なりを潜めていた
このところいろいろあってこのセゴヴィアのCD(実質はLP)の紹介も滞ってしまいました。今年は9月に入っても暑い日が続き、2,3日前まで暑い、暑いと言っていたら、このところ急に涼しくなってきました。やはり季節は進むものですね(当たり前ですが)。
涼しくなって快適になってきたと思ったら、この急な温度変化に、これまでなりを潜めていた鼻炎が復活し出してしまいました。私の鼻炎は花粉とか、埃とかよりも温度の変化とか、体調に深く関係があるようですね、困ったものです。
マエストロ 1961年8月録音
ルイス・ミラン : パヴァーナ第5,6番
ロベルト・ド・ヴィゼー : パッサカリア
作者不詳 : ジーガ・メランコリア
ヨーゼフ・ハイドン : ラルゴ・アッサイ、 メヌエット
アルベニス : サンブラ・グラナディーナ
ガスパル・サンス : ガリャルダス、エスパニョレッタ
ドメニコ・スカルラッティ :ソナタL79
フェルナンド・ソル : アンダンテ・ラルゴ、ロンド
フェリックス・メンデルスゾーン : 無言歌作品30-3
モレーノ・トロバ : 松のロマンセ

楽器をホセ・ラミレスⅢに変える
このLP[マエストロ」は、1958年にセゴヴィアのデビュー50周年ということで3枚のLPを録音してから3年後の録音となります。その間の1959年に来日して日本のファンから絶賛を浴びることになります。また1960年よりセゴヴィアの使用楽器がヘルマン・ハウザーからホセ・ラミレスⅢ世に変ります。
理由としてはこれまで長年使用してきたハウザーが故障により思うような音が出なくなったということですが、単なる故障なら、かなりの程度まで修理は可能だと思いますので、セゴヴィアの趣向の変化も理由の一つに含まれるのではないかと思います。
録音では大きな差は感じられないが、ラミレスのほうが肉厚で、高音が出る
松材のハウザーと杉材のラミレスではかなり違う音質だとは思いますが、録音で聴く感じではそれほど違うようには聴こえません。私も含めて多くの人には、楽器の違いは言われてみないとわからない程度だと思います。どの楽器を使ってもセゴヴィアの音はセゴヴィアの音といったところでしょうか。
強いて言えば、ラミレスのほうがふんわりと、肉厚で、高音がよく響き、ハウザーのほうはクリヤーな音で集中度の高い印象があります。ラミレスのほうが穏やかに聴こえますが、それはセゴヴィア自身の演奏の変化かも知れません。
落ち着いた録音
また数年前に始まったステレオ録音も、この頃になるとかなり落ち着いてきて、前回のLPで感じたような違和感や、試行錯誤的なところはなくなり、とても自然な音になっています。またノイズもかなり少なくなっています(LPのほうでは多少あった記憶がありますが)。
この1961年前後に録音された他のギタリストの録音と、このデッカ・レーヴェルによるセゴヴィアの録音を比較すると、やはりセゴヴィアの録音はかなり優れたものではないかと感じます。当時の最先端の技術と資金をかけた録音なのでしょう。そういった点でもセゴヴィアは別格の扱いだったのでしょう。
「プレイズ」同様、大曲や有名な曲が少ない小品集。これも私の愛聴盤
プログラムのほうは上記のように「小品集」的で、A面、B面(オリジナルのLPの)ともルネサンス、あるいはバロック時代の作品で始まり、近代の作品で終わるようになっています。そういった点でも1954年録音の「プレイズ」によく似ています。あまり有名な曲が入っていないところも同じです。
偶然ですが、私個人的には、この「マエストロ」も「プレイズ」同様昔からたいへんよく聴きこんだLPで、個人的にはたいへん愛着のあるものです。やはりこういったプログラミングに、セゴヴィアの魅力はより発揮されるように思います。
自作の「ジーガ・メランコリア」は3度目の録音
「ジーガ・メランコリア」はこれまで何度か登場してきた曲ですが、1939年にフローベルガー作、1944年にド・ヴィゼー作の「ジーグ」として演奏した曲と同じ曲です。3度目となるこの1961年にはタイトルを「ジーガ・メランコリア」と若干変え、作者不詳として録音されました。もちろん実際はセゴヴィア自身の作曲です。
細かく見ると前の2回の録音より、今回のものは前半のところで1小節ほど追加されています(それ以外は変らない)。それにしてもセゴヴィアには他に「光のない練習曲」などオリジナル作品もあるのですが、それらの曲を差し置いてこの「ジーグ」にこだわりがあるようです、自信作なのでしょうか。
ハイドンの弦楽四重奏から2曲
このLPにも2曲のハイドンの作品が収められていますが、やはりハイドンとセゴヴィアは相性がよいようです。この2曲ともなかなか優れた演奏だと思います。2曲とも弦楽四重奏曲からの編曲で、「ラルゴ・アッサイ」は「ト短調作品74-3」の第2楽章、「メヌエット」は「ト長調作品76-1」の第3楽章。前者はタレガ編、後者はセゴヴィア編と思われます。
アルベニスのサンブラ・グラナディーナ
アルベニスの「サンブラ・グラナディーナ」は1969年録音の「マジョルカ」と同じくアルベニスの作品の中でもギターによく合う曲で、セゴヴィアはどちらも1回のみしか録音していないが名編曲、名演奏と言えるでしょう。
最後はしみじとした「松のロマンセ」
メンデルスゾーンの「無言歌」は1952年に録音した「作品19-6」と同じく「ベニスの舟歌」というタイトルが付いているが、別の曲で、やはりタレガ編を使用していると思われます。最後はモレーノ・トロバの「スペインの城」から「松のロマンセ」で静かに閉じていますが、1970年の全曲演奏の先取りと言った感じです。
このところいろいろあってこのセゴヴィアのCD(実質はLP)の紹介も滞ってしまいました。今年は9月に入っても暑い日が続き、2,3日前まで暑い、暑いと言っていたら、このところ急に涼しくなってきました。やはり季節は進むものですね(当たり前ですが)。
涼しくなって快適になってきたと思ったら、この急な温度変化に、これまでなりを潜めていた鼻炎が復活し出してしまいました。私の鼻炎は花粉とか、埃とかよりも温度の変化とか、体調に深く関係があるようですね、困ったものです。
マエストロ 1961年8月録音
ルイス・ミラン : パヴァーナ第5,6番
ロベルト・ド・ヴィゼー : パッサカリア
作者不詳 : ジーガ・メランコリア
ヨーゼフ・ハイドン : ラルゴ・アッサイ、 メヌエット
アルベニス : サンブラ・グラナディーナ
ガスパル・サンス : ガリャルダス、エスパニョレッタ
ドメニコ・スカルラッティ :ソナタL79
フェルナンド・ソル : アンダンテ・ラルゴ、ロンド
フェリックス・メンデルスゾーン : 無言歌作品30-3
モレーノ・トロバ : 松のロマンセ

楽器をホセ・ラミレスⅢに変える
このLP[マエストロ」は、1958年にセゴヴィアのデビュー50周年ということで3枚のLPを録音してから3年後の録音となります。その間の1959年に来日して日本のファンから絶賛を浴びることになります。また1960年よりセゴヴィアの使用楽器がヘルマン・ハウザーからホセ・ラミレスⅢ世に変ります。
理由としてはこれまで長年使用してきたハウザーが故障により思うような音が出なくなったということですが、単なる故障なら、かなりの程度まで修理は可能だと思いますので、セゴヴィアの趣向の変化も理由の一つに含まれるのではないかと思います。
録音では大きな差は感じられないが、ラミレスのほうが肉厚で、高音が出る
松材のハウザーと杉材のラミレスではかなり違う音質だとは思いますが、録音で聴く感じではそれほど違うようには聴こえません。私も含めて多くの人には、楽器の違いは言われてみないとわからない程度だと思います。どの楽器を使ってもセゴヴィアの音はセゴヴィアの音といったところでしょうか。
強いて言えば、ラミレスのほうがふんわりと、肉厚で、高音がよく響き、ハウザーのほうはクリヤーな音で集中度の高い印象があります。ラミレスのほうが穏やかに聴こえますが、それはセゴヴィア自身の演奏の変化かも知れません。
落ち着いた録音
また数年前に始まったステレオ録音も、この頃になるとかなり落ち着いてきて、前回のLPで感じたような違和感や、試行錯誤的なところはなくなり、とても自然な音になっています。またノイズもかなり少なくなっています(LPのほうでは多少あった記憶がありますが)。
この1961年前後に録音された他のギタリストの録音と、このデッカ・レーヴェルによるセゴヴィアの録音を比較すると、やはりセゴヴィアの録音はかなり優れたものではないかと感じます。当時の最先端の技術と資金をかけた録音なのでしょう。そういった点でもセゴヴィアは別格の扱いだったのでしょう。
「プレイズ」同様、大曲や有名な曲が少ない小品集。これも私の愛聴盤
プログラムのほうは上記のように「小品集」的で、A面、B面(オリジナルのLPの)ともルネサンス、あるいはバロック時代の作品で始まり、近代の作品で終わるようになっています。そういった点でも1954年録音の「プレイズ」によく似ています。あまり有名な曲が入っていないところも同じです。
偶然ですが、私個人的には、この「マエストロ」も「プレイズ」同様昔からたいへんよく聴きこんだLPで、個人的にはたいへん愛着のあるものです。やはりこういったプログラミングに、セゴヴィアの魅力はより発揮されるように思います。
自作の「ジーガ・メランコリア」は3度目の録音
「ジーガ・メランコリア」はこれまで何度か登場してきた曲ですが、1939年にフローベルガー作、1944年にド・ヴィゼー作の「ジーグ」として演奏した曲と同じ曲です。3度目となるこの1961年にはタイトルを「ジーガ・メランコリア」と若干変え、作者不詳として録音されました。もちろん実際はセゴヴィア自身の作曲です。
細かく見ると前の2回の録音より、今回のものは前半のところで1小節ほど追加されています(それ以外は変らない)。それにしてもセゴヴィアには他に「光のない練習曲」などオリジナル作品もあるのですが、それらの曲を差し置いてこの「ジーグ」にこだわりがあるようです、自信作なのでしょうか。
ハイドンの弦楽四重奏から2曲
このLPにも2曲のハイドンの作品が収められていますが、やはりハイドンとセゴヴィアは相性がよいようです。この2曲ともなかなか優れた演奏だと思います。2曲とも弦楽四重奏曲からの編曲で、「ラルゴ・アッサイ」は「ト短調作品74-3」の第2楽章、「メヌエット」は「ト長調作品76-1」の第3楽章。前者はタレガ編、後者はセゴヴィア編と思われます。
アルベニスのサンブラ・グラナディーナ
アルベニスの「サンブラ・グラナディーナ」は1969年録音の「マジョルカ」と同じくアルベニスの作品の中でもギターによく合う曲で、セゴヴィアはどちらも1回のみしか録音していないが名編曲、名演奏と言えるでしょう。
最後はしみじとした「松のロマンセ」
メンデルスゾーンの「無言歌」は1952年に録音した「作品19-6」と同じく「ベニスの舟歌」というタイトルが付いているが、別の曲で、やはりタレガ編を使用していると思われます。最後はモレーノ・トロバの「スペインの城」から「松のロマンセ」で静かに閉じていますが、1970年の全曲演奏の先取りと言った感じです。
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