中村俊三 ブログ

中村ギター教室内のレッスン内容や、イベント、また、音楽の雑学などを書いていきます。

バッハ : シャコンヌ 6



<第2部  132~207小節> 
 


132~147小節 ~ニ長調となる

 ここからニ長調に転じ、第2部ということになりますが、ここは全体にリラックスした、のびやかな感じとなります。 和声的にも比較的単純となり、また速いパッセージもありません。

 この132~147の4×4の16小節は基本的には冒頭のテーマと同じ音価で書かれていますが、全体に「歌」が感じられます。 2声が中心で部分的に3声になりますが、和声の変化は少なくのびやかで落ち着いた感じになります。



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印からニ長調となり、よりのびやかな音楽となる。  赤線の部分では低音がテーマの音価となっている。 黒丸では低音が レード♯ーシーラ と単純化されている。


148~159小節 ~16分音符となるが

 ここからは16分音符で書かれていますが、リラックスした感じは持続し、シンプルな和音のアルペジオとなっているところが多く、動きはやや速いものの、穏やかな感じになっています。 低音も「レ、ド#、シ、ラ」と単純化されています。



160~175小節 ~「ラ」の連打が現れる

 この部分は16分音符で出来ているのはその前と同じなのですが、「ラ」を3回あるいは4回連打する形になっていて、ちょっとユーモラスな部分です。 バッハの”遊び心”が感じられます。

160小節では「ラ」を3回連打した後アルペジオとなり、以後和音が変わっても「ラ」の連打は変わりません。 164小節からはその「ラ」が1クターブ下になります。

 168小節からは 「ラ」 の連打が4回なり、さらに1オクターブ下がり低音となります。 いわゆる「保持低音」となるわけですが、168小節からはそれが5度下がり 「レ」 となります。 上声部の方は2声の掛け合いのようになりますが、同じ音を2回または3回ずつ連打するようになっています。



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保持低音

 ここでちょっと「シャコンヌとは低音部に主題を持つ変奏曲」ということを思い出していただきたいのですが、低音を「勝手に」保持低音に変えてしまったら「シャコンヌ」ではなくなってしまうのではないかと思います。 バッハはその「ぎれぎれ」のことをしているようです。 「その代わり和声進行が変わらないから、いいじゃないか」 ということかも知れません。



176~183小節 ~クライマックスに向かうための

 この部分は中間部の冒頭の部分(132~139)が回帰したような部分ですが、2度で音がぶつかるところもあり、やや緊張感があります。 おごそかな感じといってもいいでしょうか、次のクライマックスに向かうための部分と思われます。



184~199小節 ~朗々と歌い上げる

 この部分はテーマの音価を踏襲したコーラス的な部分ですが、3声または4声で書かれています。 4小節ごとに音域を上げて、196小節で頂点になります。 ここは朗々と和音を鳴らしたいところですが、ヴァイオリンでそれをするのはかなり難しいことかも知れません。



200~207小節

 ここはアルペジオの指示があり、各部の最後はそれぞれアルペジオで締めくくるようになっています。 前にも出てきたとおり、アルペジオの弾き方は決められていないと思いますが、一般に低音と高音を交互に弾くような弾き方で演奏されます。 

 過去の大家がそう弾いていたのでしょうか、その根拠などはわかりませんが、その方が弾きやすいので私もそう弾いています。





<第3部  208~256小節>



208~227小節 ~再びニ短調に

 再びニ短調に戻りますが第1部とは印象は異なります。 なんといっても最初の和音はⅠの和音の「レ、ファ、ラ」でなく、それにシ♭が加わった形になっています。 印象からすれば第1部のような威厳に満ちた感じではなく、もっと内面的なというか感傷的というか、そんな感じがします。


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ト短調ぽいが

 和声的に見ると私にはよくわからないのですが、208~211ではト短調に転調しているような感じさえします。 もちろん「シャコンヌ」である以上あってはならないことです。 

 バッハは転調を巧みに使う作曲家だと思いますが、バッハの欲求不満の表れしょうか。 またここではスラーの表記も目立ち、「歌わせる」ことを示しているのかも知れません。 224~227はこの部分の締めくくりとして32分音符で書かれています。



228~239小節 ~カンパネラ奏法

 ここからは「A線」を用いたカンパネラ奏法となりますが、ギターのほうではこの音は開放弦ではないので、3弦を押さえて弾くことになりますが、235~239はオクターブ上げて1弦の5フレットで弾くほうが弾きやすいので、私もそうしています。

 低音は「レ、ド、シ♭、ラ」を守っていますが、中音部は半音階的になっていて、しだいに緊張感が増すようになっています。


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240~256小節 ~最後は堂々と曲を閉じる

 いよいよ最後の部分となりますが、まず240~243はアルペジオですが、一つ一つのポジションが変わるので、弾く方にとってはかなり難しいアルペジオになっています。

 続いて244~246は下降の3連符で、247は32分音符の音階でテーマの最後の出現を告げます。 248~256でテーマが再現されますが、比較的冒頭のテーマに近く、最後は堂々と、またゆったりと曲を閉じます。

 なお最後にトリルの指示はありませんが、当時の習慣として行っていたと考えてよいと思います。
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