中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

セゴヴィアの生い立ちの復習

 このところいろいろあってこのシリーズも中断が長くなってしまいました。前回は「セゴヴィアの生い立ち」についてでしたが、ここでちょっと復習しておきましょう。



セゴヴィアが育った環境

 手元にあるいくつかの資料によると、3歳頃から叔父夫婦に育てられるなど、セゴヴィアの幼少時代は少々”わけあり”といった感じです。その叔父夫婦の暮らしは、豊かではなかったにせよ、経済的には平均的だったようです。

 叔父夫婦はセゴヴィアがギターを弾くことには反対だったようですが、セゴヴィアがギタリストとして独り立ち出来るようになるまで、少なくとも経済的には援助していたのではないかと思います。若い頃のセゴヴィアがアルバイト的なことをしていたといったことは語っていません。



音楽家としては恵まれた環境とはいえない

 しかし芸術家の家に育ったリョベットなどに比べれば、音楽的な環境、あるいは芸術的な環境としては決して恵まれていたとは言えなかったようです。幼少時からギターを弾いていたといっても、物乞いなどから習ったフラメンコ・ギターで、10才くらいになるまではクラシック音楽、あるいはクラシック・ギターとは無縁だったようです。

 幼少時にソルフェージュを習ったことが書かれていますが、すぐにやめてしまったようです。少なくとも10才くらいまでは耳で聞いたり、目で見たりしてギターを覚えたのでしょう。その頃まで楽譜は読めなかった(読まなかった)ようで、10才頃タレガの「アラビア風奇想曲」の楽譜を読むのに苦労した話が語られています。

 セゴヴィアは10才の時に小学校に入学したという記述はありますが、卒業したという記述はありません。音楽学校等で音楽を学んでいないのは確かなようですが、ギターや音楽だけでなく、一般教養などに関しても、多くのことは学校でなく、独学で学んだようです。終生かなりの読書家だったようです。



その恵まれない環境が人一倍の向上心を生んだ

 これらの音楽家としてはあまり恵まれたとはいえない環境が、その後のセゴヴィアに大きな影響を与えているのは確かでしょう。セゴヴィアがギタリストとしてやってゆこうと思った時に、そうした基礎教育や音楽知識の不足を大いに感じたかも知れません。しかしそれらの、一種のコプレックスと言ったものが、逆に人一倍の勉学意欲や向上心を生んだのでしょう。



独学でも高度な音楽技術、知識を身に付けていた

 確かにギターの演奏技術だけなら、優れた素質があれば独学でもある程度は習得できるとは思いますが、和声法や、作曲法、音楽史などといった音楽理論に関しては難しい点もあると思います。しかしセゴヴィアの編曲作品や、オリジナル作品を見れば、そうした作曲法、和声法などを完璧に身に付けていたことがわかります。

 またセゴヴィアが編曲した作品の幅広さをみると、音楽一般に関してもたいへん広く、また深い知識をもっていたことが裏づけされます。



タレガとは違い

 タレガの場合は、海外に出て活躍したり、大きなコンサート会場で多くの聴衆を前にして演奏したりといったことはあまり好まず、自宅でタバコをくわえながら、弟子や友人といった身近な人たちの前で演奏することを好んだようです。名誉やお金よりも自らの周囲の人たちを大事にするといった性格のようでした。

 そういった点ではセゴヴィアは、最初から大きなコンサート・ホールで、大勢の聴衆を前で演奏することや、ギタリストとして世界的な名声を得ることを志向していたようにも思えます。若い頃のセゴヴィアには強い上昇志向同時に、強い自意識も感じ取れます。



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先輩ギタリストたちにも一歩も臆することなく

 前回も掲載したリョベット、プジョール、フォルティアと一緒に撮った写真ですが、この写真を見ると(セゴヴィアは左上の白っぽいジャケット。22才頃)、すでに名声を確立したタレガ派の先輩ギタリストたちに対しても、一歩も臆することなく、対等の立場を主張しているようにも見えます。さらにセゴヴィアはもっと先を見ていたかも知れません。

 いずれにしても若い頃のセゴヴィアはヴァイタリテー溢れる青年だったのでしょう(今どきの言葉で言えば肉食系?)。もっともそれは年齢を重ねても変らなかったようです。




やっとCDの話

 またまた前置きが長くなってしまいましたが、CDの話に進みましょう。セゴヴィアの残した録音を大別すると、以下の5種類に分かれると思います。


①1927年~1940年代半ばまでのSP録音

②1940年代末~1950年代までのLPモノラル録音

③1960年代のステレオ録音

④1970年代のステレオ録音

⑤ライブ録音




ドキュメンツの10枚組

 ①の「SP録音」に関してはいろいろなところからCDとして出されていますが、その一つとして以前「格安CD」で紹介した「ドキュメンツ」というレーヴェルから10枚組で出されているものがあります。

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ドキュメンツから出ている「10枚組シリーズ」のもの、ただしセゴヴィアに関しては「8枚組」。HMVでは1100円くらいで買えたが、今は在庫がないようだ。

 
 この「10枚」の内、5枚が①に属する1927年~1949年のSP録音もので、3枚が⑤に属する二つのコンサート・ライヴ(アスコーナ、ロカルノ)です。残り2枚はセゴヴィアとはあまり関係のないギター四重奏となっています(スペイン・アート・ギターカルテット、枚数あわせ?)。

 この10枚組は以前HMVで1100円ほどで買えたのですが、今現在は入手出来なくなっているようです。ただしGGショップでは3990円でリスト・アップされています。




EMIレコーディングス

 現在入手しやすいものでは、下の、「アンドレス・セゴヴィア EMIレコーディングス」として3枚組(HMV価格838円)のもがあります。

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「アンドレス・セゴヴィア EMIレコーディングス」 SP時代の録音 3枚組  

 3枚組で、SP録音(1927~1949年)のみですが、SP録音に関しては、曲数はこちらの方が若干多く、ポンセの「スペインのフォリアによる変奏曲」など上記の10枚組には収録されていないものも入っています。おそらくセゴヴィアのSP録音のほぼすべてが収録されていると思われます。比較的最近発売されたもので、今現在セゴヴィアのSP時代の録音の復刻CDとしてはお薦めでしょう。
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