」いうこともあるのでしょうが、タレガよりも多用している感じがします。
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