中村俊三 ブログ

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ミゲル・リョベットの作品の現代のギタリストによるCD

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ステファーノ・グロンドーナ : リョベット・ギター作品集(2枚組)


リョベットのオリジナル作品と編曲作品 ~カタルーニャ民謡だけが有名だが

 リョベットの作品と言えば、よく知られているのは13曲のカタルーニャ民謡の編曲、さらに「スペイン舞曲第5番」、「朱色の塔」などグラナドスやアルベニスの作品の編曲ということになるでしょう。オリジナル曲に関しては短い小品も含めて10数曲程度のようです。これはタレガやバリオスに比べるとかなり少ない数です。



専業ギタリスト?

 19世紀までのギタリストは、作曲も演奏も両方行うことが当然だったのですが、リョベットは作曲よりも演奏にかなり比重を置く”専業演奏家”、つまり20世紀型ギタリストだったようです。オリジナル作品の数だけで言ったら、セゴヴィアよりも少ないかも知れません。


オリジナル作品を聴くようになったのは最近

 その数少ないオリジナル作品も、私たちの耳に届くようになったのも、ごく最近のことです。この「リョベット作品全集」CDは、イタリアのギタリスト、ステファーノ・グロンドーナによる演奏で、リョベットのオリジナル作品と編曲作品からなる、2枚組ものです。オリジナル作品は7曲収録され、13曲のカタルーニャ民謡他の編曲作品も収録されていますが、比較的よく演奏されるアルベニスや、グラナドスなどの編曲作品、および二重奏曲などは省かれています。

 

ソルの主題による変奏曲 ~第2変奏まではソルの原曲どおり

 リョベットのオリジナル作品で比較的よく演奏される曲としては「ソルの主題による変奏曲」が挙げられます。この曲はソルの「フォリアの主題による変奏曲作品15-1」から主題をとったものです。ソルの原曲では4つの変奏があり、コーダとしてホ長調のメヌエットが添えられています。

 リョベットの作品では、計10の変奏となりますが、第1、第2変奏はソルのものをそのまま使っていて、第3変奏から第10変奏までがリョベットの作曲となります。第6変奏と第7変奏の間にはゆっくりとした間奏曲が置かれています。

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ソルの原曲  =スペインのフォリアによる変奏曲作品15-1 冒頭部分


タレガよりも技巧的

 リョベットの作曲した変奏はかなり技巧的になっていて、リョベットのヴィルトーゾぶりが感じ取れます。最近ではよくコンクールの自由曲などに選ばれますが、そういったこともうなずける曲です。

 リョベットの作曲した第3変奏は3連符による変奏。第4変奏はアルペジオとトレモロ奏法が合体したもの。第5変奏はハーモニックスと急速なアルペジオ。第6変奏はハイ・ポジションまで駆け上がる急速なアルペジオ。メロディックでゆっくりなインテルメッツォを挟み、第7変奏は急速なレガート奏法。第8変奏は自然ハーモニックス。第9変奏は左手のみによるレガート奏法。コーダ的な第10変奏は跳躍が多く、かなり高いポジションの音も使われ、より技巧的で華麗な変奏となっています。

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リョベットの作曲した第10変奏。跳躍が多く、かなり高いポジションの音も使われている。



グリサンドやオクターブ・ハーモニックスは使われない

 確かにタレガの技法(正確にはタレガの時代の技法)を継承とも言え、さらにそれを拡大したような感じになっています。タレガの曲以上に技巧的な曲と言えます。ここでは他のリョベットの曲(カタルーニャ民謡など)でよく使われるグリサンド(小音符を付した)やオクターブ・ハーモニックスは使われていませんが、これはソルの曲を意識してのことでしょうか。



エネルギッシュなグロンドーナ

 このCDでのグロンドーナの演奏は力強く、重厚な音で、まさにヴィルトーゾ的に弾いています。グロンドーナの演奏はアコラ(アコースティック・ライフ)でも聴きましたが、理知的でありながらも、たいへんエネルギッシュな演奏で、コンサートの前、後半を、それぞれインターバルもとらずに弾ききったのを記憶しています。



爽やかなヴィロートー

 他には前に紹介したナクソスのローリエイト・シリーズでトーマ・ヴィロートーもこの曲を演奏しています。ヴィロートーもたいへん技術の高いギタリストですが、こちらは爽やかで澄んだ響きの演奏です。
 
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