中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

 今日(8月5日)ひたちなか市アコラで熊谷俊之さんのミニ・コンサートを聴きました。熊谷さんの演奏に先立ち、「ギター名曲を弾く会」と題して愛好者約20名による自由演奏が行われ、私もちょっと演奏しました(9月15日のアンサンブル演奏会の告知として)。


演奏曲目

J.ダウランド : ジョン・スミスのアルマンド、 蛙のガイヤルド
A.ピアソラ : 5つの小品
W.ウォルトン : 5つのバガテル

 *アンコール曲 J.マラッツ : スペイン・セレナード



 熊谷さんは現在ウィーン音楽大学在籍中で、東京国際ギター・コンクール第2位という経歴もあります。今年28歳だそうで、最近では各方面から高い評価を受け、才能豊かな新進ギタリストの一人と言えるでしょう。



やはり美しい音を持っている

 最近の若いギタリストたちは、皆それぞれ美しい音を持っているということは、このブログでも再三言っていますが、そうした中にあってもやはり熊谷さんの音は美しいと言ってよいでしょう。明るい音ですが、同時に”甘さ”も感じます。

 また低高音のバランス、特に低音の流れには十分に配慮が行き届いているなどと言うのも、あえて言うべきことでもないでしょうが、アーティキュレーションにかなり気を配っているようにも感じます。それぞれの音はそれぞれのあるべき長さに区切られたり、伸ばされたりしています。

 その結果、ダウランドの曲はたいへん美しく、また快適に聴こえてきます。ピアソラの「5つの小品」は、ウォルトンの「5つのバガテル」の影響のもとに作曲された曲ということで、両者を続けて演奏したと言うことだそうです。このピアソラの作品は、アクセントや音色の変化、曲による速度の対比などを特に強調、あるいはデフォルメすることなく、美しく、気品ある音楽に仕上げている感じでした。



その音楽のあるべき姿

 一方、ウォルトンの曲では表現がよりクリヤーに、また鮮烈になっているように感じました。やはり作品の違いなのでしょうか。熊谷さんの演奏は、ここでもアーティキュレーションがしっかりしていることに耳を奪われます。その結果、その音楽の”あるべき姿”が浮き上がってくるように感じます。

 勝手な想像ではありますが、熊谷さんの音楽への取り組みとしては、それぞれの作品を自らの手元に引き寄せるのではなく、その作品が本来どうあるべきなのか、ということで、自らがその作品に近づいて行く、といった姿勢なのではないかと思います。もっともこれも最近のギタリストの多くはそういった傾向を持っているといえるでしょう。このところセゴヴィアのCDなどをよく聴いているので、かつての巨匠たちとの違いがはっきりと感じとれます。
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