中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

「13のカタルーニャ民謡」の他のギタリストによるCD録音

 リョベットのオリジナル作品を録音しているギタリストは、前述のグロンドーナなどを除くと、まだあまりいませんが、この「13のカタルーニャ民謡集」を全曲、あるいは部分的に録音しているギタリストは現在多数います。この「カタルーニャ民謡集」は、様々な技法を駆使し、ギターの魅力が十分に発揮できるようになっているだけでなく、後期ロマン派的な高度な和声法を用いているのも大きな特徴です。結果的にはリョベットのオリジナル作品を差し置いてリョベットの代表作とされているのもうなずけます。編曲というより限りなくオリジナルに近い作品と言えるでしょう。

 といった訳で、今回はこの「13のカタルーニャ民謡集」の、リョベット以外のギタリストによるCDの紹介です。この「13曲」の曲名は以下のとおりです。

1、アメリアの遺言
2、盗賊の歌
3.紡ぎ女
4.王子
5.夜うぐいす
6.哀歌
7.先生
8.あとつぎのリエラ
9.商人の娘
10.凍れる12月
11.羊飼いの娘
12.レリダの囚人
13.聖母の御子
 

 これらの作品がいつ頃編曲され、いつ頃出版されたのかはわかりませんが、私の知る限り、わが国では1~10曲目までが「10のカタルーニャ民謡」として1966年にギタルラ社から出版されています。その基となったものは1964年にスペインのUNION MUSICAL ESPANOLA社から出版されているとのことです。現在は現代ギター社からも、いくつかのオリジナル作品や編曲作品と共に出版されています。またUNION MUSICAL ESPANOLA社からも、現在全6巻のリョベット作品全集が出されてます(ホマドリームのホーム・ページ参照)。

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 「10のカタロニア民謡集」  ギタルラ社1 966年出版


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ミゲル・リョベット作品集   現代ギター社 2010年出版 


 この「カタルーニャ民謡集」の全曲録音、あるいはそれに順ずる録音は比較的最近のことと思いますが。1992年に荘村清志、斉藤明子、ジョン・ウィリアムスの3人のギタリストのCDが発売されています。荘村さんは11曲、斉藤明子さんは全13曲、ウィリアムスは9曲録音しています。またLP時代の録音としては、5曲のみですがイエペスの録音を挙げられるでしょうか。


ナルシソ・イエペス

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ナルシソ・イエペス  イエペス、カタロニア民謡を弾く 1972年録音(LP)

 1970年代ではイエペスが「聖母の御子」、「商人の娘」、「糸を紡ぐ女」、「先生」、「盗賊の歌」、の5曲を1972年に録音しています。イエペスの演奏はリョベットの演奏とはずいぶんと違い、セゴヴィアなどのスペイン・ギターの伝統の則った演奏とは一線を画したものがあります。しかしその乾いたスペインの大地を思わせるような響きには不思議な魅力もあります。



荘村清志

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カタロニア郷愁  荘村清志  1991年録音

 荘村清志さんはスペイン音楽には思い入れも深いと思いますが、全体的にはやはり師のイエペスの演奏の影響があると言えるでしょう。比較的ゆっくりと情感たっぷりに演奏していますが、師のイエペス同様リョベット的な演奏とは異なります。「盗賊の歌」ではイントロを変更していますが、ご自身のアレンジなのでしょうか?



斉藤明子

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スペイン  斉藤明子 1992年発売


 斉藤明子さんのCDは斉藤さん自身のデビーアルバムにあたるものですが、少なくとも国内では「13のカタルーニャ民謡」としては初の全曲録音なのではないかと思います。そういった意味でも意識の高いデビュー盤と言えるでしょう。全体に中庸なテンポで、端正に歌っています。グリサンドなども目立たないようにではありますが、指示どおり付けています。



ジョン・ウィリアムス

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イベリア  ジョン・ウィリアムス 1991年録音

 ウィリアムスの演奏は上記の二人(荘村、斉藤)のCDよりもリョベト→セゴヴィアの演奏にやや近くなっています。速めのテンポで小粋で軽快、且つダイナミックに弾く曲と、じっくり歌わせる曲とはっきり弾き分けています。



角圭司

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Mi Corason  角圭司 2005年録音

 角圭司君も2005年に「13のカタルーニャ民謡」を録音しています。角君の演奏はイン・テンポを基調とした演奏で、スラー、グリサンド奏法などの使用は控えめです。音楽の骨格を重んじた演奏と言えるでしょうか。
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