中村俊三 ブログ

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 昨日(5月4日)、石岡市ギター文化館で第7回シニア・ギター・コンクールが行われ、審査員を務めました。結果は以下のとおりです。

<シニアの部(55才以上) >  予選課題曲 アンダンティーノOp.31-5(ソル)
                     本選  10分以内 自由曲



第1位 熊坂勝行   森に夢見る(バリオス)
第2位 鈴木幸男   アンダンテOp.39(コスト)、エル・ビート(スペイン民謡)
第3位 小林弘之   前奏曲第1番(ヴィラ・ロボス)、ドビュッシー賛歌(ファリャ)
第4位 鹿野誠一   「もしも私が羊歯だったら」による変奏曲(ソル)
第5位 杉澤百樹   アストゥリアス(アルベニス)
第6位 荻島樹夫   愛の歌(メルツ)
第7位 成田恵理子  ワルツ二長調(コスト)、練習曲ホ長調Op.31-23
 

*本選審査員は 浜田滋郎 小原聖子 藤井敬吾 北口功 宮下祥子 角圭司 中村俊三 



 予選には事前にエントリーした20人の方が、誰も棄権することなく出場しました。予選課題曲は出場者にとってはそれほど難しくない曲だったと思いますが、それだけに曲の理解度が重要になるのではと思います。またテンポも「アンダンティーノ」ということで、速くもなく、遅くもないといったテンポが要求され、意外と難しいところだと思います。「アンダンティ-ノ」にしては速めのテンポをとる人が多かったように思います。




 本選の方ではバリオスの名曲を、たいへん美しく弾いた熊坂さんが1位となりました。冒頭の部分のメロディや和声も申し分なく、たいへん美しいトレモロで、また低音部も、もう一つのメロディとしてよく歌っていました。中間の速い部分では若干不明瞭なところもありましたが、この曲も持ち味を充分に出しきれたところが栄冠につながったのではと思います。


 第2位になった鈴木さんの演奏もたいへんすばらしく、かなり難しい曲にもかかわらず、美しい音で細部までしっかりと弾きこなしていたと思います。聴衆の反応もたいへんよく、どちら(熊坂さんと)が1位になってもおかしくないところだったと思います(個人的にもたいへん迷いました)。曲の持ち味を出し切ったと言う点で、結果的に熊坂さんに一歩譲ることになったのでしょう。この曲の持つエレガンスさなど、さらに引き出せたらまた違った結果になったのでは。


 3位の小林さんはヴィラ・ロボスの「前奏曲」とファリャの「ドビュッシー賛歌」をほぼノー・ミスで弾きました。音もたいへんしっかりとしていたのですが、チューニングのせいか、あるいは押弦の関係か、音程が不安定だったのが少し残念でした。また「譜読み」をもっと深くすれば、さらによい演奏になるのではと思います。


 第4位の鹿野さんは、昨年、チューニングの狂いから1位を逃してしまった感がありましたが、今回は完璧なチューニングで演奏しました。音色や和音のバランスも良かったのですが、若干譜忘れ気味になってしまったのと、音がややこもり気味になってしまったのが惜しまれます。


 5位の杉澤さんは昨年に引き続いての「アストゥリアス」です。昨年からすると和音(無窮動の部分の)などはたいへんよく出ていたのですが、主旋律の低音が小さくなりすぎていたようにも思います。「無窮動」が本当に「無窮動」になればさらによくなるのでしょう。


 第6位の荻島さんはメルツの「愛の歌」を、美しい音で、また和音もバランスにも配慮が感じられましたが、やはりチューニングにほんの少し問題があったのが惜しまれます。メロディが「メロディ・ライン」として聴こえてくるようになればさらによいのではと思います。


 7位の成田さんはコストとソルの曲をたいへん丁寧に演奏していて、好感が持てますが、ソルのエチュードはかなり遅い印象を受けました。おそらく4分音符を1拍として数えているのではと思いますが、やはり楽譜に指示されているとおり2分音符を1拍として拍子をとるべきなのでしょう。


<ミドル・エイジ>  35才以上 予選課題曲 アメリアの遺言(カタルーニャ民謡~リョベット編)

第1位 佐々木みこと   モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲(ソル)
第2位 山本 孔彦    「おお空よ静かに」による変奏曲Op.101(ジュリアーニ)
第3位 坂本  亮    スペイン・セレナーデ(マラッツ)、タンゴ(アルベニス)
第4位 三谷 光恵    スペイン舞曲第5番(グラナドス)
第5位 松田 利枝    水神の踊り(フェレール)
第6位 増田 康隆    サラバンド、ジグ(組曲イ短調より~ポンセ)



 予選には11名の方々が出場しました(これも予定通り)。課題曲はシニアの部に比べれば少し難しいですが、たいへん有名な曲で、多くの出場者の方も普段から弾いている曲ではないかと思います。なんと言っても「歌」ですから、その歌わせ方、さらに変化のある和音、ギターらしい音色、ハーモニックスなどが審査のポイントになるのでしょう。譜面に書かれている指示も重要でしょう。

 


 第1位となった佐々木さんは3年ほど前にも同じ曲を弾いたと思いますが(その時第2位)、今回は堂々とした、またたいへん充実した音で第1位を獲得しました。この曲への強い思い入れと、自分らしさを充分に出し切ったのが、この1位獲得につながったと思います。個人的にはフレーズ内での強弱関係(例えばフレーズの冒頭の部分だけが大きいなど)が少し気になりました。


 第2位の山本さんはジュリアーニの難曲を美しい音で、よく弾きこなしたと思います。和音のバランスなどもたいへんよく、美しく響いていたと思います。ジュリアーニらしい華やかさが加わればさらによかったかなと思います。佐々木さんとは僅差でした。


 第3位の坂本さんはマラッツの「スペイン・セレナーデ」を軽快なリズムで演奏し、好感をよびました。リズムも歌わせ方もなかなか良かったのですが、さらに上位になるには、何かもう少し強く訴えかけるものが必要なのかも知れません。意外と難しいアルベニスの「タンゴ」もたいへん美しく弾いたのですが、タンゴ(アンダンティーノ)にしてはちょっとゆっくりだったかな?


 第4位の三谷さんのグラナドスの「スペイン舞曲第5番」は、ギターらしい響きで、スペイン音楽らしい雰囲気も漂っていて、好感が持てました。舞曲らしいリズムをもっと意識すればさらに良かったのではと思います。


 第5位の松田さんの「水神の踊り」は強弱のコントラストがはっきり付いた演奏で、長調になってからの部分も「踊り」らしくたいへん軽快でした。さらに明暗のコントラストや、「妖精」らしいほんのりとした色気なども付けばと思います。


 第6位の増田さんはポンセのイ短調組曲の中から2曲を、たいへん美しい音と、バランスのとれた和音で弾き、本来はもっと上位、あるいは3位以内でもおかしくない演奏だったと思います。「サラバンド」ではスラー奏法による細かい音がもう少しクリヤーに出れば、また「ジグ」では、この曲の持つ躍動感といったものがもっと出せればよかったかなと思います。



 ・・・・・いつものことではありますが。この結果がそれぞれの出場者の実力を必ずしも反映したものではないことは言うまでもありません。ちょっとした条件が異なれば(その日の天気が変れば?)これらの順番など簡単に入れ替わってしまうものです。本来は音楽などというのに順位が付けられるものではありませんが、これも一つの「ゲーム」と思って楽しんでいただければよいのでしょう。  ・・・・・ギターの上達といった点でも、たいへん効果が高いと思います。
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