中村俊三 ブログ

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アンドレス・セゴヴィア・プログラム

ルイス・ミラン : パヴァーナⅢ
G.F.ヘンデル : サラバンド、 メヌエット
C.W.グルック : 精霊の踊り
J.S.バッハ : シシリアーナ、 ブーレ
F.ソル : メヌエット
F.ショパン : 前奏曲第7番
R.シューマン : ロマンサ
M.ポンセ : アンダンティーノ・ヴァリエイト(パガニーニの大ソナタより)
J.ブラームス : ワルツ
F.モレーノ・トロバ : マドロニョス
H.ヴィラ・ロボス : 前奏曲第1番


ブログ 068
1952年録音 「アンドレス・セゴヴィア・プログラム」 復刻ジャケット


同時期に録音したものを3枚のLPに振り分け

 前に紹介した2枚のLP「アンドレス・セゴヴィア・リサイタル」、「アンドレス・セゴヴィア・コンサート」と同じ時期(1952年)の録音で、その時録音した曲をこれらの3枚のLPにして発売したものと思います。曲の振り分けや、曲順にセゴヴィアの意思がどのくらい反映されたものなのか、などはわかりませんが、「リサイタル」、「コンサート」、「プログラム」とタイトルが示すとおり、それぞれが一つのリサイタルのようになっていて、まさにセゴヴィア的なLPと言えます。


3枚ともビウエラの作品が1曲目

 3枚のLPとも1曲目はビウエラの作品となっていますが、このLPではミランの「6つのパヴァーナ」の第3番となっています。6つのパヴァーナのうち、この6番が比較的よく演奏されるようになったのは、このLPの影響でしょうか。


ヘンデルの作品は最も有名なサラバンド、 ド・ヴィゼーのサラバンドとも同じ旋律

 このLPにもヘンデルの曲が収められていますが、「サラバンド」は「ハープシコード組曲第11番」に含まれる曲で、ギターでもよく演奏される曲です。主題は有名な「スペインのフォリア」からとられていて、前回紹介したド・ヴィゼーの「組曲二短調」のサラバンドとも同じ旋律です。

 ヘンデルの作品にはその主題に2つの変奏が付け加えられていますが、音域的にもちょうどギターに収まる範囲なので、原曲をほとんどそのまま弾くことが出来ます。セゴヴィアもほぼ原曲どおりに弾いていますが、第2変奏の終結部で、ほんの少し変更しています(重箱の隅?)。

 「メヌエット」は前回のLP同様「エイルズフォードの8つの小品」からのもので、二長調に編曲されたものですが、バッハの作品よりも親しみやすい感じがします。


フルートの名曲

 グルックのオペラ「「オルフェウスとエウリディーチェ」からの「精霊の踊り」はフルートの名曲として親しまれている曲ですが、おそらくセゴヴィア自身の編曲なのでしょう。中間部は省略され、前半部分のみとなっています。


最近はあまり単独では演奏されないが

 この年に録音された3枚のLPにはそれぞれ2曲ずつバッハの曲が収められていますが、このLPでは無伴奏ソナタ第1番の「シシリアーナ」とリュート組曲第1番の「ブーレ」が割り当てられています。

 最近ではこのバッハの無伴奏Vnソナタなどをギターで演奏する場合は、全曲演奏が当たり前になっていて、こうした曲を聴くには相応気構えが必要になるところですが、この「シシリアーナ」の演奏はとてもリラックスして聴けます。こういう味わい方もあるのではと思いますが、ただしバッハにしてはかなりロマンテックな演奏です。

 以前(1949年)にはサラバンドと組み合わされて収録されたリュート組曲第1番の「ブーレ」は、今回は単独ということです。ゆっくりと歌う感じの「シシリアーナ」を”シメ”る位置づけと思いますが、ちょっと軽すぎるかな。


大ソナタハ長調の終楽章

 ソルの作品はこれまでの2枚のLPでは「ソナタハ長調第1楽章」、「魔笛の主題による変奏曲」と比較的大曲となっていましたが、今回のLPでは「ソナタハ長調作品25」の第4楽章「メヌエット」と、ちょっと軽いものになっています。


ショパン、シューマン、ブラームス

 またこのLPでは、前のLPには入っていなかったシューマンやショパンなどのロマン派の作品の編曲が収録されているのが特徴でしょう。ショパンの「前奏曲第7番」はタレガ編を基本にしていると思いますが、グリサンドなどはほとんど省いています。また例のごとく付点音符はほとんど通常の8分音符と同じように演奏しています(セゴヴィアは付点音符が嫌い?)。

 シューマンの「ロマンサ」はOp.79-4となっているのですが、原曲についてはよくわかりません。シューマンのピアノ曲は、ほぼ全曲CDを持っているはずなのですが、この作品番号にあたる曲は見当たりません(ピアノ曲でないのかも)。セゴヴィアの演奏を聴いた感じではギター・オリジナル作品のように聴こえます。

 ブラームスの「ワルツ」は連弾用の曲(作品39)で、セゴビア自身のアレンジです。かつてショット社から楽譜も出ていました。


パガニーニの曲というよりはポンセの曲

 パガニーニの「アンダンテ・ヴァリエイト」は、「ギターとヴァイオリンのための大ソナタイ長調」の第3楽章をポンセが編曲したもので、第2楽章の「ロマンス」のほうは1944年と1954年に録音しています。内容的にはパガニーニのテーマを基にポンセが変奏曲を作ったと言った感じで、パガニーニの曲というよりポンセの作品となっています。しかしこのLPの曲順からすると、この曲をロマン派の作品と位置づけているようです。


トロバの人気曲を活き活きと演奏

 モレーノ・トロバの「マドローニョス」はトロバの作品のうちでも人気の高い曲ですが、こうした曲になるとセゴヴィアの演奏はより活き活きとしてきます。


ヴィラ・ロボスの前奏曲は、低音をたっぷりと歌わせている

 このLPの最後はヴィラ・ロボスの「前奏曲第1番」となっています。言うまでもなくヴィラ・ロボスのギター曲の中でもひときわ人気の高い曲で、そうしたことにもこの録音は一役買っているでしょう。

 セゴヴィアの演奏は、低音を情緒豊かに歌わせている一方で、例のごとく音価はあまり正確にとってはいません。もっともヴィラ・ロボス自身でも同じような演奏をしていましたから(ヴィラ・ロボス自身の録音が残されている。ただし最後のほうは”時間切れ”となっている)、そうしたことはこの時代、つまり20世紀前半から中頃の演奏習慣と言えるかもしれません。

 因みにセゴヴィアはヴィラ・ロボスの「5つの前奏曲」の中からは、この「第1番」と「第3番」を録音しています(1954年)。

 

 


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