中村俊三 ブログ

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ある貴紳のための幻想曲/南の協奏曲  録音1958年5月

ロドリーゴ : ある貴紳のための幻想曲
ポンセ : 南の協奏曲

指揮 エンリケ・ホルダ  シンフォニー・オブ・ザ・エア



セゴヴィアのデビュー50年を記念した3枚

 この年(1958年)は、セゴヴィアがグラナダで初めてのリサイタルを行ってから50年にあたり、それを記念してこの3枚のLPを録音、発売しました。


セゴヴィアはアランフェス協奏曲を一度も弾いていない

 その中の一枚がこの2つの協奏曲を録音したもので、協奏曲の録音が少ないセゴヴィアとしては貴重なものでしょう。

 因みに、セゴヴィアはギター協奏曲として最も知られ、また人気も高いロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を、生涯一度も演奏していません。その主な理由としては、この曲が当時ライバル関係にあったスペインのギタリスト、レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサに献呈され、初演されたからと言われています。

 ロドリーゴとしては、アランフェス協奏曲を、当初セゴヴィアに献呈する予定だったようですが、セゴヴィアは当時(1940年)戦禍を避けてアメリカに渡っていたので、ロドリ-ゴはスペイン国内にいたレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサに作曲上のアドヴァイスを受け、その関係で彼に献呈し、また初演も依頼したのではないかと思います。

 そうした事情を踏まえれば、レヒーノが初演したことは必然的な流れだったろうと思いますが、セゴヴィアはそれをあまり快く思わなかったのは事実のようです。おそらくそうした関係により、ロドリーゴは改めて、セゴヴィアの為に協奏曲を書くことになり、出来上がったのがこの「ある貴紳のための幻想曲」と言われています。


ガスパル・サンスのギター曲をもとに作曲した実質上のギター協奏曲

 曲はバロック・ギターの名手、ガスパル・サンスの曲をもとに作られ、「幻想曲」となっていますが、実質は4つの楽章からなるギター協奏曲です。アランフェス協奏曲ほどの知名度や人気はありませんが、なかなか美しい曲で、アランフェス協奏曲のカップリングの曲としてLPやCDに多くのギタリストが録音しています。


ギター協奏曲No.2の座を争う

 もう1曲は、セゴヴィアとは特に親しいポンセの3楽章形式の協奏曲で、ロドリーゴの曲ほど演奏されませんが、ギター協奏曲としてはなかなかの傑作で、ギター協奏曲のNo.2候補の一つだと思います。もちろんセゴヴィアの演奏によく合った曲です。


往年の名指揮者アルトゥール・トスカニーニが率いたオーケストラ

 セゴヴィアの演奏は、協奏曲ということで、独奏の時のように自由に弾いているわけではありませんが、それでもあまり「縦の線」を合わせることには執着していないようです。なお「シンフォニー・オブ・ジ・エア」は往年の名指揮者アルトゥール・トスカニーニが率いたNBC交響楽団を前身に持ち、トスカニーニの死後、その楽団員により自主的に活動しているオーケストラということです。





アンドレス・セゴヴィアギター音楽300年  1958年録音


ムルシア : プレリュードとアレグロ
ソル : 3つのエチュード(第1番、9番、20番)
テデスコ : ソナタ「ボッケリーニ賛」
ロドリーゴ : ファンダンゴ
ロンカルリ : パサカリア、 ジグ、 ガヴォット
グラナドス : スペイン舞曲第10番 



テデスコの「ソナタ」やロドリーゴの「ファンダンゴ」など現在でも人気の曲を録音

 こちらはバロック時代から現代までの作品を網羅した小品集的なLPですが、テデスコの「ソナタ」、ロドリーゴの「ファンダンゴ」など、最近のギタリストにも人気が高く、よく演奏される曲が含まれています。また最後の「スペイン舞曲第10番」を除くとセゴヴィアの初録音曲で、デビュー50周年ということでのセゴヴィアの意欲も感じられるLPになっています。

 テデスコの「ソナタ『ボッケリーニ賛』」はLPを借りて聴いたことがありますが、本当に残念ながら今現在の私のCDコレクションから抜けてしまっています。昔の記憶ではふくよかで、重厚な音による演奏だった思います。ナクソス盤では入手可能だと思いますが、オリジナルの曲順で復刻されるのを期待しています。



意外(?)とイン・テンポ

 ロドリーゴの「ファンダンゴ」は「スペイン風の3つの小品」の第1曲目です。スペイン的な情熱や情緒がよく
伝わってくる演奏ですが、意外とセゴヴィアはイン・テンポで弾いています。やはり舞曲だからなのでしょう。

 グラナドスの「スペイン舞曲第10番」をセゴヴィアは4回録音していて、この1958年のものはその第3回目にあたります。前回1944年の録音よりは30秒ほどゆっくり弾き、落ち着いた感じになっています。それでもこの曲の演奏としてはやや速めと言えます。音質としては、前回同様ステレオ録音ですが、やはり人口的な残響は目立ちます。



アンドレス・セゴヴィアギターのための音楽  1958年録音

ヴァイス : 前奏曲ホ長調
モレーノ・トロバ : 特性的小品集(全6曲)
エスプラ : アンターニャ
ポンセ : アレグロ(ソナタ・メヒカーナ第1楽章)
ムソルグスキー : 古城(「展覧会の絵」より)
ルーセル : セゴヴィア
タンスマン : ギターのための3つの小品
グラナドス : トナディーリャ「ゴヤの美女」




店頭で試聴したが、ノイズが凄いので

 このLPは学生時代ににレコード店で視聴させてもらったことがあり、演奏や曲はとても気に入ったのですが、サーというノイズがあまりにも凄くて、結局買うのをやめしまいました。その後再発されたLPや、CDではそれらのノイズはカットされていましたが、その分やや加工した音になってしまいました。残響の付加もそのノイズに関係があるのでしょうか。


このLPに影響され、「古城」を演奏会で弾いたことがある

 ムソルグスキーの「古城」はなかなか印象的で、後に山下和仁氏が「展覧会の絵」全曲をギター独奏にアレンジして演奏しています。私もこのLPの影響で大学の定演で弾いたことがあり、それが私のステージでの独奏、初体験です。(もちろん「古城」のみ)。


珍しいハープシコードとの二重奏

 ヴァイスの「前奏曲ホ長調」は以前にも録音したポンセによる「偽作」ですが、今回の演奏ではハープシコード(演奏者:ラファエル・プヤーナ)を伴うバージョンとなっています。

 モレーノ・トロバの「特性的小品集」全6曲を録音しています。曲の優れていますが、セゴヴィアの名演の一つでもあると思います。「ゴヤの美女」は2度目の録音ですが、最後にグラナドスの曲を再録しているのは、前のLPとそろえているのでしょうか。
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