中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

<アンドレス・セゴヴィアによる3曲のカタルーニャ民謡>


 アンドレス・セゴヴィアは1949年にリョベット編曲のカタルーニャ民謡から「聖母の御子」、「アメリアの遺言」、1956年に「先生」を録音しています。


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リョベット編の2曲のカタルーニャ民謡、「聖母の御子」、「アメリアの遺言」が収められている初出のLPジャケット。セゴヴィアの初のLPと思われる。上の写真は復刻ジャケット。


テンポこそ遅いが、リョベットの演奏に似ている

 このうち「先生」はリョベットが2分43秒、セゴヴィアが3分23秒と、演奏時間こそかなり違いますが、セゴヴィアの演奏はリョベットにかなり似ていると言えるでしょう。セゴヴィアにしては、リョベットの書いた譜面をほとんど変更することなく、かなり忠実に演奏しています。


弟子と言わずして・・・・

 さらにリョベットの演奏と聞き比べると、グリサンドの付け方から、ピッチカート奏法やハーモニックス奏法のところをテンポを上げて演奏するなど、ほとんどリョベットの演奏のコピーと言えるくらいです。この「先生」を聴いた限りでは本人がどう言おうと、「セゴヴィアをリョベットの弟子と言わずして、何と言わんや」 と言えるでしょうか。

 セゴヴィアが実際にリョベットからレッスンを受けたかどうかは別にしても、セゴヴィアがリョベットの演奏を手本にしていたのは間違いないでしょう。
 

セゴヴィアの再アレンジ?

 「聖母の御子」は一般にリョベット編として出されている譜面と若干違っています。ナルシソ・イエペスもこれと同じもの(リピートをしていて、演奏時間は長くなっている)を録音していますが、そこでは「セゴヴィア編」と書かれています。セゴヴィアの再アレンジなのでしょうか。

 また、荘村清志さんも同じものを演奏しています(荘村さんはイエペスに師事した)。因みに初出のLPジャケットには、「カタルーニャ民謡」とだけ書かれ、編曲者は書かれていません。セゴヴィアの録音やリサイタルの場合、編曲者はほとんど表記されません。



カタロニア民謡「海の子」?

 本当に余談ですが、私が持っていた国内盤のLPには、この「聖母の御子(El noi de la mare)」が「海の子」と訳されていました。マリア様の「mare」を「海」と訳してしまったのでしょうね。しかしスペイン語の辞書を引いてみると「mare」と言う単語は載っていなくて、一番近い綴りが「marea」で、これは確かに海。マリア様のほうは「Maria」で、綴りも違うが、当然のことながら最初の文字は大文字!

 と言うわけで「mare」が「海」になってしまうのは十分に同情の余地があります。もしかしたら「mare」というのはカタルーニャの方言なのかも知れません。ともかく誤訳としてはなかなかの傑作といえるでしょうね(小ネタにして失礼!)。


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私が持っている国内盤LPのジャケットとオビ。このLPの発売は1977年と書いてあります。この音源は何度も再発を繰り返し、その度にジャケットのデザインも変っているのでしょうが、このジャケットは初出のものに戻っているのですね。もしかしたら「最後の」LPかも。見にくいと思いますが、オビにはしっかりと「海の子」と書いてあります。


意外とあっさり

 「アメリアの遺言」も譜面どおりに演奏していて、もちろんリョベットの演奏に近いのですが、濃厚なリョベットの表現に比べると、意外とさらっとしています。

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