中村俊三 ブログ

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アンドレス・セゴヴィアの偉大な芸術 1955年8月録音

作者不詳 : リュートのための6つの小品
ポンセ : ソナタ第3番、 ワルツ、 マズルカ
バッハ : フーガ(無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番BWV1001)
テデスコ : セゴヴィアの名によるトナデーリャ
クレスポ : アギーレ賛歌~ノルティーニャ
ラウロ : ヴェネズエラ風ワルツ第3番
カサド : サルダーナ 



一部の曲は手元にない

 今回の3枚のLPは私自身では持ってなく、過去にはあまり聴いていません。また曲のほうも今現在のCDコレクションからもれてしまっているものも多く、従って、あまり詳しくレポート出来ないので、曲目リスト+αくらいに簡潔に紹介します。


キレソッティ編

 「リュートのための6つの小品」はキレソッティというイタリアの音楽研究家がリュート用のタブラチュアから現代の五線譜に直したもので、もともと別々の曲の組み合わせです。現在でも多くの愛好者やギタリストに演奏されています。この版はハーモニックス奏法を使用するなど、”現代的”なアレンジになっていて、おそらくセゴヴィアの手も入っていると思われます。


ソナタ第3番の第2楽章はセゴヴィア好み

 ポンセの作品をセゴヴィアは多数録音していて、これらの曲もほぼ再録ですが、「ソナタ第3番」全曲としては唯一のものです。このソナタの第2楽章はセゴヴィアの好みの作品のようで、「南のソナチネ」では本来の第2楽章の換わりにこの曲を演奏しています。やはりポンセの作品にはセゴヴィアの演奏がよく似合います。


バッハの「フーガ」は2度目

 バッハの「フーガ」は2度目の録音ですが、使用している譜面などは1928年、1946年のものと同じく、リュート版ではなく、セゴヴィア自身によるヴァイオリン譜からの編曲です。残念ながら3度目となる録音のこの音源は今現在手元にありませんが、セゴヴィアはリサイタルなどでもこの曲をよく取り上げています。


SEGOVIAの綴りをもとに

 「セゴヴィアの名によるトナディーリャ」はセゴヴィアの綴りを音に直した音列をもとに作曲した曲と思います(A-D-E・・・・・)。「トナディーリャ」はスペイン風小謡とい言った意味です。ゴメス・クレスポの「ノルティーニャ」をセゴヴィアは3度録音していて、この曲も愛奏曲の一つといってよいでしょう。


ラウロとカサドの作品

 ラウロの「ヴェネズエラ風ワルツ第3番」は人気のギター曲の一つですが、セゴヴィアはこの曲を軽快に演奏しています。セゴヴィアはラウロの曲をこの曲のみ録音しています。

 ガスパル・カサドは有名なチェリストですが、セゴヴィアとは親しかったのでしょう。セゴヴィアはこの曲以外にカサドの編曲したボッケリーニの協奏曲も録音しています。この演奏も残念ながら聴いたことがありません。


やや残響が目に(耳に)つく

 なお録音としてはモノラル録音の最後の時期のものとなり、比較的よい録音とは言えるのですが、復刻CDで聴く限りはやや機械的な残響を感じ、前の年(1954年)のものほうがすっきりして好感は持てます。



アンドレス・セゴヴィア ギター五重奏曲 1955年8月録音

テデスコ : ギター五重奏曲作品143
ハウク : アルバ~伝説、 後奏曲
リョベット : エル・メストレ
スクリャービン : 前奏曲
ヴィラ・ロボス : 練習曲第8番、第1番



ギター+弦楽四重奏曲 全4楽章

 テデスコの「ギター五重奏曲」は、比較的珍しいギターと弦楽による五重奏曲で、4つの楽章で出来ています。ギター・パートはラスゲヤードで始まりますが、明るく溌剌としたパッセージとメロディを歌わせる部分という形で、はやりテデスコの「ギター協奏曲第1番」に感じが似ています。なかなか面白い曲だと思いますが、演奏される機会はあまり多くはないようです。

 ハンス・ハウクは20世紀のスイスの作曲家だそうですが、テデスコに比べると現代的な和声の曲です。


マイルドなリョベット

 リョベットが亡くなってからこの録音時で30年ほど経っています。セゴヴィアの演奏からもリョベットの影響が若干薄れつつありますが、よく聴くとやはりリョベットの影響は感じられます。リョベットの演奏に比べればかなりマイルドにはなっていますが、曲想などはほぼ同じといってよいでしょう。


スクリャービン、 ヴィラ・ロボス

 珍しいスクリャービンの曲の編曲は残念ながら聴いたことがありません。ヴィラ・ロボスの二つのエチュード(8番、1番)は1949年に引き続き2度目となりますが、この録音も聴いたことがありません。



セゴヴィアとギター  1957年8月録音

ナルバエス : 「牛の番をせよ」によるディファレンシャス、 皇帝の歌
ダウランド : 歌とガリヤルド 
A.スカルラッティ : アンプロランブロとガヴォット
D.スカルラッティ : ソナタホ短調L352
エスプラ : 二つのレパンティーナ
マネン : ファンタジア・ソナタ



この年からステレオ録音

 この年(1957年)セゴヴィアの録音も、モノラルからステレオに代わります。音の拡がりなどは感じるようになりましたが、前回のLP同様、人工的な残響が感じられます。

 
ナルバエス(ビウェラ)、 ダウランド(リュート)

 「牛の番をせよ」は16世紀のビウェラの曲ですが、同じテーマの二つディファレンシャスの変奏をセゴヴィアが組み合わせて演奏しています。なおディファレンシャスとは定旋律をもとにした変奏曲です。ダウランドの曲は聴いたことがありません。


アレクサンドロ・スカルラッティ?

 A.スカルラッティの「アンプロランブロ(前奏曲)とガヴォット」は実際はマヌエル・ポンセの作品ですが、セゴヴィアはこの曲を、オペラなどの作品で知られるバロック時代のイタリアの作曲家、アレクサンドロ・スカルラッティの作品として発表しました。

 ポンセは後に、この2曲に加え、アルマンド、サラバンド、ジグを作曲して5曲からなる「組曲二長調」を完成しています。なお現代の出版譜ではポンセ作となっています。

 ポンセには他に”ヴァイス作”とした「イ短調組曲」もあり、この「二長調組曲」とあわせての二つの”偽バロック組曲”があります。この「二長調組曲」の方は「イ短調組曲」ほど演奏されませんが、なかなかよい曲です。


こちらは本物

 D.スカルラッティの「ソナタホ短調L352」のほうは偽作でなく、イタリア出身でスペインで活動したドメニコ・スカルラッティの真作(原曲はハ短調)で、セゴヴィアの編曲です。1944年にも録音していました。なおアレキサンドル・スカルラッティはドメニコ・スカルラッティの父親で、このドメニコはイタリア生まれですが、後にスペインに渡り、その地で音楽活動をしました。数百曲におよぶ鍵盤用のソナタの作曲で知られています。 


イエペスも演奏しているレヴァイティーナ

 「レヴァンテ」とは、①スペイン東部のムルシア、バレンシア地方、 ②地中海東部、 といった意味意味のようですが、この場合は①のスペイン東部を指しているのでしょう。ここで演奏されている2曲は10曲からなるピアノ曲集「レヴァンテ」の第2、第5曲目で、スペインのギタリスト、アスピアスの編曲だそうです。確かナルシソ・イエペスも録音していました。


大曲ファンタジア・ソナタ(マネン)

 スペインの作曲家、ホアン・マネンの「ファンタジア・ソナタ」はセゴヴィアに奉げられた曲としてはかなりの大曲と言え、全曲で20分ほどかかります。曲はゆっくりした部分と、速い部分が交互になっている5つの部分からなりますが、休みなく全曲続けて演奏されます。それぞれの部分には関連性があるようです。
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