中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

アンドレス・セゴヴィア(Andres Segovia 1893~1987)

 アンドレス・セゴヴィアと言えば、泣く子も黙る(?)20世紀の大ギタリスト。ギターファンの皆さんでしたら、あえてお話することもあまりないかも知れませんが、しかしセゴヴィアを語らずして、この「20世紀の巨匠たち~ギター史を創ったギタリスト」と言うタイトルは成り立たない! そういった訳で今回からはまさに世紀の大ギタリストと言うべき、このギタリストを取り上げます。


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私が巨匠セゴヴィアの存在を知ったのは

 私事で恐縮ですが、私がセゴヴィアの名を知るようになったのは大学のギター部に入ってからのことです。その8年くらい前からギターは一応弾いていたのですが、8年間はこの世紀の大ギタリストの名前すら知らずにいたわけです。最初にその演奏(と言ってもレコードですが)を聴いたのはギター部の先輩のところでだったと思います。

 「今現在、世界で最も有名で、評価の高いギタリスト」と言ったような先輩の言葉もあって、その演奏が優れているとか、そうでないとか、そんなことは一切考えず、ただただ「今、世界で一番のギタリストの演奏というものは、こういうものなのか」と聞き入っていたように思います。


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私が最初に買ったセゴヴィアのLP「プレイズ」。 ハイドンのメヌエットやマラッツのセレナードが入っていて、私が最もよく聴いたセゴヴィアのLP。ジャケットは1960年代後半の再発のもので、初出のものではない。


ただレコードを聴かせてもらうためだけに

 当初は自分でLPを持ってなく、カセットとかMDというものもなかった時代ですから、LPを持っているギター部の先輩の家などに聴かせてもらいに行っていました。そうした先輩たちは、その後輩の来訪を、一応歓迎はしてくれましたが、ほとんどしゃべりもせず、ただLPに聴き入って、時には何回も繰り返させるその後輩に、本当は迷惑していたでしょう。さらに聴くだけ聴くと、さっさと帰ってしまう・・・・・

 その後は自分でもセゴヴィアのLPを買って聴くようになりましたが、もちろん買える枚数には限りがあり、同じLPを何回も何回も繰り返して聴いていました。当然のことながら、セゴヴィアのちょっとした”弾き癖”にいたるまで、その演奏を覚えてしまい、自分でその曲を弾く頃には、ほとんどセゴヴィアのコピーのようになってしまいました。


私の師、松田晃演先生はセゴヴィア直系

 私のギターの師の一人に松田晃演先生がいます。松田先生はセゴヴィアから直接指導を受け、セゴヴィアの高弟と言われています。松田先生の演奏を聴いた人は、おそらく誰しもその演奏にセゴヴィアの影響を強く感じるのではないかと思います。セゴヴィア直系のギタリストといって過言ではないでしょう。

 しかし私は松田先生には学生時代の1972年~1973年にかけて、実質8ヶ月ほどしか習ってなく、私自身では松田先生を通じてセゴヴィアの奏法、およびその音楽を継承しているとは、残念ながら言えません。まあ、形の上だけはセゴヴィアの孫弟子にあたるのでしょうが・・・・・


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私が習っていた頃(1970年代)の松田晃演(まつだあきのぶ)先生


自分のレッスンだけで帰ったのでは

 当時松田先生は演奏家としても、また後進の指導者としてもたいへん評価が高く、先生の東京目黒のマンションには私と同年代(20歳前後)くらいの生徒さんがたくさん来ていました。生徒さんがたくさんいるので、一人あたりのレッスン時間は15分程度だったのではないかと思います(短く感じただけかも知れませんが)。

 私の場合水戸から月に3回、常磐線で通っていましたので、その短い自分のレッスンだけで帰ってしまったのでは割があわない。そこで自分の番が回ってくるまではもちろんですが、自分のレッスンが終わってからもしばらく残り、他の人のレッスンをテキストを見ながら聴いていました。他の人のレッスンを聴いているだけでも、自分がレッスンを受けたような気になれました。いつも3時間くらいは先生のレッスン室にいて、自分のレッスンの前後に他の人のレッスンも聞いていました。



簡単な単旋律でも、細心の注意で表情付け

 実際にレッスンを受けてみると、松田先生のレッスンでは入門者が弾くような、ごく簡単な単旋律でもちゃんと意味合いを考え、出来るだけ表情豊かに弾くということを要求されました。初めてレッスンを受けた時など、全く予想も付かないことばかりの内容で本当に面食らいました。一見何でもなさそうな音形に、音色をコントロールし、間の取り方を変え、強弱を付け、アポヤンド、アルアイレ奏法や、右手のポジションを変えたり。 

 ・・・・・・松田先生のレッスンについてはお話したいことがたくさんありますが、長くなりますのでまた別の機会にいたしましょう。




セゴヴィアは30数枚のLPを残している

 セゴヴィアの残した録音は、かつてのSP盤をLPに復刻したものを含めて、30数枚のLPがあります。最後の録音は1970年代なので、デジタル録音や、最初からCDとして出されたものはありません。今現在私の手元には、それらのうちの約半数、つまり17~8枚ほどあります。それらの中には自分で買ったものではなく、知人などからいただいたものや、よくわからないがいつの間にか私の手元にある、などというものもあります。


ほとんどのものはCDとして復刻されているが

 セゴヴィアが残した録音は、現在ほとんどのもながCDとして復刻されていますが、多くのものは収録時間の関係で曲目などが入れ替えられています。国内盤などでは、演奏されている作品の、時代や作曲者などによって編集し直されていますが、セゴヴィアの全く異なる録音時期のものが同一のCDに入ってしまうのはちょっと違和感があります。


本来はオリジナルの曲順で聴くべきだと思うが

 セゴヴィアのLPの場合、一見統一感のないようなプログラムであっても、やはりセゴヴィアなりのプログラミングあり、一つのLPは、一つのリサイタルのようになっているので、セゴヴィアのCDはやはりオリジナルのLPの曲順で聴くべきでしょう。「作曲家ごとにまとめる」という発想は20世紀末的な考えで、セゴヴィア的とは言えないでしょう。

 一部のLPはオリジナルの曲順、オリジナルのジャケット(縮小した)でCDに復刻されていますが、今後すべてのLPがオリジナルどおりに復刻されるのではないかと期待しています。

 これからそれらのCDを紹介して行くわけですが、次回はセゴヴィアの来日時の話、私が聴いたセゴヴィアのリサイタルのもよう、さらにはセゴヴィアの生い立ちなどについて話してゆこうと思います。



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私が持っているセゴヴィアのCD、全部で30枚ほどある。 セゴヴィアの残した録音のほとんどがカヴァー出来ている思うが、晩年の1970年代の録音がないのが残念。
 
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