中村俊三 ブログ

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禁じられた遊び」はアントニオ・ルビーラ作曲! ~ご存知とは思いますが

 現代ギター誌を購読している方はすでにご存知とは思いますが。今月号(2012年5月号)に映画「禁じられた遊び」のテーマとして有名な曲の原曲が掲載されています。この曲は元々スペインのギタリストのアントニオ・ルビラの「アルペジオ練習曲」であるということは以前から聴いていましたが、実際にその譜面を見るのは初めてです。

 これまで私自身で演奏する際や、教材として配る場合など、この曲を「作者不詳」としてきました。この譜面が出てきたことで、現代ギター誌が語るとおり、今後は晴れて”アントニオ・ルビーラ作曲”としてゆくことが出来ると思います。また今後のCDや譜面の出版の際にもこの作曲者の名前が明記されてゆくのではないかと思います。


1870年頃の作品

 この曲は1930年代くらいに作曲されたと以前に聞いた事があるように思いますが、実際には1870年前後のようです。思ったよりも古い作品のようです。ルビーラは1825年頃スペインのロルカで生まれ、1890年に没しているとのことで、かなりのギターの名手だったようです。



詳しくは現代ギター誌を読んで下さい

 現代ギター誌に載っている譜面を当ブログに載せるのは問題があるかも知れませんので、譜面のほうは従来のものほうを載せました。現代ギター誌をとっていない方は、この際是非購入して、譜面、及び記事を詳しく読んでみてください。予約購読もよいと思います(ちょっと宣伝しすぎかな?)



現代ギター誌掲載の譜面は載せにくいので、この譜面は従来の「禁じられた遊び」

アルペジオの形が違う、曲名は ESTUDIO

ブログ 056

前半、最後から3小節目の低音は「レ#」



2段目の低音はどちらも「シ」

ブログ 057

終わりから4小節目の低音は「シ」



20世紀初頭の南米では有名な曲

 この曲は20世紀始め頃にアルゼンチンなど出版され、当時南米ではかなり有名な曲だったようです。美しいメロディで、しかもあまり難しくなく、愛好者には特に人気があったのでしょう。因みにアルゼンチンでは20世紀初頭の頃とてもギターが盛んで、愛好者の数もたいへん多かったとのことです。



伝言ゲーム?

 おそらくイエペスもこうした流れで、幼少時からこの曲を知っていたのでしょう。もしかしたらちゃんと譜面を読んで弾いたのではなく、”聞き覚え”で弾いていたのかも知れません。おそらくこの曲は、譜面で広まったのではなく”伝言ゲーム”のように耳から耳へと伝わっていったのかも知れません。もっとも私たちが弾いているのもイエペスの演奏の”耳コピー”なのですから、その伝言ゲームに加わっていたわけです。



1913年アルゼンチンで出版

 さてこの現代ギターし掲載されている譜面は1913年にアルゼンチンで出版されたもので、校訂、運指はエルナンデス(詳細は不明)となっているものです。この譜面自体も作曲されてから40年ほど、作曲者が他界してから23年後のもで、ルビーラの書いたもの、そのものではありません。したがって完全に”オリジナル”とは言い切れませんが、今現在では”最も原典に近いもの”といえるでしょう。



メロディに違いはない

 譜面の方を改めてみてみると、もちろん現在演奏、あるは出版されているものと違いはありますが、「意外と違いは少ない」というのが実感です。特にメロディに関しては私たちが知っているものと全く違いはありません。

 まず違うのがタイトルですが(これは当然だが)、シンプルに”ESUDIO”つまり練習曲となっています。作曲者は”ROBIRA”となっていますが、これは”RUBIRA”の間違い。



一番の違いはアルペジオの順

 一番の違いはアルペジオの順で 、私たちが知っているものは①②③の順で弾きますが、この譜面では①③②と、③弦のほうが先になっています。どちらでも聴いた感じはあまり違いがなく、そのせいで”伝言ゲーム”をやっているうちに順番が入れ替わってしまたのでしょう。ただ、この順(①③②)のほうがメロディとのバランスなどはとりやすいように感じます。


数箇所低音が違う

 前半の終わりから3小節目の低音は「シ」ではなく「レ#」となっていますが、これはこの和音の中に導音、つまり「レ#」がなくなってしまったので補ったのでしょう。またこの方が低音の流れもよくなります。

 後半のほうでは3,4小節目の低音が「ファ#」ではなく「シ」になっています。前からこの「ファ#」は疑問で、普通に考えると、当然「シ」であるべきところなのですが、イエペスが「ファ#」で弾いており、現在の大多数の出版譜もそうなってます。

 そういった事情でちょっと疑問を感じながらも、これまで「ファ#」で弾いてきましたが、これから”大手を振って”「シ」で弾くことが出来ます。


納得!

 終わりから4小節目は、これまで譜面によってB7のコードになっていたり、Eメジャーになっていたりしていましたが、コードはEで低音はB、つまりE/Bがベストなのではと思ってきました。この譜面ではやはりその
 E/Bとなっており、納得です。ただし左手は若干難しくなり、初、中級者では次善の策として従来どおりの低音を「ミ」にした普通のEコードでもよいでしょう。

 後半には繰り返し記号がなく、ダ・カーポもありません。しかしこの通りに弾くと1分そこそこで終わってしまうので、せっかくの名曲が”もったいない”ので、実際に弾く時にはこれまでどおりの繰り返しでよいのではないかと思います。


やはりルビーラは優れた音楽家 

 この譜面全体を見ると、これまで疑問だった点も解消され、音楽的にもかなりしっかりと出来ており、ルビーラが優れたギタリストであることが想像出来ます。おそらく今後は国内外でもこの譜面に准じた演奏がなされるようになりでしょう。また当然ルビーラは他にも作品を書いているはずなので、そうした譜面も世に出される日もくるのではないかと思います。


今後はどういった曲名で

 ところで、今後この曲を弾くときに、どういった曲名で弾くのがよいのかということになりますが、正式にはアントニオ・ルビーラ作曲「エチュード」、または「練習曲ホ短調」といった感じになるでしょうか。しかし「禁じられた遊び」と言う曲名の浸透力は”ハンパ”ではないですから、その名も捨てるわけにはいかないでしょうね、「たかが曲名、されど曲名」でしょうか。


ホントかな?

 最後に現代ギター誌の記事の最後にこの曲の真の作曲者、アントニオ・ルビーラに対して、これまで真の作曲家としてこなかった点や、優れたギタリストとして認識していなかった点などを詫びる「詫び状」が載っています。「金一封を添えて」とも書いてありますが、本当かな?
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