中村俊三 ブログ

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1946年12月 ニューヨーク録音

<バッハの作品>
 プレリュードBWV999
 クーラント(無伴奏チェロ組曲第3番)
 サラバンド(リュート組曲第1番)
 ブーレ(リュート組曲第1番)
 ガヴォット(無伴奏チェロ組曲第6番)
 フーガ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番)
 シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番)
 ガヴォット(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番)
 


ブログ 065



 以上の曲はすべてバッハの曲で、曲数からいってもちょうどLP一枚に収まりそうな数なので、LPを想定して録音されたのではとも思えますが、1944年のものと同様に当初はSP盤として発売されたようです。LPとして発売されたのは1960年代になってからのようで、私自身でもこのLPは持っていました。

 そのLPで聴いていた時には音質がかなり悪く感じましたが、このナクソスのCDで聴く限りではそれなりに聴ける録音といった印象です。ただしノイズの多いものから、ノイズがほとんどないものまで、曲によっていろいろで、確かに個々のSP盤からの復刻されたことを裏付けているようです。

 なお、ドキュメント盤(10組)では例のごとくピッチがばらばらなのですが、ナクソス盤ではどの曲のほぼ同じピッチになっていて、そうした点では評価できるでしょう。 


シャコンヌ初録音

 このバッハの録音集では、やはり「シャコンヌ」が目を引きます。セゴヴィアは1935年にパリでこのシャコンヌのギター初演を行いましたが、このシャコンヌの演奏でギター界のみでなく、音楽界全体から高い評価受け、世界のトップ・ギタリストの地位を確定させます。

 セゴヴィアは1955年にもこの曲を録音しますが、この49年盤のほうが演奏時間は1分半ほど速くなっています。全体の落ち着いた感じとか音質では1955年盤に分がありますが、勢いやスリリングさはこちらの方があるでしょう。

 出だしはかなり押さえ気味といった感じですが、速いところはより速くといった感じで、アルペジオに向って大きな盛り上がりを見せます。音価については例によってデフォルメがかなりあり、特に付点音符は正確な長さで演奏されることはほとんどありません。

 ドキュメント盤に比べると、このナクソス盤ではかなりノイズが入っていますが、音全体としては、やはりこちらの方がよいでしょう。ドキュメント盤ではノイズと一緒に本体も若干削られてしまっているようです。



リュート組曲第1番のサラバンド、ブーレは原調

 前に録音した、リュート組曲第1番の「アルマンド」はイ短調に移調されて録音していましたが、この「サラバンド」と「ブーレ」は原調どおりホ短調となっています。少なくともこの曲に関して、セゴヴィアは全曲通して演奏する意志はなかったようです。

 「サラバンド」は和音の音の数を多くしたり、低音弦のハイポジションを使うなどして静かな曲というより、迫力のある曲に仕上げています。「ブーレ」の方は比較的軽めに演奏していますが、最後の音(ミ)をフォルテでヴィヴラートをかけているのが特徴的です。
 
 残りの曲のうち「ガヴォット」(チェロ組曲第6番)を除いては再録となりますが、演奏そのものとしては、この1946年盤のほうが勢いを感じます。




1949年6~7月 ロンドン

クレスポ : ノルティーニャ
ポンセ : アレグロ(ソナタ・クラシカより)
ヴィラ・ロボス : 練習曲第1番、第8番
モレーノ・トロバ : アラーダ、ファンダンギーリョ
トゥリーナ : ファンダンギーリョ
テデスコ : タランテラ
ポンセ : 南のソナチネ(全3楽章)
テデスコ : ギター協奏曲二長調(全3楽章) 




アランフェス協奏曲とほぼ同じ時期に

 1949年というと、そろそろLPが登場する頃なのですが、これらの録音もSP盤として発売されました。LP盤として市販されたのはおそらく1970年代だろうと思います。これらの曲で注目はやはり、テデスコの協奏曲でしょう。

 ギター協奏曲として最も有名な「アランフェス協奏曲」の初演は1940年で、ソリストはレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサでした。初の録音もこのギタリストによるもので、時期的にもこのセゴヴィアのテデスコの協奏曲の録音と前後した時期だったと思います。

 奇しくも、セゴヴィア=テデスコ VS デ・ラ・マーサ=ロドリーゴ ということになったわけですが、勝負の行方は皆さんのご存知のとおりです(音楽は勝ち負けではないが)。セゴヴィアがアランフェス協奏曲を弾かないのは有名な話で、その理由も皆さんご存知のとおりと思います。

 そういった訳で、人気、知名度ではアランフェス協奏曲に一歩譲ることになりますが、このテデスコの協奏曲もなかなか優れた曲で、魅力的な曲です。間違いなくギター協奏曲のNO.2候補の一つでしょう。セゴヴィアは他にポンセ、ロドリーゴの「ある貴神のための幻想曲」、ボッケリーニ(カサド編)を録音しています。



ポンセの「南のソナチネ」の唯一の全曲録音

 ポンセの「南のソナチネ」を全曲録音していますが、これまでセゴヴィアがソナタや組曲を全曲録音するのはあまりなく(ポンセの「イ短調組曲」以来)、珍しいことと言えます。またセゴヴィアはリサイタルでもよくこの曲を取り上げているようですが、ほとんどの場合第2楽章を「ソナタ第3番」のものと入れ替えて演奏しています(私が聴いた時もその形)。

 したがって、この録音はセゴヴィアがこの曲をオリジナルの形で演奏したものとして、貴重なものと言えるでしょう。全体に速めのテンポで活き活きと演奏していて名演と言えると思いますが、スラーやフレーズの頭に強いアクセントを置くのは他の曲と同じで、また音価のデフォルメもかなり多いのも同じです。



タランテラもなかなかよい

 テデスコの「タランテラ」はその後録音していないので、貴重な録音といえます。活気ある演奏で、爽快感があります。この曲は1955年のエジンバラでのライヴでも演奏していますから、この時期にはよく演奏していた曲なのでしょう。

 以上の曲は比較的音質もよいのですが、他のヴィラ・ロボスやトゥリーナ、トロバなどの曲は音質が明らかに落ちます。SPの保存状態などによるものなのでしょうか。
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